【クラファンレポート】8歳の少女が描いた「パンダちゃん」の物語 — 能登半島地震の記憶を未来へ繋ぐ絵本の旅

石川県輪島市門前町で起きた能登半島地震。全壊した祖父母の家から奇跡的に見つかったパンダのぬいぐるみを通して、8歳の少女が描いた絵本「門前のパンダちゃん」が今、全国の子どもたちへ届けられようとしています。幼い目線で描かれたこの絵本は、震災の記憶を優しく伝え、文芸社えほん大賞でも賞を受賞。プロジェクト代表の大脇希映さんは、「子どもの素直な想いが、震災を知らない子どもたちの心にも届くはず」と語ります。家族の歴史と地域の復興への願いが詰まった感動の物語をご紹介します。

プロジェクトオーナー関連リンク

●公式Instagram|https://www.instagram.com/monzen_panda

のんびりと時が流れる黒島町と、半世紀を見守ったパンダちゃん

まずは、この絵本が生まれた背景について教えていただけますか?

大脇さん:私の祖父母が住んでいたのは、石川県輪島市門前町黒島町という場所なんです。海も山も近く、黒瓦と下見板張りの家々が海沿いに並ぶ、本当に風情のある町でした。


祖父は「吉田一族」という大工の家系で、自分の家も自分で建てた人です。祖父母が亡くなった後も、私たち家族はこの家を大切に守り、娘を連れてよく遊びに行っていました。


そして、この絵本の主人公であるパンダちゃんは、上野動物園にパンダが初来日した当時、祖父が東京から買ってきたぬいぐるみなんです。50年以上も黒島の家で、家族の喜びや悲しみを見守ってきた特別な存在でした。


震災前の黒島町はどのような場所だったのでしょうか?

大脇さん:黒島は明治中期まで北前船交易で栄えた町で、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されていました。住民の多くは高齢者で、ゆったりとした時間が流れる「穏やかな町」という表現がぴったりの場所でした。


私の子どもたちも黒島が大好きで、特に娘は祖父母の家でのんびり過ごす時間を心待ちにしていました。まるでタイムスリップしたような、そんな不思議な魅力のある町だったんです。


震災前の黒島は、海と山に囲まれて、黒瓦と下見板張りの家々が並ぶ静かな町の風景は、訪れる人々の心を癒す特別な場所だったんです。


地震で揺れた家と揺れない想い — 8歳の少女が紡いだ物語

能登半島地震が起きたとき、どのような状況だったのでしょうか?

大脇さん:2024年元日に発生した能登半島地震。私たちが大切にしてきた祖父母の家も甚大な被害を受けました。家は大きく傾き、柱も梁も無残に折れ、全壊と判定されました。現場を目の当たりにしたとき、言葉を失いました。


ただ、その瓦礫の中で奇跡的に見つかったのが、「パンダちゃん」だったんです。倒れた家具や散乱した荷物の中で、パンダちゃんだけが静かに椅子に座っていました。その姿を見たとき、まるで瓦礫の中に残された「希望」のように感じたんです。その様子を撮影した動画を、当時8歳だった娘も見ていました。


娘さんはどのようにして絵本を描くことになったのでしょう?

大脇さん:娘は震災の映像や実際に自分の目で見た黒島の様子を深く心に刻んだようで、「この経験を忘れないように」と夏休みの工作で絵本を描き始めたんです。彼女は全壊認定を受けた家の中で見つかったパンダのぬいぐるみの視点から物語を作りました子どもなりに「パンダちゃんはどんな気持ちだったんだろう」と想像しながら、素直な言葉と絵で表現していったんです。


私はその絵本を読んだとき、心から打たれました。大人が語る防災や震災の話とは違い、子どもの目線で描かれた素直な物語に、「この想いを広めたい」と強く感じたのが、このプロジェクトの始まりでした。


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自費出版から全国へ — 絵本を通じた復興支援の道のり

絵本を広める活動を始めるにあたり、どのような困難がありましたか?

大脇さん:もとは、夏休みの工作として作った絵本が始まりでした。ただ、復興への想いを込めて描いたものだったので、このまま終わらせたくなくて、文芸社主催の「えほん大賞」に応募したところ、サンシャインシティ絵本の森賞の佳作をいただき、東京の表彰式にも参加しました。そこで「作品を読んで涙した」という声を伺い、この絵本には何か人の心を動かす力があるのかもしれない、と感じたんです。


地震から1年が経つ頃には、能登半島地震の報道が県外では少なくなり、風化が進んでいる現実にも直面しました。だからこそ、たくさんの方に読んでもらい、忘れないきっかけになればと思い、自費出版を決意しました。


また、幼稚園で読み聞かせに使って頂いた際に、普段あまり園での出来事を話さない子が、家で一生懸命「パンダちゃん、地震、能登」と語ってくれたと聞き、子どもたちにもちゃんと届く作品なんだと実感しました。この絵本が、地震を知るやさしい入口になり、子どもたちの心に復興への想いをそっと届けられたら嬉しいです。


絵本をさらに広めていく中で、最も難しかった課題は何でしたか?

