- 学生起業のメリット・デメリットと、未成年(高校生)が知っておくべき注意点がわかります。
- 「小さく試す」を軸にした学生起業のやり方を5ステップで確認できます。
- 学生でも使いやすい資金調達方法5つと、大学生・高校生のクラウドファンディング実例を解説します。
学生起業の始め方|大学生・高校生の実例と「小さく試す」5ステップ

この記事で学べること
「起業に興味はあるけれど、自分にできるか分からない」。そう感じて、この記事にたどり着いたのではないでしょうか。まわりに起業した友人はいないし、お金も経験もない。授業や部活、アルバイトで忙しいなか、そんな挑戦に踏み出せるのか——。この不安は、あなただけのものではありません。起業に関心を持つ多くの学生が、同じ場所で足踏みしています。
けれど、学生起業は特別な才能を持つ一部の人だけのものではありません。日本政策金融公庫総合研究所「2025年度起業と起業意識に関する調査」(2026年2月公表)によると、起業家の起業時年齢は「29歳以下」が最多とされています。若い世代の挑戦は、2026年のいま、もう珍しいことではないのです。SNSやオンラインツールが整い、少ない元手でも「まず試してみる」ことができる時代になりました。

学生起業とは?データで見る学生起業家の今
学生起業とは、大学生や高校生などの学生が在学中に自ら事業を立ち上げることであり、卒業後の就職だけを前提とせず「学びながら挑戦する」という特徴があります。就職か起業かの二択ではなく、在学中に事業を試し、卒業後にどうするかを考える人も増えています。近年は環境が整い、学生の起業は着実に広がっています。
その広がりは、データにも表れています。経済産業省「令和6年度大学発ベンチャー実態等調査」(2025年6月6日発表)によると、大学発ベンチャー数は5,074社(2024年10月時点)に達し、前年度比786社増で過去最高を更新しました。大学を起点とした挑戦が、年々増えているのです。
高校生の動きも見逃せません。日本政策金融公庫「高校生ビジネスプラン・グランプリ」第13回(2025年度)には、応募プラン5,640件・応募校639校・応募者14,967名が集まりました。高校生が事業アイデアを本気で考える場は、すでに全国規模で存在しているのです。

