地方の小さな声から生まれた大きな革新!“AI草刈りロボット”開発の軌跡

ロボコン仲間の家族からの「夏の草刈りが大変だからロボットで何とかできないか」という相談の声から作り上げたAI草刈りロボ。CAMPFIREアワード2023「#未来につないだ部門」受賞に至ったFieldWorksが目指す、地域課題を技術で解決するための姿勢とは。

プロジェクトデータ 

プロジェクト名:AI草刈ロボで農業の草刈り負担を減らしたい!ロボット開発プロジェクト【長岡】 
募集期間:2023年7月14日~2023年7月31日(17日間) 
調達金額:1,687,277円 
支援者数:31人 
プロジェクトURL:https://camp-fire.jp/projects/view/682133 
プロジェクトオーナー:株式会社FieldWorks
新潟県長岡市・高専卒の2名が立ち上げた農業用ロボットの開発・製造を行うベンチャー 「FieldWorks」が挑戦する、AIを搭載した自動草刈りロボット開発プロジェクト。 

FieldWorksの前身であるロボットコンテスト団体(以下、ロボコン)の仲間の実家が農家で「草刈りが大変である」とのエピソードから、当プロジェクトオーナーの山岸さんが実際に現地に足を運び農業への課題感を抱いたのがきっかけで、起業から1ヶ月のハイスピードでクラウドファンディングを起案しました。 

「ロボット技術で、持続可能な農業を実現したい」を理念に掲げ、地元の課題である農家の高齢化による負担増加を食い止めるため“小さな声をカタチに”した動きは、同じ課題感を持つ方からの支援を獲得します。 

限られた予算や地方での取り組みなどの制約がある中でも技術と情熱が融合した時、小さな挑戦が大きな変化を生み出すことができることを証明した当プロジェクトは、目標金額100万円を上回る160万円超えの支援を獲得して終了。 

今回のCAMPFIREアワード2023「未来につないだ部門」の受賞に至りました。 

当対談ではCAMPFIRE代表取締役の家入一真と共に、クラウドファンディングに至った原体験からプロジェクトを通して得られたものについて自身の体験をお話いただきました。 
以下、対談形式にてお送りします。 
プロジェクトオーナー:山岸開さん(以下「山岸さん」) 
CAMPFIRE代表取締役:家入(敬称略) 

創業1ヶ月で挑戦!AI草刈りロボ先行販売プロジェクト! 

家入:この度はCAMPFIREクラウドファンディングアワード2023「未来につないだ部門」の受賞おめでとうございます。 

FieldWorksさんは2023年の6月に起業をされ、わずか1ヶ月でクラウドファンディングに挑戦されていると伺いました。 

創業からの第一歩目の挑戦としてクラウドファンディングを選んだ理由と、そのスピード感で意識した部分を教えていただいてよろしいですか。 

山岸さん:ありがとうございます。 私たちFieldWorksは昨年の6月に創業し、農業用の草刈りロボット開発をしているので、どうしても草刈りのシーズンである夏までに間に合わせる必要がありました。 

また、創業の半年前からすでに製品作りには取り掛かっていたので、結果的に創業から1ヶ月という短期間でクラウドファンディングに取り組めたというのもあったと思います。 
家入:夏のシーズンに間に合わせるために必要なスピード感だったんですね。確かにクラウドファンディングにおいてシーズンはすごく重要なポイントだと思います。 

山岸さん:はい。すごく急いでいたのでプロジェクト掲載期間自体も短かいものになりました。 

クラウドファンディングを選んだ理由として、限られた予算のもとでしたので開発費の確保の目的もありましたが、私たちのロボットを実際に市場が望んでいるかを知りたかったというのが大きな理由です。 

また、当時は一般的なECサイトに出せる状態のロボットがまだなかったので、まずはクラウドファンディングで先行販売を行い、支援してくださる方々に製品をお渡ししたいと思いました。 

家入:実際にプロジェクトを行ってみた結果として、市場調査の側面で役に立った感覚はありましたか。 

山岸さん:はい。実際にロボットを購入していただいたり、レンタルしてくださったお客様もいました。 

あと、支援を頂くだけではなく「ぜひ農業を変えて欲しい。」という声もいただけたので、非常に励みになったというか「これをやるのは間違いないんだな」というのがわかったのがよかったです。 

自分たちの目標金額から大きく超える支援額が得られたこともあって、そこは一定の評価をしていただけていると感じます。 

また、支援実績もそうですが、支援者の声の部分が大きかったように感じます。 

本当にこの商品を欲しい人がいるという事実が、プロジェクトページを通して証明できました。 

地方の課題解決と技術の融合で開拓する未来 

家入:山岸さんは、新潟県長岡市で活動しているからこそ見えている地方の課題や未来があるのではないかと思います。 

様々な挑戦ができるクラウドファンディングですが、その中でも山岸さんが挑戦されたような「地域から新しいチャレンジを生み、新しいお金の流れをつくること」はかなり重要な要素なのではないかと思っています。 

山岸さん今の農業が直面しているのは今後10年から20年で劇的に人口が減少し、広大な土地だけでなく人々の暮らしや街の景色が失われてしまうかもしれないという危機感です。 

