2018/01/24 12:24

1月31日発売の「サクッと起業してサクッと売却する」無料一部公開第二回です。

こちらの連載いかがでしょうか。

このプロジェクトを支援されてくださっている方、そしてご興味ある方の判断材料になれば幸いです。

 

 

PART1 考え方編
第一章 連続的起業論
29歳までに1億円のキャッシュを手に入れろ
起業して間もないころ、僕は六本木のあるビルで、とある著名かつ高齢な投資家の方と雑談をしていた。その投資家は、ふと僕にこう言った。
「若くして起業したのなら、20代のうちに1億は作らないと、起業に向いていないということだからなぁ」
その投資家は何気なく言った一言だったが、その一言は当時18歳だった僕の心をおおきくざわつかせた。
「そうか、20代のうちに1億作れなかったら、自分は起業に向いていないのか」と。
それ以来、僕は自分の貯金を毎月月末に数えるようになった。
あなたは、自分の貯金を正確に数えたことがあるだろうか?そう、1円単位で正確にだ。
実は、お金を正確に数えるのって意外と難しい。
クレジットカードの来月引き落とされる分は換算するのかどうか。
小銭入れにはいくらの小銭が入っているのか
保険などはどう考えればよいのか
この毎月のお金を数える作業は19歳の時に会社を売却して自分の貯金が1億円を超える時まで続いた。
僕は、本書を通して、あなたに提案をしたい。
「29歳までに1億円作ることを目標にしてみてはどうか?」と。
一般的に、貯金が一番多くなる瞬間というのは、定年退職を迎えるときだ。
「老後資金の教科書」(ウェブサイト)によると、夫婦世帯では1億円の生活費が必要と書いてある。
実際に、ほとんどの人が、人生で最も貯金が多くなるのは、定年退職の際に退職金を受け取るタイミングだろう。その半分の期間、29歳までの間に資産1億円を作ってしまおうという提案だ。
定年退職のタイミングで1億円を持っている人はほんのわずかだ。今の時代、定年退職の際の退職金の平均は約2000万円だ。
もし、あなたが29歳で1億円を持っているとしたらそれは、どういうことかというと、人よりもお金と時間を多く持っているということだ。
僕は、「29歳までに1億円のキャッシュを作ろう」とあなたに真剣に提案したい。お金と時間を人生の早いタイミングで手に入れることは、あなたが考えている以上にあなたを豊かにする。
時間が大切だと強調されるようになってきた気はするが、みんな、お金と時間の大切さをまだまだ軽視している。
会社を売ったら「海賊王」
ワンピースという海賊の漫画がある。おそらく日本で知らない人はほとんどいないだろう。モンキーDルフィという青年が、海賊王を目指す漫画だ。全員が海賊王というものを目指していて、仲間になったり戦ったりしながらしのぎを削りあうというのがざっくりとしたストーリーなのだが、実は、その漫画内で、厳密には海賊王とは何なのかが定義されていない。
 人によって定義は違うらしい(現時点僕はワンピースを追いかけてないので、もしかして物語内ですでに別の定義があれば恐縮だが)が、主人公のルフィは、「この海で一番自由な奴が海賊王」と言っていた。
 現代社会で最も自由な定義は何かといえば、お金と時間がふんだんにあることだ。
つまり、お金と時間を両方手に入れているものが「海賊王」というわけだ