なぜ、いまこれほど学生起業が現実的になったのでしょうか。背景には、環境の変化があります。かつては店舗や設備に多額の初期投資が必要でしたが、いまはSNSで無料で発信でき、オンラインで販売でき、クラウドファンディングで資金と需要を同時に確かめられます。日本政策金融公庫「2025年度新規開業実態調査」では、開業費用の平均は975万円、中央値は600万円とされ、長期的に見ると、少額化の傾向が指摘されています。「大きな元手がなければ始められない」という時代の常識は、少しずつ変わりつつあるのです。
学生が起業する5つのメリット
学生が起業することには、社会人にはない固有の強みがあります。時間の自由、失敗のリスクの低さ、大学という支援環境の3つが特に大きく、さらに同世代の課題が見えることや、再挑戦しやすさも加わります。これらは「学生だから不利」という思い込みを覆す、れっきとしたアドバンテージです。むしろ、社会人になってからでは得にくいものばかり。順番に見ていきましょう。
- 時間の余裕がある:学生は、社会人に比べて時間の使い方を自分で設計しやすい立場です。授業の合間や長期休暇を使い、試行錯誤に時間を投じられます。社会人が仕事のあとの限られた時間で起業準備をするのに比べ、学生はまとまった時間を確保しやすいのが強みです。うまくいかなくても軌道修正する余裕があり、扶養に入っていれば生活費のプレッシャーも比較的小さくて済みます。この「時間」という資産は、お金では買えません。
- 低リスクで始められる:起業と聞くと大金が必要に思えますが、実態は違います。前述の起業意識調査では、起業費用は「費用はかからなかった」が32.2%、「50万円未満」が29.4%で、合計6割超が50万円未満に収まっています(出典: 日本政策金融公庫「2025年度起業と起業意識に関する調査」)。家族を養う責任がまだ軽い学生であれば、なおさら小さく始めやすい立場にあります。金銭的なダメージを限定できるからこそ、思い切った挑戦がしやすいのです。ただし、学費や生活費を切り崩してまで投じるのは避けてください。
- 大学の支援資源を使える:ゼミや教授、研究設備、同級生とのつながりは、学生だけが持つ資産です。専門知識を持つ教授に気軽に相談でき、同じ興味を持つ仲間も見つけやすい環境があります。起業支援プログラムやインキュベーション施設を設ける大学も増えており、資金や場所の面で後押しを受けられることもあります。こうした環境は、卒業すると当たり前には使えなくなります。在学中こそ、最大限に活用したいところです。
- 同世代の課題が見える:学生は、同世代のリアルな悩みや不便を肌で感じられる立場にいます。「自分が困っていること」は、同じ世代の誰かも困っていること。就職活動、SNS、学業、人間関係——そこにある不満や不便は、当事者だからこそ具体的に見えます。大人が想像で作るサービスより、当事者が作るサービスのほうが刺さることは少なくありません。この視点は、若いうちにしか持てない貴重なものです。
- 失敗しても再挑戦できる:学生時代の挑戦は、たとえうまくいかなくても「経験」として残ります。就職という選択肢も残されており、やり直しがききます。むしろ、挑戦した経験そのものが就職活動で語れる強みになることもあります。若いうちの失敗は、キャリア全体で見れば小さなつまずきに過ぎません。早く挑戦するほど、失敗から学べる回数も増えていきます。
学生起業のデメリットと注意点
学生起業にはメリットが多い一方、正直に知っておくべき弱点もあります。主なものは「資金調達の難しさ」「社会的信用の不足」「経験の少なさ」の3つです。ただし、いずれも致命的なものではなく、工夫と準備で乗り越えられる範囲です。デメリットを正しく知っておくことは、対策を立てる第一歩になります。目をそらさず、一つずつ見ていきましょう。
資金調達の難しさ:学生は収入や実績が乏しく、金融機関からの融資を受けにくい傾向があります。実際、「2025年度起業と起業意識に関する調査」で起業関心層がまだ起業していない理由の1位は「自己資金が不足している」で48.4%でした。この壁は学生に限らず、起業を考える多くの人が直面するものです。ただし、後述するように資金調達の方法は融資だけではありません。返済不要のクラウドファンディングや補助金など、学生でも挑戦しやすい選択肢があります。
社会的信用の不足:「学生」という立場は、取引先や顧客から実績を疑われる場面があります。事業用の口座開設や店舗契約で制約を受けたり、「本当に続けられるのか」と見られたりすることもあるでしょう。とはいえ、信用は最初から持っているものではなく、小さな実績を一つずつ積み重ねて育てていくものです。丁寧な対応と着実な実行を続けるうちに、「学生だから」という視線は「頑張っている若者」への応援に変わっていきます。
経験不足:経理、契約、税務、マーケティングといった実務の経験が少ないのは事実です。最初はどこから手をつければいいのか分からず、戸惑うことも多いはずです。しかし、これは大学の支援窓口やオンラインの情報、商工会議所などの相談機関、専門家への相談で十分に補えます。すべてを自分でこなす必要はありません。分からないことを一人で抱え込まず、早めに人を頼ることが、遠回りを避けるコツです。
なお、税務や契約に関する具体的な判断は、税理士などの専門家や、商工会議所・大学の起業支援窓口といった相談機関に確認することをおすすめします。
高校生でも起業できる?未成年が知っておくべきこと
高校生でも起業への挑戦は可能ですが、未成年の場合は契約や口座開設などの場面で親権者(保護者)の同意が必要になることが一般的です。まずは保護者と相談しながら進めるのが基本になります。
民法5条では、未成年者が契約などの法律行為を行うには、原則として法定代理人(親権者など)の同意が必要とされています。同意を得ずに結んだ契約は、後から取り消すことができます(同条2項)。事業用の銀行口座を開く、店舗を借りる、仕入れの契約を結ぶといった場面で、保護者の関与が求められることがあるのはこのためです。逆に言えば、保護者の理解と協力があれば、高校生(未成年者)でもできることは大きく広がります。まずは家庭で「こんな挑戦をしたい」と話すところから始めましょう。
なお、お小遣いなど「目的を定めずに処分を許された財産」の範囲内での取引や、単に権利を得るだけの行為など、この原則には民法上いくつかの例外もあります。個別の契約が有効かどうかの判断は状況によって異なるため、具体的なケースについては弁護士等の専門家や、消費生活センター・大学の起業支援窓口などの公的な相談機関に確認することを強くおすすめします。
学業との両立をどう設計するか
学業と起業の両立は、多くの学生が最初に悩むポイントです。結論はシンプルで、「最初から大きくやらない」こと。小さく始めれば、両立は十分に可能です。
学生起業のやり方5ステップ【小さく試すのが鉄則】
学生起業を進めるときは、いきなり完成形を目指さないことが成功の鍵です。まずは「➀思いつく→➁試す→➂続ける」という3つのステージを意識してください。多くの人がつまずくのは、①からいきなり③に飛ぼうとするからです。
学生起業のプロセスは、次の3ステージに整理できます。
- 思いつく:アイデアを見つける段階
- 試す:小さく出してみて、需要があるか確かめる段階
- 続ける:手応えを得た事業を、育てていく段階
つまずきの多くは、②を飛ばして③にジャンプしようとすることで起きます。準備に半年かけて大きく始めたのに、誰も欲しがらなかった——これは②を省いた典型例です。鍵は②「試す」にあります。