特に地元や、さらに田舎の地域ではこの問題が如実に表れていて、もったいないというか悲しい気持ちになるんですよね。 

なので、自分が直接農業を行うことは難しいけれど、これまで培ってきたロボット技術で限界集落などのより小さな地域の生活を維持できればと思い、このプロジェクトを始めました。 
FieldWorks Instagramより
家入:本当に素晴らしいと思います。僕もよく考えるのですが、日本ではずっと少子高齢化による人口減少が大きな課題として挙げられていて、必然的に経済も縮小していかざるを得ないですよね。 

その結果、税収も減少し国や行政がこれまで維持してきたものが賄えなくなり、社会から取り残される人々も出てきてしまう。 

日本中の多くの場所で様々な課題が生じているけど、その中心に人口減少がある中で、これからどのように持続可能な社会を築いていくか。 

スタートアップが存在する意味も、まさにこれらの課題にどう向き合っていくかにあると思っています。 

課題というと悲壮感が漂うけど、悲観するよりもこれから人口が減っていく中でイノベーションやテクノロジーでやれることはたくさんあって。 

まさに山岸さんが取り組まれていることは日本各地で必要とされていることだし、将来的には海外でも大きな影響を与えることができるかもしれない。 

それがすごくやりがいのあることなんだと思います。 

山岸さん:仰る通りだと思います、本当にありがとうございます。 

起業のきっかけ、高専コミュニティの刺激。 

家入:今回、高専のOBの方やロボコン界隈の方々からの支援も多い印象でしたが、何かコミュニティの繋がりや強さを感じるようなこともありましたか。 

山岸さん:はい。自分は新潟県の長岡高専出身なのですが、長岡高専のOBや同期の方からいただいた支援は多かったです。 

また、クラウドファンディングの支援を頂くという形だけではなく、ロボコンの同期が他の会社で働きながら弊社を気にかけてくれています。 

やっぱりずっと自分がリーダーとしてやってきたロボコンのチームメンバーと一緒に、物作りをしていきたいっていう思いは、自分にもみんなの中にもあるのかなと感じています。 

家入:そうなんですね。高専やロボコンに関連する方の中には起業家も多いような印象もありますが、そういった環境が山岸さんのマインド形成に影響があったのでしょうか。 

山岸さん:はい。長岡高専の同級生が2人、自分より早く起業していて。そのうちの1社で自分も1年半くらいアルバイトをしていました。 

そこがロボット系の企業でもあったので横で見ていてすごく刺激になったし、自分の起業したい気持ちの原点にもなっていたと思います。 

家入:そうなんですね。僕の場合は中学2年生から学校に行けなくなって、ずっと家に引きこもっていた時、インターネットを通じて知らない人たちと交流したことがきっかけで起業に繋がったと思います。 

インターネットがあることで、何もない状態からでも新しいことを始めるきっかけを作り、仲間を見つけて活動を広げていく力を持っていることを実感しました。 

そうやって仲間とつながることで、自分がエンパワーメントされることってありますよね。 

山岸さん自身、高専というコミュニティにいた経験が起業につながったとのことですが、これから起業したいと思っているみなさんにお伝えしたいことはありますか。 

山岸さん:研究や何かを専門に学ばれている方って何かしらの技術を世に出したいとか伸ばしたいっていう気持ちがあると思っていて、それであれば起業という選択肢は捨ててほしくないです。 

個人的な主観ですけど、高専はかなりのスピード感で物作りをしなければならない世界だったので、そのガッツやスピード感や研究の大変さの経験は起業においても活きていると思います。 

地方の小さな声を、自分たちの大きなやりがいに。 

家入ロボコン仲間のご実家が農業をされてて「草刈りが大変だ」という声を聞いて草刈りロボットの開発を始めたというのも、小さな声を形にしていきたいと思っているCAMPFIREの理念に近しいプロジェクトだったのではないかと思っています。 

この、“地方であってもどんな場所にいても小さな声を上げたところから広がっていく”ということに関して、どのような思いがあって今回のプロジェクトに至ったのでしょうか。 

山岸:はい。自分が大学生の頃に仲間たちと「ロボコンの技術を社会に役立てたい」とよく話していたのですが、実際にそれをビジネスにするのは想像以上に難しい課題が多く、どう進めばいいのか見通しが立ちませんでした。 

その時、チームメンバーの一人が長野県の山間部で米作りをしている家族から、「夏の草刈りが大変だからロボットで何とかできないか」と相談されたんです。 

ちょうどその頃、2022年2月にウクライナで戦争が始まり、世界的に食料危機が起こるかもしれないという危機感がありました。 

その一方で日本では農村部が減少しているという矛盾を抱えた現状を目の当たりにし、ロボット技術を使って農業を支えることが、私にとって大きなやりがいや使命になるのではないかとと思ったのがきっかけです。 

家入:すごく志が高くて本当に素晴らしいプロジェクトだと思いました。 

クラウドファンディングは、資金調達だけでなくテストマーケティングや仲間集め、コミュニティ作りなどさまざまな使い方があります。 

様々なプラットフォームがある中で、CAMPFIREという社名は小さな火(チャレンジ)をみんなで囲み薪をくべて火を大きくしていくように、小さな挑戦が徐々に大きな影響へと成長していくことから来ていて。 

CAMPFIREは日本各地の小さな声を拾い上げ、その火を少しずつ大きくできるように支えていきたいと思っています。 

今回のFieldWorksさんのチャレンジはまさにそういった地方の小さな声を拾い上げるもので、僕たちにとって本当に嬉しくありがたいものでした。 

山岸:ありがとうございます。今開発中のロボットが世に出たらまたぜひお話させてください。 

家入:ぜひ、楽しみにしています。これからも応援しています。

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