プロジェクトオーナー関連リンク
●公式HP|https://www.sugiyo.co.jp/product/
385年の歴史を持つカニカマ発祥の企業が直面した危機
―スギヨという企業について、まずは教えていただけますか?
杉野さん:当社は1640年創業で、約385年の歴史を持つ能登の食品メーカーです。七尾市に拠点を置き、特に1972年に世界で初めて「カニカマ」を開発したことで知られています。
実はカニカマというのは、中華材料の人工クラゲの開発中に出た失敗作なんですよ。その「失敗」を諦めずに製品化したことが、今では世界中で親しまれる食品になりました。
「香り箱 極」は私たちの最高傑作と自負しているカニカマで、ズワイガニのオスとメスの長所を併せ持った商品です。練り物でありながら、鮮魚コーナーに並ぶほど高品質な製品なんです。
―2024年1月の能登半島地震は、御社にどのような影響をもたらしたのでしょうか?
杉野さん:本当に壊滅的でした。七尾市内の3工場すべてがダメージを受け、壁や天井が崩落し、生産設備も大きく損傷しました。当日は休業日だったため人的被害はなかったのが不幸中の幸いでしたが、翌日何とか工場に辿り着いた時は「どこから手を付ければいいのか」と途方に暮れましたね。
北陸工場は天井が落下して配管が破壊され半年間製造停止に。カニカマ工場も玄関が陥没し、地中の配管が破壊されて給排水すらできない状況でした。地域全体が被災する中、ベテラン社員が製造ラインの立て直しを、若手社員が地域の復旧支援を担いました。
それでもちくわの生産再開には5カ月、揚げ物の再開には6カ月という長い期間を要したんです。

逆境をバネに、能登の食文化を未来へつなぐ決断
―そんな困難な状況の中、カニカマに合う地ビールを開発するというプロジェクトを始めたきっかけは何だったのでしょう?
杉野さん:震災から1年が経過し、少しずつ復興に向かっていくなかで、「世間の関心が薄れていっている」と感じたのが大きなきっかけです。被災地としてだけでなく、「復興へ向けて力強く歩む地域」として能登を発信していきたいと考えました。能登は人口が少なく経済規模も小さいんです。
私は「個々の会社だけでなく会社同士が手を取り合い、能登というブランドを地域外に強くアピールする必要がある」と考えていました。そこで、私たちの看板商品「香り箱 極」と相性の良いビールを新たに開発し、金澤ブルワリーさんと協力して製造することにしたんです。カニカマの新たな楽しみ方を提案することで、逆境に立ち向かう「いま」の能登を発信できると思いました。
―金澤ブルワリーさんとの協力体制はどのようにして実現したのでしょうか?
杉野さん:金澤ブルワリーさんも能登島の工場が地震で被災していたんです。2023年に完成したばかりの工場が、まさに本格稼働を控えたタイミングでの被災でした。彼らも被災直後から断水が続き、解消したのは5月。やはりビールを造れるようになるまでには半年ほどかかりました。
そんな同じ被災者として、お互いの技術を持ち寄って何か新しいことができないかと相談させていただいたところ、多々見まみの社長から「能登の明るい未来に向かうような商品を共同で作り上げたい」という返答をすぐにいただいたんです。
カニカマとビール。一見すると組み合わせが意外かもしれませんが、それがかえって注目を集め、能登の食文化の多様さをアピールする良い機会になると思いました。
復旧のための長い道のり、そして協力の形
―震災による物理的な被害の復旧と、新商品開発という2つの異なる課題を同時に進めるのは大変だったのではないですか?
杉野さん:本当に大変でした。しかしながら、「困難な時こそ新しいことに挑戦する」という姿勢が、社員たちの心の支えにもなりました。
「被災地」というレッテルだけで見られるのではなく、「創造性を失っていない企業」「前を向いている地域」として認識されたいという思いが強かったですね。385年の歴史を守るためにも、むしろ新たな挑戦をすべきだと判断したのです。

地域企業の連携が生み出す、復興への道筋
―なぜクラウドファンディング実施を選ばれたのでしょうか。
杉野さん:クラウドファンディングという形を選んだのも重要な戦略でした。単に商品を販売するのではなく、「能登の復興を応援する」という物語とともに商品を届けることで、より多くの方の共感を得られると考えたのです。
―支援者の反応はいかがでしたか?何か印象に残るエピソードはありますか?
杉野さん:本当に心温まる反応をたくさんいただきました。特に印象的だったのは、かつて能登に旅行で訪れたという方々からの「復興を応援したい」というメッセージです。
目標金額の500万円を達成できたのは本当に感謝しかありません。332名もの方々が支援してくださいました。ある支援者の方は、「能登を家族でいずれ訪れたいと思います」というコメントを残してくださいました。これは心から嬉しかったですね。
「能登ブランド」の発信と未来への展望
―このプロジェクトを通じて、どのような成果が得られましたか?
杉野さん:最も大きな成果は、目標金額500万円を達成できたことです。これは単なる資金調達以上の意味があります。332名もの方々が「能登の復興」という物語に共感し、参加してくださったという事実が、私たちにとって何よりの励みになりました。
次に、地域企業間の協力体制が強化されたことも重要な成果です。スギヨと金澤ブルワリーの協力はもちろん、デザインやマーケティングなど様々な分野の地元企業と連携することで、「能登」という地域ブランドをより強く発信できるようになりました。
災害は私たちから多くのものを奪いましたが、逆に新たなつながりや可能性も生み出してくれたと感じています。何より、社員たちが「前を向いて新しいことに挑戦する」という姿勢を取り戻せたことが、最も価値ある成果だったと思います。
―このプロジェクトを経て、今後の展望や次の挑戦についてお聞かせください。
杉野さん:能登は魅力あふれる、一流の田舎です。能登の里山里海は世界農業遺産に認定され、そこで暮らす人々の生活は無形文化財等に多く登録されています。このような誇るべき地域の価値を、より多くの方に知っていただく取り組みを続けていきたいと思います。
具体的には、今回開発したカニカマエールを足掛かりに、能登の食文化と酒文化の融合という新たな挑戦を続けていきたいと考えています。「震災復興元年」の今年を起点に、「田舎でも、能登でも、こんなことができるんだ!」と地元の人の希望になり、能登に関わってくださっている方には「能登に関わってると楽しいな」と思っていただけるような挑戦を続けていきます。
今回のプロジェクトは、その始まりに過ぎません。385年の歴史を持つ企業として、これからの385年も能登とともに歩んでいきたいと思います。
―最後に、これから能登を訪れる方や、応援したいと思っている方へのメッセージをお願いします。
杉野さん:能登は確かに大きな被害を受けましたが、決して「かわいそうな被災地」ではありません。日々、復興に向けて前進し、新たな価値を生み出そうとしている「活力ある地域」です。ぜひ、そんな能登の今を見に来てください。観光はもちろん、食文化も豊かです。
そして、こうしたクラウドファンディングやプロジェクトを通じて能登の企業を応援していただければ嬉しいです。私たちは、皆さんの応援を原動力に、これからも能登ならではの価値を発信し続けます。
カニカマとビールという意外な組み合わせのように、これからも能登から驚きと喜びを届けていきたいと思います。応援よろしくお願いします!
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