早いうちに資産を作る。そのためには、起業して会社を売却するのが最もシンプルで確実な方法だ。
僕は、なるべく若い間に会社売却をすることを勧めている。当たり前だが、会社売却をすると、時間もお金も両方いっぺんに手に入る。お金も時間もあるなんて状態は、普通の人生を過ごしていたら、定年退職する瞬間くらいしかない。
 僕自身、会社を何度も売却したことで、大きな恩恵を受けている。このメリットをあなたにも受け取ってもらいたいのだ。
どうやって起業して会社を売却すればよいかとよく聞かれる。もちろん本書ではその話もする。しかし、慌てずに聞いてほしい。「どう」やって起業して会社を売却するかの前に、「なぜ」、あなたは起業して会社を売却する道を選ぶのかということを真剣に考えてみてほしい。
正直、起業して成功する方法や体験談はいろんな情報がすでに数多く出回っている。言ってみれば飽和状態だ。
そして、どのやり方も、これが絶対に正解だというやり方は存在しない。こと起業においては(何の道でもそうなのかもしれないが)絶対にこれをやればよいみたいなものは存在しない。これをやってはいけないものはあるかもしれないが。
 それよりも、「なぜ」そうするのかのほうが大事だ。Howではなく、Whyなのだ。そこがぶれてしまっていては「どう」やったってできるわけがない。
少し話がそれてしまうかもしれないが、僕は7年ほど前まで超ヘビースモーカーだった。
セブンスター14ミリを1日4箱吸っていた。ある事業が失敗したときに、タバコを止めようと思い、禁煙した。「どう」禁煙しようか悩み、いろんな手法を使ってみた。ニコチンガム、電子たばこ、禁煙外来……。禁煙外来は効果てきめんで、かなり良い線をいったのだが、飲み薬を持ち歩き忘れた瞬間に失敗した。
結局自分が禁煙に成功したのはアラン・カーの「禁煙セラピー」という本だった。
 その本の大半は、どうやって禁煙するかという話ではなく、なぜそもそもタバコを吸う必要があるのか(否、吸う必要などない)という話だった。
 僕はこの本を読んで煙草を一発でやめることが出来た。自分にはタバコが必要ないということが、腹の底から納得できたからだ。
「なぜか」を一度しっかり理解すれば、人間忘れることは無い。意味のない数字の羅列や脈絡のない話は次の日にはほとんど忘れてしまっているのが人間の脳みそだが、理屈をしっかりと刻み込んだものは忘れたくても忘れられない。
人間の動機付けには、「HOW」より「WHY」が大事だ。
「どう」やって起業に成功するかは、一番重要な話ではない。「どう」やるかは100人いれば100通りの方法がある。時代によっても違う。業種によっても異なる。当人の性格や能力によっても、できること、できないこと、やりやすいこと、やりにくいことがある。
「どう」よりも、「なぜ」が一番重要だ。
 「なぜ」がしっかりしていないと、軸がぶれてしまう。楽して金儲けをしようとしか考えていない起業家は、1度や2度行き止まりにぶつかるとほっぽり出して、自分の人生の中から起業という選択肢を消滅させてしまい、売却までたどり着けない。
自分が行うことに対する強い理由を持っていれば、「どう」は後からついてくる。
そのため、なぜあなたがなるべく早くお金と時間を手に入れ、そのために「サクッと起業してサクッと売却する」という方法を選ぶのかをしっかりと理解してほしい。

