2014/08/23 09:43
膨らみの問題を報告してから3週間が経ちますが、ようやく対策が決まりました。厚み2㎜、幅18㎜のアクリル板を剥がれるタイプの両面テープを使って中央部に裏張りすることで良好な結果が得られました。
単純な解決策ですが、この対策に至るまでには、3週間にわたって失敗を繰り返しながら実験を行う必要がありました。苦闘の3週間でした。以下、お読みいただくほどの価値はありませんが、わが「実験ノート」です。記録として残しておきます。

1) 平置きではなく、丸く巻いて保存
前回の写真は、畳の上に平置きしておいたプリントを吊るしたもの。丸く巻いて上下にまき癖を付けた方が左右の反りは減ると考え、3日間ほど巻いて保管した。結果は良好で、吊り下げてもまったく反りはない。やった!しかし、数時間後から徐々に変化し、半日後には元の木阿弥。

2) 完全空調の部屋で保管
玄関に吊るしたプリントは、朝晩で膨らみ具合が変化する。朝の方が5㎜程度膨らみは少ない。やはり高温多湿が原因のようだ。写真展会場は空調が効いているので、それまで24h空調した部屋で保管し、輸送はクール宅急便にしてはどうか。しかし、これでうまく行くと言う保証はない。現実的な解決策が必要。

3) プリントと壁の隙間を短くする
最初に玄関に8枚吊るした時は、プリントから壁まで3cm程度か、壁のないところであった。これを壁に近づけたら解決できないだろうか。
両会場ともにピクチャーレールが使われているが、フックの「し」中央部と壁面の隙間は、タイムドーム明石のフックが8㎜、京都文博のフックが13㎜となっている。次の条件で実験をしてみた1日後の結果:
① 隙間を15mmに調整したフックに吊り下げ: 中央部の膨らみは約25㎜
② 家庭用フックを使って隙間を2㎜に調整:  中央部の膨らみは約20㎜
最初に吊り下げたときは、3-4cmの膨らみだったので①でも大幅な改善となった。この場合、隣のプリントとの隙間は中央部で4㎜程度となり若干気になる程度。②の場合は隙間が2㎜程度で、ほとんど気にならない。

しかし、②の適用には問題が二つある。まず、会場側が使用を認めてくれるかどうか。プッシュピンはOKだが釘はNG。フックのピン/釘は直径1㎜で、ピンか釘か微妙なところだ。次に、フックの上下の位置調整が難しい点がある。55㎝の間をあけてフック2個で長さ250cmのプリントを吊り下げている。垂直が出るようにフック位置を調整するのは極めて難しい。フックの位置が1㎜上下すると、プリントの下部では4.5mmほど左右に振れる。一旦は、会場の条件でよしとして、これをもう少し改善する策を考えた方が良さそうだ。

4) 厚み0.5mmのPET樹脂板で部分的に裏張りする
PET樹脂版を幅2cmで短冊状にしたものを使い、①中央部のみで裏張り、②3か所で裏張りした場合を比較した。PETとプリント裏面の接着には、「はがせるタイプ」で強力な両面テープを使用した。
① 25㎜程度の膨らみで変化なし
② 20㎜に改善。許容範囲。

1か所の裏張りでは、PETが柔らかすぎてダメなようだ。3か所の裏張りでは良好な結果が得られたが、これを搬入・搬出時に着脱するのはかなりの作業となり、実用的ではない。

5) 厚み2mmのアクリル板で部分的に裏張りする
PETより固くて弾性の強い素材として、2㎜厚、幅18㎜のアクリル板を使い、中央部のみで裏張りした。結果は良好で中央部の膨らみは全くない。裏張りのない部分のくびれはごく僅かで問題ない。
これで対策が確定できたと思ったが、1日後に裏張りした部分が逆側(内側)に少し反っている。3日後では壁から4cmまで反りが激しくなって見苦しく、これでは使えない。原因は、どうやら両面テープが時間とともに縮むことにあるようだ。

6) 2㎜厚・幅18㎜のアクリル板に両面テープを長さ10cm程度に切って貼る。
両面テープを10cmの長さで切ったため、テープの縮みによる影響はなくなった。と、思ったが、緩やかに反りが進行して5日後で3.5cm。許容できるか微妙なところだ。次にどうしたらよいか、ここで行き詰ってしまった。

7) コロンブスの卵で、気が付けば簡単な話なのだが、両面テープを裏側にも貼ることでテープの縮みよる反りがなくなった。

ここに至るまで3週間。技術系の思考と経験があればもっと効率的に進められた筈。開催まで十分に時間があったことに感謝。