大脇さん:最も難しかったのは、クラウドファンディングを始めることをどう広めるか という部分でした。私自身もメンバーも、SNSは見る専門で、全く発信していない人たちでした。拡散力がなさすぎたんです。


能登の復興への思い、風化させたくない、子どもたちに伝えたい。その “想いの勢い” だけで始めたプロジェクトだったので、最初は「広める」ということまで全く考えていませんでした。クラウドファンディング開始日を決めたときに「どうやって知らせたらいいんだろう」と戸惑いました。そこが最大の課題でした。


そこで、クラウドファンディング開始の約2週間前という遅すぎるタイミングではありましたが初めてインスタグラムを開設し、そこから毎日、自分の思いを書き続けました今年5月に自費出版をした際に北陸中日新聞、東京新聞、静岡中日新聞に掲載いただいていていたため少しは知っていただいている方もいたおかげもあって、インスタ開設と同時期にチラシも作成し配り始めて少しずつ少しずつ広がっていきました。


さらに、7月7日のクラウドファンディング開始当日、地元の北國新聞に大きく掲載いただけたこと、そしてクラウドファンディング開始から3日後に設定した幼稚園での読み聞かせイベントに、地元テレビ局4社と新聞社2社が来てくれたこと。それが大きな後押しとなり、本当に良いスタートダッシュにつながりました。


そして、クラウドファンディング期間中にもフジテレビさんに取り扱っていただいたりと、メディア戦略がすごく順調にいきました


子どもの言葉が紡ぐ希望 — 絵本が届けた思いがけない感動

そのような困難をどのように乗り越えてこられたのですか?

大脇さん:SNSを全くやっていなかった私たちが「もう遅すぎるだろう」というタイミングで、思い切ってインスタグラムを開設したことでした。そこから毎日コツコツと、自分たちの能登への思いを書き続けました。


さらに、地元メディアが大きく取り上げてくださったことも後押しとなり、口コミが横から横へと広がっていきました。私の知らないところでこのプロジェクトを広めてくださる方や、読み聞かせを自主的にしてくださる方、協力してくださる方が想像以上に増え、それが「広まる力」になりました。


自分たちは拡散力がないと思い込んでいたけれど、“自分たちの思いを言葉にしたこと” と “人のつながり” が、想像を超える力になりました


絵本の特徴的な点や、読者から特に反響のあった部分はどこでしょうか?

大脇さん:この絵本の最大の特徴は、子ども自身の視点から描かれていることです。活字にせず、8歳の娘の文字と絵をそのまま使用しています。子どもの感じたままの気持ちが、より素直に読む人に伝わるようにという願いからです。


また、この絵本には “あえて振り仮名をふっていません”。漢字が読めない小さな子どもでも「同じ子どもが描いた絵」というだけで、絵を見て何かを感じ取ってくれることがとても多いと感じています。


例えば、まだ2歳の子でもパンダちゃんを見て「パンダちゃん」「えんえん」などと、言葉にならなくても “何か” を受け取ってくれているのが分かります。子どもが “自分の言葉や感覚で” 感じられる余白がある。その部分が、この絵本の大きな特徴であり、反響の大きかった点だと感じています。


絵本の最後には、被災地の復興を願う気持ちが大切に描かれています。震災前の穏やかな様子、そして震災で経験した怖さや孤独。その “両方” を子どもなりの言葉と絵で受け止めたうえで、最後には “希望のある未来” へ向かう気持ちで終わる構図になっています。


これは、私たちだけではなく、被災地を思う多くの方が抱えている気持ちだと感じます。ただ悲しみだけで終わらず、「希望を持って次へ進みたい」という願いが、絵本の最後のページに静かに表れています。


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全国の子どもたちへ — 小さな絵本が紡ぐ大きな希望

クラウドファンディングを通じて、どのような未来を描いていますか?

大脇さん:このクラウドファンディングを通じて、『門前のパンダちゃん』を全国の学校や図書館、子ども園・幼稚園などへ約4200冊寄贈しました。子どもたちが震災を学び、考えるきっかけとなることを願うとともに、大人の方々にも、被災地を思い、自分にできる支援について改めて考えていただく機会になればと思っています。


絵本がその「想いのバトン」となり、能登の復興を支える心が全国へ広がっていく未来を描いています。


【寄贈先】
石川県内全小学校(約200校)、石川県全認定こども園(約400園)
石川県を除く46都道府県すべてにおいて、県庁所在地の市の小学校合計約2400校(市内一部の学校へ寄贈の県もあり)
全国の都道府県立図書館全館、政令指定都市立図書館全館、東京23区立図書館全館 合計約600館
全国のこども園(石川県以外)約450園


震災の記憶を風化させず、やさしく伝えていくことで、未来の防災意識を育む一助になればと思っています。また、祖父母の家については、一時は公費での解体を検討していましたが、家族で話し合い修繕を決意しました。


偶然にも私の夫は建築業を営んでおり、祖父が建てたこの家を夫が修繕することになりました。この家は黒島の風景と歴史、家族の想い、未来への希望が詰まった、物語の一部なのです。


最後に、このプロジェクトを通して伝えたい一番のメッセージは何でしょうか?

大脇さん:「能登半島地震の記憶を風化させないこと」、そして「子どもの力を信じること」です。震災から時間が経つにつれて、報道も少なくなり、記憶が薄れていくことが懸念されます。


でも、8歳の子どもが描いた一冊の絵本が、震災の記憶をやさしく未来に伝え、心に留めておくきっかけになればと願っています。子どもの素直な言葉には、大人では伝えきれない力があります。


絵本のページをめくる中で、読者の方々が能登のことを思い出し、あたたかい気持ちが次の誰かへとつながっていくこと。それが私たちの願いです。この小さな絵本の旅が、いつか大きな希望の物語になることを信じています。子どもの「想い」が未来を変える力になると、私は確信しています。



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