このステージ感を頭に置いたうえで、具体的な5ステップを見ていきましょう。

ステップ1:アイデアを見つける(自分の「不便・好き」から)
アイデアは、遠くではなく足元にあります。日常で感じる「これ不便だな」「もっとこうだったらいいのに」という違和感や、時間を忘れて熱中できる「好き」が出発点です。学生である自分自身が、最良のリサーチ対象です。ノートに「困ったこと」「あったらいいもの」を1週間書き出すだけでも、アイデアの種は驚くほど集まります。壮大な発明である必要はありません。身近な小さな不便こそ、共感を集めやすいテーマになります。

あなたの起業アイデアを1文にしてみよう
所要時間の目安:10分
✨ AIとチャレンジワークをやってみる
以下のテンプレートをコピーし、【ここに入力】の中を自分の言葉で書き換えてください。すべてを決め切る必要はなく、現時点の「たたき台」で構いません。
【コピー用テンプレート:学生起業アイデア 言語化シート】
1. Who/What|誰の、どんな困りごとを解決したいのか
私は、【ターゲット(誰):同世代/地域の人など】が抱えている 【困りごと・課題】を、【提供したいサービス・商品】で解決したい。
2. Why|なぜ自分がこの挑戦をしたいのか
そう思うのは、【自分自身の経験・好き・問題意識】があるから。
3. How|どうやって、どんな規模で始めるのか
まずは【SNS発信/小さなイベント出店/モニター募集/ クラウドファンディングなど】で試したい。
4. 守りたい条件
【学業を優先する/学費や生活費には手をつけない/保護者に相談するなど】 は守る。
最後に1文でまとめる
私は、【Why】という思いから、【Who】が抱える【What:困りごと】を 【提供したいこと】で解決する。まずは【How:試し方】から始める。
記入例:私は、テスト前の勉強法に悩んだ経験から、同じ学部の後輩が抱える「効率的な勉強法が分からない」という困りごとを、オンライン学習サポートで解決する。まずはSNSでの発信と、友人への無料モニター提供から始める。
ここで作った1文は仮置きで構いません。次のステップ「小さく試して需要を確かめる」で、実際の反応を見ながら更新していきましょう。
ステップ2:小さく試して需要を確かめる(テストマーケティング)
テストマーケティングとは、本格展開の前に商品やサービスを小さく試す手法であり、需要があるかを事前に確かめられるという特徴があります。SNSでの発信、小さなイベント出店、試作品のモニター募集、クラウドファンディングなどが代表的な方法です。ここで大切なのは、「作る前に反応を見る」こと。たとえば商品を作り込む前に、SNSで「こんなサービスがあったら使いたいですか?」と問いかけるだけでも、貴重な手応えが得られます。反応があれば前進、なければ方向転換。この段階を丁寧に踏むことが、後の失敗を防ぎます。


監修者
中野 裕哲
税理士・起業コンサルタント®
💬 監修者からのひとこと
学生起業にとって「テストマーケティング」はとても重要なステップです。実際に試して現場経験を得ることで、社会経験に乏しいという欠点を減らすことができます。また、実際に起業した際に、「お客様の声を反映したサービスや商品の提供」を可能とします。比較的、時間に余裕がある学生起業だからこそ、テストマーケティングで試すことは効果的です。
中野 裕哲のプロフィールと監修記事を見る →ステップ3:お金の計画を立てる
必要な費用と、どこから資金を得るかを整理します。前述のとおり、費用ゼロで始めた起業家は32.2%。まずは「何にいくらかかるのか」を紙に書き出し、手元資金でできる範囲を見極めましょう。そのうえで、足りない分をどう補うかを考えます。最初から借入に頼るのではなく、小さく始めて売上や支援で回していく設計にすると、リスクを抑えられます。

