プロジェクトデータ
プロジェクト名:道南スギのカヌー作り技術を受け継ぐ挑戦!たくさんの人にカヌー作り体験を届けたい! 募集期間:2023年11月2日〜2023 年12月7日(36 日間) 調達金額:1,334,000円 支援者数:84人 プロジェクトURL:https://camp-fire.jp/projects/view/705972 プロジェクトオーナー:小川航輝さん (森町地域おこし協力隊) @francois_maker(Twitter)
以下、インタビュー形式にてお送りします。
プロジェクトオーナー:小川さん
CAMPFIREモデレーター:佐藤(敬称略)
道南スギという地域資源の認知度を上げることがミッション!
佐藤:本日はお時間ありがとうございます。まずはじめに、自己紹介と併せて協力隊になったきっかけと活動内容ついてお伺いさせていただいてもよろしいでしょうか。小川さん:私は大学・大学院で6年間建築を学び、札幌の工務店で4年間、住宅設計ならびに木材のデジタル加工の仕事をしてきました。リノベーションで出てきた廃材をデジタル加工技術で家具などにリプロダクトしていて、事業として確立できるのではと思っていたのですが、仕事の合間でやっていた中で事業化できずにモヤモヤしていたところで、森町にある建築資材の加工屋さんに森町の地域おこし協力隊を紹介いただき、2023年2月より協力隊に着任しました。
活動内容は、大きく3つミッションがありまして1つは空き家の対策、2つ目は道南スギがメインになるのですが地域の資材のPR、3つ目は地域の方が自由に使える木工施設があるのですけれども、そこの運営管理を任されています。
私は出生が親の海外赴任中にフランスで生まれまして、ミドルネームで「フランソワ」を名乗っています。初めて会った方にもすぐに覚えてもらえて、木工施設での地域の方とのコミュニケーションにも役立っています。
佐藤:お子さんにもすぐに覚えてもらえそうで良いですね。 この木材のPRというのは、例えば商品化をしたりされているのでしょうか?
小川さん:そうですね、商品化がメインで、今回のクラウドファンディングもその一環だと思っているのですけど、地域の材料を使ってシンボルになるような作品を作ることで、北海道内であったり、本州・海外の方に道南スギの良さを知っていただきたいですね。道内の資材を本州に流通させるのって輸送費がかかってしまうので、単価を抑えられなくて、できれば地産地消で北海道内での流通を増やしたいというところが課題の一つです。材料としての認知がまだまだ薄いので、そういった意味で、道内での流通をもうちょっと増やすためのPRをしていきたいです。リターンにあったハガキや名刺・ボールペンが商品化したものです。
セミナーに参加するまでプロジェクトを始めるつもりはなかった
佐藤:ありがとうございます。小川さんは、HIOKOSHI のセミナーに参加されて今回のプロジェクトを実施する事が決まったということですよね。今回のプロジェクト実施の経緯とクラウドファンディングをしようと思ったきっかけについて 教えてください。小川さん:私の場合は、事業承継になると思うのですけれど、開業資金と言うのはあればすごくありがたいんですが、秋田先生という師匠にあたる方の工房で作業できたので、承継するにあたって、圧倒的に足りていない設備は特にはなく、大きなお金っていうのはマストではなかったんです。
いずれゲストハウスとか別の大きなミッションをやる可能性があって、その際はきっとクラウドファンディングを使うだろうなっていうのは漠然と思っていたので、HIOKOSHIの北海道で実施されたセミナーに参加しました。その際のワークショップで、たとえば自分が今クラウドファンディングを実施するならというワークシートをやり、クラウドファンディングの流れみたいなのが理解できたので、より多くの人に道南スギを知っていただく事ができるんじゃないかな、今やってみても良いかな、と思ったのがきっかけでした。本当にあのセミナーがなければ、今こうしてインタビュー受けてなかったですね。
先生の思いが見ている方に届くように
佐藤:HIOKOSHI のサービスが昨年の7月から始まって、各自治体とセミナーを開催させていただく中で、セミナー参加から実際にクラウドファンディングをしていただき、アワードで大賞まで受賞されて、小川さんのプロジェクトは、HIOKOSHI発のロールモデルのようなプロジェクトだなと我々も思っています。今回のプロジェクトはセミナーの講師でもある弊社のパートナー企業さんにサポートをしていただいている形ですが、プロジェクト作成中や実施中に気をつけていたことはありますか。
小川さん:はい。今回のアワードが作られるという話も聞いて、じゃあアワードを狙って、設定金額も最初は10万円とか20万円ぐらいの規模感やるつもりだったのですが、やるなら話題性を含めてもう少し上を目指しましょうかという作戦会議からさせてもらいました。
あとは自分がというよりは、秋田先生の思いみたいなところが、皆さんに伝わればいいなというのは意識しました。
ページは、自分と同じようなテーマでクラウドファンディングされている事例を参考にして、基本的に全て自分で作りま した。
身近な人に丁寧に思いを伝えた
佐藤:ページからも先生と小川さんの良い師弟関係が想像できました!お二人のストーリーが支援者の共感を呼んだ のですね。今回のプロジェクトを広めるためにどんな広報活動をされたのでしょうか?
小川さん:メインはsnsが多かったかなと思います。私の場合、カヌーが欲しいって言ってくださる方もいらっしゃるんですけど、カヌーをリターンとしてクラウドファンデングするわけではなくて、自分の活動を応援してほしいという発信の仕方だったので、地域の人やある程度縁のある人からのご支援が多いのではと予想していたんです。ですのでどちらかというと広げていくというよりかは、自分の身近な人に熱くアプローチしたという感じでした。
佐藤:なるほど。身近な方への呼びかけっていうのは、どういった手法でされたのですか?