最強の就活は、就職先に会社を売却すること!
僕がもし、母校で15分間だけ学生たちに何かスピーチをしてくれと頼まれたら、「学生はバイトをするな」というテーマで話をする。バイトではなくインターンがおすすめだとか、そういう話ではない。インターンもするな。
バイトやインターンをする時間なんて無駄だ。企業の手と足となりながら、自分の貴重な青春時代を、1時間800円とかで安売りしている。いい社会経験だなんて言いながら、学生たちは皆バイトやインターンをしているが、嫌でも数年後には社会には出るのだ。登山やダイビングでもあるまいし、社会に出るための社会経験など、本来必要がないものだ。
バイトやインターンをして何が一番もったいないかというと、「雇われ癖」がつくことだ。学生時代にバイトをすると、一番最初の「働く」という体験が、人に雇われることになってしまう。
そこで「雇われ癖」がつくのだ。「自分の知恵と度胸で金を稼ぐ」という本能的なモノが、一度バイトをすることで大きく削がれることになる。
「時給800円や1000円のバイトをするくらいなら、親から金を借りて起業しろ」と言いたい。
人生の戦略は、お金と時間のリソースをどう分配するかで決まる。
例えば、730円払えばタクシーで5分で到達できるが、歩いてそこまで行こうとすれば、無料だけど30分かかる。これは、730円と25分の価値はどちらが高いかという話だ。人によって答えは変わってくると思う。どちらが大事かは人それぞれの答えがあってよい。
大事なのは、お金と時間に対する自分の戦略をきちんと持っているかということだ。
最初にバイトやインターンをやってしまうと、自分の時間をお金に換えるという間違った概念が刷り込まれてしまい、その考え方が頭に一度こびりついてしまうと、なかなか脱却することができなくなる。
そして、僕が提案する「サクッと起業してサクッと売却する」連続起業家脳から大きく遠ざかってしまう。
順序がそもそも逆なのだ。社会に出たら、右も左もわからないまま、とにかく狩りにでも出たつもりで自由に走り回ってみればよい。そこで、必要だと思ったことを順番に、自分のやり方で学んでいけばよい。
就職経験がいけないという話ではない。人生で一番最初の「働く」という経験が「雇われる」経験だと、「雇われ癖」がついてもったいないという話だ。
学生こそ、起業して会社を売却すればよい。
その後、就職をするにしても、会社を売却した株式譲渡契約書が最強のエントリーシートになる。
二十歳そこそこで起業し、学生のうちに1億円(例えばだが)でその会社を売るのだ。同年代の子たちはリクルートスーツを着て就職活動に勤しんでいるかもしれないが、会社を売って1億円を手に入れたあなたは、視野が広がっているだろう。自分でビジネスをしていたのだから、会社のことが全くわかっていない就活生とは違う。
すぐに次のビジネスを立ち上げてもいいし、就職してもいい。
卒業後、物価の高いニューヨークに留学してMBAを取得したっていい。学費と生活費で2000万〜3000万円はかかると思われるが、1億円あったら余裕で自費で留学できる。
売却した先の会社に幹部として就職するなんて最高だ。会社を売却したなんて実績はエントリーシートに書く格好の材料だ。
むしろ僕は言いたい。最強の就活は起業して会社を売却することだと。
 「そんなヤツいるわけないじゃないか」と思った人はいないだろうか。何事も「そんな事できっこない」という人は一定数いる。僕が15歳で起業したときもそうだ。「そんな年齢で起業した人なんてみたことないよ」という大人は多かった。
でも、たいていの場合、存在するのだ。僕が起業した当時、僕より若くして起業している人は多数存在した。
みんな、自分ができそうにないことをみつけると、そんな人いるわけないとか、できっこないと勝手に決めつけて諦めてしまう。でも、世の中に知られていないだけで、実は存在するものは多い。
とりあえず、その証明に、僕の知り合いを1人紹介する。留田紫雲さんだ。
 留田紫雲さんは「VSbias」という会社を経営している。ただでさえ名前も読みにくいが、会社名も読みづらい。本名はとめだしゅんと読み、会社名はブイエスバイアスと読む。
ブイエスバイアスは2015年11月、当時、関西学院大学4年生だった留田紫雲氏が創業した学生ベンチャーである。
「テクノロジーを用いた〝空間価値の最大化〟」をビジョンに、複数の民泊予約仲介サイトの物件管理業務を一元化するウェブサービスなどを展開している。
 2016年7月、株式会社メタップスに事業を売却、創業からわずか7カ月でのM&Aエグジットは、知る人ぞ知る、大きな話題となった。
メタップス側からは、民泊事業における実績、「市場・環境を高精度で分析し、最善の選択ができる」留田氏自身が評価され、現在も社長としてブイエスバイアスの経営に従事している。
 留田氏は起業した後も、他の学生と同じように就職活動も体験してみるなど好奇心旺盛な人物だ。そうした経験も踏まえた上で、あえて起業を選択している。
 メタップス側からの評価理由からもわかるように、この事例は成長性のある事業の買収のみならず、留田氏を採用する意味合いが強い。M&Aの目的は、事業を買収して競合優位性を獲得するだけではない。優れた人材の採用にも一役買っているのだ。
 新卒一人の採用コストは約百万円だ。はっきりいって法外に高い。そのため、うちでは絶対に新卒採用はしない(今のところ)。
ポテンシャルが未知数で、レベルにばらつきもある新卒を百人採用しても、かかるコストは1億円、若く優れた起業家一人を見込みのある事業ごと買収しても1億円だとしたら、後者を採りたくなる。少なくとも僕だったら、コストばっかりかかる新卒100人よりも絶対にそっちのほうがよい。