監修者
中野 裕哲
税理士・起業コンサルタント®
💬 監修者からのひとこと
お金の計画は専門的な知識が必要になります。開業に必要な物件の取得費、改装費、設備の購入費、売上があがるまでの運転資金など、お金の計画があいまいだと、開業した後に資金がなくなり廃業に至る可能性もあります。起業したい業種で活躍する地域の先輩経営者や専門家などにアドバイスをもらい、しっかりとした資金計画を立てることが重要です、
中野 裕哲のプロフィールと監修記事を見る →ステップ4:手続きを整える(まずは個人事業主から)
必ずしも最初から法人を作る必要はありません。法人設立には費用も手間もかかります。多くの場合、まずは個人事業主として税務署に開業届を出すところから始めれば十分です。開業届の提出自体は無料で、手続きも比較的シンプルです。法人化は、売上が安定し、取引先との関係や節税の面で必要性が出てきてから検討しても遅くありません。段階を踏むことが、無理のない進め方です。
ステップ5:始めて、改善し続ける
完璧を待たずに始め、顧客の反応を見ながら直していく。この繰り返しが事業を育てます。最初のかたちが最終形である必要はありません。むしろ、実際に使ってもらって初めて分かる改善点のほうが多いものです。お客様の声を聞き、少しずつ良くしていく。走りながら整えるこの姿勢が、続く事業と続かない事業を分けます。始めることを、恐れすぎないでください。
このアイデア、本当に需要があるかな?
CAMPFIREのAIチャットなら、チャットに返信していくだけで、アイデアの整理からあなた専用のクラウドファンディング企画書の作成まで行います。「まず試す」の第一歩を、ここから始めてみませんか?
学生の資金調達方法5つ【比較表つき】
学生の資金調達には、大きく5つの方法があります。自己資金、ビジネスコンテスト・グランプリ、クラウドファンディング、補助金、公的融資です。それぞれ返済の要否やハードルが異なるため、事業の性質に合わせて選びましょう。
その前に、大切な前提を1つ。そもそも起業に大金は必要ないケースが多いのです。前述のとおり、起業費用が「費用はかからなかった」は32.2%、「50万円未満」は29.4%。「起業=多額の資金集め」というイメージは、必ずしも実態と一致しません。まずは「いくらなら手元で試せるか」から考えると、無理のない選択肢が見えてきます。そのうえで、足りない分を下記の方法で補うのが現実的です。

