プロジェクトデータ プロジェクト名: D.C.~ダ・カーポ~ Super Live Ⅱ 開催プロジェクト プロジェクト目的: 支援者の獲得(=事前のチケット・物販数量確保ツールとして活用) 募集期間: 2019年10月5日~11月30日 調達金額: 42,527,743円(2019年11月20日時点) プロジェクトURL: https://camp-fire.jp/projects/view/170212
15年以上の歴史を誇る『D.C.~ダ・カーポ~』シリーズ
PCゲームブランドCIRCUSの代表作である『D.C.~ダ・カーポ~』。2002年にシリーズ1作目が発売後、2019年現在まで4シリーズまで続いている。さらに、コミック化・アニメ化の展開も。長い間多くのファンに愛され続けているタイトルなのだ。
D.C.シリーズでは、音楽にこだわりを持っており、これまで100曲以上の楽曲を制作している。2015年には『D.C. SUPER LIVE ~ダ・カーポ スーパーライブ~』を開催。そして、スーパーライブを超えるライブをしたいという想いから、2020年に『D.C.~ダ・カーポ~ Super Live Ⅱ』の開催を決定した。
この『D.C.~ダ・カーポ~ Super Live Ⅱ』の開催に際して、クラウドファンディングサービス CAMPFIREでプロジェクトを開始したのだ。
支援者の半数以上は20代
2019年10月5日に『D.C.~ダ・カーポ~ Super Live Ⅱ 開催プロジェクト』をスタート。目標金額を3,000万円に設定した。そして、支援受付開始から1日程度で目標金額を達成。2019年10月21日にはストレッチゴールとして、目標金額を4,000万円に設定。プロジェクト募集終了は11月30日となっており、着実に支援総額を伸ばし続けている(10月28日時点)。
支援者は、言わずもがなD.C.シリーズファンの方々。ところが、15年以上愛されるタイトルであるのに対し、支援者の半数以上は20代だったのが驚きだ。
「4シリーズ目から入ってきた新しいファンの方々が多かったのかもしれません」とくりたさんは述べた。クラウドファンディングのボリュームゾーンも20~30代が多いことも影響しているかもしれない。
ライブ系プロジェクトにおけるクラウドファンディング活用のメリット
しかし、なぜクラウドファンディングの活用をしようと考えたのか。そこには、ライブの開催におけるクラウドファンディング活用では、「チケット」と「物販」それぞれにメリットがあると話してくれた。チケット
チケットの売上を事前に把握することが可能だ。チケットは売り出さない限り、どれくらいの人たちが来場してくれるか把握できない。基本的にチケット代の売上は、会場費や運営費などで相殺されてしまう。そのため、チケットの売上がライブ内容に大きな影響を及ぼす場合もある。今回のプロジェクトでは、リターンにライブのチケットを設定。どれくらいの人数がライブに足を運ぶか事前にチェックすることが可能となった。さらに目標金額を達成した後には、ストレッチゴールと題して目標金額を上乗せ。達成した暁には、追加ゲストを呼ぶという。このように、支援が集まった分だけライブ自体の内容を豪華にすることも可能になってくるのだ。
グッズの最低個数を事前に把握
チケット同様、どんなグッズが最低どれくらいの個数必要なのか、というのが事前に把握できる。クラウドファンディングを通じて、グッズの最低個数が事前に把握できるのだ。グッズの製造は、発注個数が早い段階で把握できていることにより生産計画が立てやすかったこと、また、ゲーム制作の傍ら長年グッズ制作なども積極的に行ってきたことで工場と直接のやり取りが可能になり、安価でつくれるケースもあった。そうして安価になった分、質の高いグッズの製造を可能にすることができる。
例えば、通常のタペストリーよりも高級な生地であるダブルスウェードを採用。ほかにも、通常A4サイズがギリギリのアクリルパネルをA3サイズで製造するなど、よりレベルの高いグッズの製造にも取り組むことが可能になる。
▲A3サイズのアクリルパネル(現物)
“綿密なスケジュール設定”が成功の鍵
CIRCUSにとってクラウドファンディングは初の試みであったものの、見事な結果を残している。その成功の裏側に潜むのは、綿密なスケジュール設定があった。2019年2月にライブ開催の検討を始め、2019年10月にクラウドファンディングを開始。また、クラウドファンディング開始前の2019年8月にはプロジェクト実施の告知をしている。クラウドファンディングを含めたライブまでの準備期間、綿密なスケジュールを組み、着実にできることを取り組んでいたことが、ここまでの成功へ導いたと言えるだろう。
「短いスパンやスケジュールで取り組んでいたら、逆に上手く取り組めていなかったかもしれない」とくりたさんも語っている。
「クラウドファンディングが11月に終わって、そこからライブの制作に入ります。クラウドファンディングをしたことで、事前にライブやグッズの予算が明確になります。すでに予算の土台があるからこそ、ライブまでの2か月半、ライブの制作も余裕を持って安心して取り組める。良いライブをつくることへ全力投球できます。ライブやイベントのプロジェクトを行う際には、しっかりとしたスケジュール調整が非常に重要になってくると思いますね」
後編では、CIRCUSが「クラウドファンディングで意識した3つのポイント」について伺った。さらに、同社のクラウドファンディングならではの好事例についてもたっぷり紹介していく。