そんなハワイの復興を願うべく立ち上がったクラウドファンディングのプロジェクト『コロナ危機を乗り越えみんなの愛するハワイに行こう!』。目標金額1,000万円をプロジェクト開始約1ヶ月で達成した。
本プロジェクトの成功の秘訣は、なんといっても圧倒的な“リターンのお得感”にある。なぜ、ここまで破格のリターンを設定したのだろうか。プロジェクトを発足したMIX MIX LLCの代表・鶴原智也さんから、ハワイ復興にかける想いについてお話を聞いた。
プロジェクトデータ プロジェクト名: ハワイ復興!コロナ危機を乗り越えみんなの愛するハワイに行こう! プロジェクトの目的: ハワイ復興に向けた地域活性の呼びかけ 募集期間: 2020年5月21日~2020年7月28日 支援総額: 16,231,500円 支援者数: 639人 プロジェクトURL: https://camp-fire.jp/projects/view/279285
15年間ハワイと共に歩んできた、MIXMIX LLC
15年前、ハワイへ移住した代表の鶴原さん。それまでヨーロッパに15年間住み、デザイン系企業の会社経営をしていたという。しかし、ハワイに惹かれたことで会社を売却。2007年にMIXMIX LLCを設立した。不動産投資・販売・仲介やバケーションレンタルといった不動産管理事業、商業施設の開発などを、14年間行ってきた。今回取り上げるプロジェクトのリターンに設定されたコンドミニアム『ロイヤルクヒオ』も同社が5年前から運営している宿泊施設だ。「ハワイでの事業は難しいです」と語る。
「小さい島なので事業をするのが簡単に見えますけど、家賃や人件費が高い、現地民が少ないので人材もいない。ハワイが好きで、日本では成功されている企業が自信満々に事業をしても、企業の半分以上は撤退しています。成功するのが難しい場所です」
ただでさえ事業が難しいと言われているハワイでも、ほかの国と同様に新型コロナウイルスは猛威を振るった。
「日本以上にダメージが大きい」ハワイの現状
ハワイでは3月に感染者が確認。それに伴い、イベントの中止や店舗の営業停止、他国・他州から来訪した人は14日間の自己隔離が義務付けられ違反者には罰金、特定の業種以外の事業者には在宅勤務命令が発令された。この影響から解雇や一時待機が増加し、雇用状況も悪化した。大手企業はハワイから事業の撤退を検討、ホテルも8~9割が休業を余儀なくされた。「日本以上にダメージが大きいのでは」と鶴岡さん。鶴原さんが経営している宿泊施設も同様に影響を受け、感染者が確認されてからたった2週間で500万の売上が減り、4月上旬は25部屋がキャンセル、5月以降の新規予約は途絶えた。
万が一、今後ハワイ旅行が可能になったとしても、世界中が苦しんでいる最中、旅行をする人は少ないままだろう。こんな苦しい現状だからこそ【宿泊費最大90%オフのクーポン】を提供し、多くの人に旅行に来てもらい、以前のように活気あふれるハワイへ戻ってほしいと本プロジェクトを企画した。
「僕たちの大好きなハワイの変わり果てた姿を見て、何かできることはないか・ハワイに来てもらえる方法はないかを考えました。弊社のホテルは部屋が余っていたため、みなさんが来やすいなるべく安い値段で出してみようと思いました」
当初はクラウドファンディングを使用せず自社で企画の運営を考えていた同社だったが、CAMP FIREの『新型コロナウイルス(COVID-19)サポートプログラム』を見てクラウドファンディングの実施に踏み切った。
魅力的なコンドミニアムに破格で宿泊できるリターン
本プロジェクトの肝となるリターン『ロイヤルクヒオ』はワイキキの中心に立地しているコンドミニアムだ。ビーチまで徒歩10分・免税店5分・ブティックやレストランが全て徒歩圏内と好立地で、パッティングゴルフ・プール・サンデッキ・フィットネスルーム・バーベキュー・サウナなどアメニティ施設も充実している。魅力あふれるコンドミニアムの“宿泊券”と“宿泊割引券”を破格の金額で設定した。
● リターン例:44泊分の宿泊券 100,000円
ローシーズンの場合、14,500円×44日=638,000円かかるところ【100,000円】に。
● リターン例:宿泊費を90%オフ
滞在可能日数45日。ローシーズン場合、14,500円×45日=652,500円が90%オフの【587,250円】に。
「最初はここまで安くしようと思ってはいませんでした(笑)。でも、なるべく多くの人に来てもらうため、できる限り格安で出してみようと。また、ホテルに空室があるより、少しでも来ていただけた方が良いと思い、かなり思い切ってここまで下げてみました」
また、当初は宿泊割引券のみをリターンに設定していたが、支援者の要望により、宿泊券のリターンを追加。このリターンを出したことで、一気に支援が集まり、プロジェクト開始約1ヶ月で目標金額の1,000万円を達成した。また、9つのリターンのうち、8つはSOLD OUTしている。「目標の半分いけばいいかな…と思っていたので、想像以上に集まって驚いています」と鶴原さんは笑顔で話した。
餅は餅屋。プロジェクトの認知拡大に向けた取り組み
順調に目標金額に到達したかに思えるが、実は苦労したポイントもあった。15年間ハワイで事業をしてきたMIXMIX LLCにとって、日本のユーザーへの認知拡大は簡単ではなかったのだ。「僕たちは日本のマーケットのことはあまり分かりませんし、広告事業をしているわけでもなかった。自分たちでプロジェクトの認知拡大も考えましたが、やはり餅は餅屋。しっかり予算を取って、できることは片っ端からやろうと決め、広告代理店さんに依頼しました。広告の部分はかなり時間を取って考えましたね」
日本国内の広告は代理店に任せ、Facebook広告でプロジェクトの導線を設計、複数のメディアでプレスリリースを発信した。
“お得感を演出”。支援者のメリットを感じるリターン設定を
「自分たちの力だけではここまで支援は集まらなかっただろう」鶴原さんはクラウドファンディングの影響の大きさに驚きを感じると同時に、感謝の意を表してくれた。まだ終わりが見えない新型コロナウイルスの猛威に、今後多くの観光業の人たちが立ち向かうだろう。そんな彼らが、今後クラウドファンディングに挑戦するとき、どのようなことを意識すべきか聞くと「支援者がメリットの感じるリターンを設定する」と答えてくれた。
「ハワイの復興のためと考え、プロジェクトを支援してくれた方たちはたくさんいました。ただ、少なからずリターンのお得感を求めている方もいらっしゃいます。支援者の方たちがメリットに感じなければ、支援を集めるのは難しい。支援者の視点を考えて、リターンを設計するのが良いと思います。僕らは少し安くし過ぎたかもしれませんけどね(笑)」
最後に今回のクラウドファンディングの支援者に向け、鶴原さんからコメントをいただいた。
「たくさんの支援を本当にありがとうございました。ハワイを好きな方がこんなにいるんだとすごく嬉しかったです。ハワイ屈指の観光スポットであるワイキキは、倒産・夜逃げする店舗が増え、街が全く違う景色になってしまった。みなさんが知っているワイキキではない、ゴーストタウンの状態にあります。だからこそ、日本からの観光客が戻ってくるのはとても大きなこと。一人でも多くの人がハワイに足を運び、街を盛り上げてほしいと思います」