5つの方法を比較すると、次のように整理できます。
| 資金調達の方法 | 返済の要否 | 金額の目安 | ハードル | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 自己資金 | 不要 | 案件による(少額から可) | 低い | まず小さく試したい人 |
| ビジネスコンテスト・グランプリ | 不要(賞金) | 案件による | 高(選考あり) | アイデアを磨きたい人 |
| クラウドファンディング | 不要(原則) | 案件による | 中(共感を集める発信力) | 需要を試したい人 |
| 補助金 | 原則不要(採択時) | 案件による | 高(申請・審査) | 事業に本格的に取り組む人 |
| 公的融資 | 必要 | 案件による | 高(審査・信用) | まとまった資金が要る人 |
それぞれのポイントを補足します。
自己資金:バイト代や貯金など、自分の手元資金です。返済不要で誰にも気兼ねなく使え、自由度が高いのが特徴です。金額は小さくても、「まず試す」第一歩には十分機能します。ただし無理は禁物。学費や生活費を削ってまで投じるのは避け、失っても生活に支障が出ない範囲で使うのが鉄則です。小さく始めれば、必要な自己資金も少なくて済みます。未成年の場合、事業のための大きな支出は保護者に相談してから行いましょう。
ビジネスコンテスト・グランプリ:アイデアを競い、賞金や支援、メンタリングを得られる場です。前述の高校生ビジネスプラン・グランプリのように、高校生が参加できる大会もあります。大学や自治体、企業が主催するコンテストも数多くあります。魅力は賞金だけではありません。応募書類を作る過程でアイデアが整理され、審査員や参加者からのフィードバックで事業が磨かれます。入賞しなくても、人脈と経験という財産が残ります。
クラウドファンディング:クラウドファンディングとは、インターネットを通じて多くの人から少額ずつ資金を募る仕組みであり、共感してくれた支援者から前払いで資金を集められるという特徴があります。学生にとって特に相性が良いのは、資金が集まること自体が「需要がある」証明になる点です。つまり、資金調達とテストマーケティングを同時に行えるのです。返済も原則不要で、実績や信用が乏しくても、アイデアへの共感さえあれば挑戦できます。CAMPFIREでは学生・学校関連のプロジェクトが4,600件あり、支援は214,000件にのぼります(2025年12月時点、自社調べ、出典: CAMPFIRE「学校・部活・学生活動×クラウドファンディング」)。未成年がプロジェクトを実行する場合、口座開設や資金の受け取りに保護者の関与が必要になることが一般的です。
同世代がどんな挑戦をしているのか、まず眺めてみるだけでもヒントになります。
CAMPFIRE「学校・部活・学生活動×クラウドファンディング」
補助金:国や自治体が事業を後押しする資金です。採択されれば原則返済不要の資金になりますが、申請書類の作成や審査があり、ハードルは高めです。また、満額は補助されないため、一定の自己資金も必要です。募集期間や対象要件が決まっているため、情報収集も欠かせません。手間はかかるものの、返済不要でまとまった資金を得られる可能性があるのは大きな魅力です。事業として本格的に取り組む段階で、検討する価値があります。
公的融資:日本政策金融公庫などの公的機関からの借入です。民間の金融機関より、創業間もない事業者や若い世代でも相談しやすい制度が用意されています。まとまった資金を得られる一方、当然ながら返済義務があり、事業計画や自己資金などにもとづく審査もあります。返すあてのない借入は避けるべきです。事業計画がしっかり固まり、売上の見込みが立ってから検討する方法だと考えてください。なお、融資契約は法律行為にあたるため、未成年が単独で締結することはできません。
これら5つは、どれか1つに絞る必要はありません。段階に応じて組み合わせるのが現実的です。たとえば、最初は自己資金で小さく試し、手応えを感じたらクラウドファンディングで本格展開の資金と需要を確かめる。事業として成長させる段階で、補助金や融資を検討する——といった流れです。学生のうちは、返済リスクの小さい「自己資金」と「クラウドファンディング」から始めるのが、もっとも安全で挑戦しやすいルートだと言えます。
リアルな成功例【CAMPFIREプロジェクト】
事例: 沖縄の大学生・スムージー店開業

沖縄の大学生の女性は、「一杯のスムージーで『笑顔の島』をつくる」ことを掲げてプロジェクトを立ち上げました。目標60万円に対し、支援総額は677,500円、支援者は82人(2026年4月終了・達成率約113%)。沖縄のフルーツで農家と地域をつなぐ店を、2026年7月に開業しました。(出典:プロジェクトページ)
注目したいのは、「スムージーを売りたい」で終わっていない点です。地元の農家と地域をつなぐという社会的な意味づけと、自分自身の「好き」が重なっている。この二つが響き合ったことが、多くの共感を集めた理由だと考えられます。
いきなり大きな事業を狙うのではなく、まず試せる規模から。夢を抽象的に語るのではなく、完成後の姿が見えるほど具体的に。そして「なぜ自分がやるのか」という思いを、計画にきちんと乗せる。この3つがそろったとき、見知らぬ誰かも「応援したい」と財布を開いてくれます。有名でなくても、実績がなくても、支援は集められるのです。
インタビュー:FieldWorks(山岸開さん)