小川さん:工房に来てくださる方などに直接お話しさせて頂いたり、あとは地域の新聞に取材をしていただいたので、「新聞を見たよ」と遊びに来てくださる方も多くて、見てくださった方がまた周りの人に伝えてくださったり、結構近い人が自然に広げてくださった感じですね。新聞に載せて頂いたのは本当に大きい効果がありました。
事業承継の課題解決の一つの方法としてのクラウドファンディング
佐藤:工房で制作過程の様子をお話しできたり、道南スギの商品を見ていただいたり、直接見てお話しできるのはとても効果がありそうですね。今回クラウドファンディングを実施してみての気づきはありますか?
小川さん:いろんなメディアだったり、今回のプロジェクトだったり、そこから興味を持ってくださって、カヌーがいくらくらいでできるのかとか、自分で作りたい、みたいな声をいただくようになりましたね。
また道南スギという地域資源であったり、カヌー作りっていう技術だったりというのを知らない若い世代の方が地域の中でも意外と多くて、今まで知らなかった層にこういった地域資源や技術というのがこの町にあるんだよと周知できたのは、良かったです。
佐藤:地域の方が、小川さんのプロジェクトがきっかけで自分たちの地域の事を知るきっかけになったのですね!
小川さん:また事業承継する大きな課題として、興味があったとしても普通の会社員だったら時間や金銭面の融通が利かないこともあると思います。自分は地域おこし協力隊としてある程度柔軟に動けるし給料の保証もある中なので、今回事業承継ができたと思います。ただ、クラウドファンディングでこういった課題をクリアするのは、一つの方法だなと思いましたし、そういった方々の参考になればと思いました。自分の経験が役に立つならぜひ力になりたいなと思いました。
佐藤:小川さんの今回のプロジェクトが、別の地域で眠っている資産や技術を地域おこし協力体が承継する際のロー ルモデルとして地域に広がっていくと良いですよね。
カヌー作りから観光コンテンツへ
佐藤:今後カヌー作りから観光コンテンツを考えていらっしゃるという事でしたが、今後の活動や展望を教えてもらっても良いでしょうか。小川さん:私は空き家対策のミッションもありまして、今後は宿事業をメインにやっていきたいなと思っています。森町は函館が近いのもあって、通過する町になりがちなんです。ただ宿を単独でやったとしても、泊まって楽しめるコンテンツがないと難しいと思っていて、カヌー製作を⻑期滞在でしてもらうようなプランなどを検討しています。ただ、カヌーは1ヶ月程製作に時間がかかるので、滞在日数に合わせたコンテンツをいくつか用意して、利用者がリピートしてくれるような仕掛けを作りたいと思っています。最終的には森町に宿泊施設やイベント会場、工房などを点在させて、森町全体を回遊してもらうような形にできると良いなと考えています。
先生が喜んでくれた事が一番嬉しかった!
佐藤:素敵なプランですね!ぜひ実現していただき、またクラウドファンディングに挑戦していただきたいです!!今回W受賞となりましたが、クラウドファンディングをされて一番良かったことはありますか?小川さん:そうですね。達成感というか嬉しかったのは、秋田先生に大賞を取ったって報告した時に、とても喜んでくださったんですよ。受賞の日はちょっと夜遅かったので、翌日すぐにお会いしに行って報告させていただいたんですけど、すごく喜んでくださいました。「自分が培ってきたものが何かの日本一になるというのが自分のこと以上に嬉しい」と言ってくださって、 正直、受賞した日よりも、報告して秋田先生の笑顔を見た時が 1 番嬉しかったです。
自分がっていうよりは、みんなの代表でたまたま前に出たのが私であって、秋田先生やいろんな人がいいなって思っている技術が認められた、みたいなイメージなんです。なので、大賞をもらって周りの人が喜んでいる姿がすごく嬉しかったです。
協力隊の活動は有限、やるなら早いほうが良い
佐藤:すごく素敵なお話ですね。情景が目に浮かびました!素敵な話をありがとうございます。最後にクラウドファンディングを検討されている方、地域おこし協力隊の方に一言お願いします。小川さん:まずはやってみよう!ですね。私もセミナーに参加して、クラウドファンディングをすることになって、あれだけ準備も何もしてない私がここまで出来ているので、まずはスタートさせるっていうことがすごく大事かなと思っています。スタ ートしてしまえば、助けてくれる方は結構周りにたくさんいるんですよ。やっぱり最初に名乗りを上げるってところ に、皆さんハードルを感じると思うのですが、地域おこし協力隊の活動も3年しかないので、思い立ったらもうやってしまった方がいいのかなって、個人的には思います。結局、めちゃくちゃ作戦を練って、万全の状態でスタートしましょうって言っても、結果はそんなに変わらないと思います。準備しようがしまいが、結局やる状況になるので、そうであるならば早い方がいいかなと。本当にやったもの勝ちだなっていう感じがします。
佐藤:素晴らしいアドバイスですね。準備は大切ですがそれ以上に行動することが成功への第一歩なのですね。クラウ ドファンディングを検討している方々は小川さんの言葉を参考にぜひ一歩を踏み出していただきたいと思います。 実施者ならではのご経験談ありがとうございました!