支援を頂くだけではなく「ぜひ農業を変えて欲しい。」という声もいただけたので、非常に励みになったというか「これをやるのは間違いないんだな」というのがわかったのがよかったです。
自分たちの目標金額から大きく超える支援額が得られたこともあって、そこは一定の評価をしていただけていると感じます。
また、支援実績もそうですが、支援者の声の部分が大きかったように感じます。
本当にこの商品を欲しい人がいるという事実が、プロジェクトページを通して証明できました。
プロジェクトオーナー: FieldWorks(山岸開さん)
学生起業で失敗しないために——「小さく試す」という考え方
学生起業でつまずくパターンには、共通点があります。よくあるのは「大きく始めすぎる」「仲間との役割が曖昧」「学業との両立計画がない」の3つです。いずれも、意志の弱さや能力不足が原因ではなく、進め方の問題。だからこそ、「小さく試す」という考え方で十分に防げます。
失敗パターン1:大きく始めすぎる:最初から立派な店舗や大量の在庫をそろえ、需要を確かめる前に大きく投資してしまうケースです。「本気度を見せたい」という思いから、つい規模を大きくしがちです。しかし売れなかったときのダメージが大きく、一度の失敗で再挑戦の余力を失ってしまいます。最初は「これで足りるの?」と思うくらい小さくて構いません。
失敗パターン2:仲間との役割が曖昧:友人同士で盛り上がって始めたものの、誰が何を担当するかが決まっておらず、責任の所在が不明になるケースです。仲が良いほど「言わなくても分かるだろう」と役割分担を後回しにしがちですが、これがすれ違いの原因になります。始める前に、担当・意思決定のルール・お金の扱いを言葉にして共有しておくことが大切です。
失敗パターン3:学業との両立計画がない:勢いで始めたものの、テスト期間や卒業要件を考えておらず、途中で身動きが取れなくなるケースです。事業が忙しくなった時期に単位を落とす、といった事態は避けたいところ。学業のスケジュールを前提に、繁忙期には力を抜けるよう、無理のない設計をあらかじめしておきましょう。
これら3つの対策は、すべて同じ結論に行き着きます。テストマーケティングで需要を確かめてから本格化することです。小さく試せば、投資も、仲間との負担も、学業への影響もすべて抑えられます。うまくいく手応えを得てから少しずつ大きくしていけば、致命的な失敗はまず起こりません。

学生起業に関するよくある質問
Q. 学生起業は何から始めればいいですか?
まずは、自分の「不便」や「好き」からアイデアを見つけることです。次に、SNSやイベント、クラウドファンディングで小さく試し、需要があるかを確かめます。ここで反応を見てから、お金の計画や手続きに進みます。いきなり会社を作ったり大きく投資したりせず、「思いつく→試す→続ける」の順で進めるのが鉄則です。最初の一歩は、アイデアを紙に書き出すだけでも構いません。
Q. 高校生でも会社を作れますか?
未成年の場合でも会社をつくるのは可能ですが、契約や口座開設などの場面で親権者(保護者)の同意が必要になることが一般的です(民法5条)。反対されるのを恐れて隠すより、早めに保護者と相談しながら進めるほうが、結果的にスムーズです。具体的な法的要件は状況によって異なるため、専門家や公的な相談窓口に確認することをおすすめします。
Q. 会社設立(法人化)は必要ですか?
必ずしも最初から法人化する必要はありません。法人設立には費用も手間もかかります。多くの場合、まずは個人事業主として開業届を出して始めれば十分です。法人化は、売上が安定し、取引や税制面で必要性が出てきた段階で検討すれば遅くありません。段階を踏んで判断しましょう。
まとめ|いきなり成功しなくていい。まずは試せばいい
- 学生起業はもう珍しくない。起業家の一定数が29歳以下とされ、大学発ベンチャーも高校生の挑戦も増えています。
- 大金は必要ないことが多い。起業費用は6割超が50万円未満。まずは手元でできる範囲から始められます。
- 鍵は「小さく試す」こと。➀思いつく→➁試す→➂続ける、の順で。②を飛ばさないのが失敗を防ぐコツです。
- 資金調達には5つの方法がある。返済不要のクラウドファンディングや補助金など、融資以外の選択肢も豊富です。
- 失敗のダメージは工夫で小さくできる。クラウドファンディングで需要を試せば、大きな損失を避けられます。
大切なのは、完璧な準備が整うのを待たないことです。多くの人は「もっと知識をつけてから」「お金が貯まってから」と先延ばしにするうちに、熱量が冷めてしまいます。学生という時間の余裕がある今こそ、小さく動き出す絶好のタイミングです。未成年の方は、契約や資金が関わる場面では必ず保護者に相談しながら進めてください。
この記事は2026年9月時点の情報に基づいて執筆しています。法令・制度の変更により内容が変わる場合がありますので、最新情報は各行政機関にご確認ください。特に未成年の契約・法律行為に関する内容は、個別の状況によって扱いが異なるため、必ず専門家・公的な相談機関にご確認ください。






監修者
中野 裕哲
税理士・起業コンサルタント®
💬 監修者からのひとこと
学生起業は、時間や周りからの支援といったメリットがあるものの、資金面や信用面が乏しいいというデメリットもあります。しかし、「学生だから経営が成功しない」ということはありません。自分自身と学生だからこそもつ強みを掛け合わせることで強い武器を手に入れられることもあります。まずは、「動いてみる」ことがなによりも重要です。
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