「デジタルの時代だからこそリアルを」なめこファンブックで醸成される支援者コミュニティ

”リターンを通してファンの方同士の新しい繋がりができた”ーーCAMPFIREクラウドファンディングアワード2023「推され方がすごい部門大賞」を受賞した「なめこ栽培キット」の株式会社ビーワークス。担当者の伴さん、なめこさんをお迎えして、ECサイトとは一味違うクラウドファンディングでの新しいコミュニティの形について、CAMPFIRE代表取締役 家入一真と対談形式で語っていただきました。

プロジェクトデータ

プロジェクト名:「なめこ栽培キット公式ファンブック」刊行プロジェクト 
募集期間:2023年3月3日~2023年4月10日(39日間) 
調達金額:23,157,832円 
支援者数:2176人 
プロジェクトURL:https://camp-fire.jp/projects/view/660418 
プロジェクトオーナー:なめこクラウドファンディング運営チーム@nameko_crowd(X:旧Twitter) 
圧倒的なユーザー数と共にインターネットに留まらない活躍を続け、15作目のアプリリリースにまで至ったスマートフォン用育成ゲーム「なめこ栽培キット」。

 そして今作のリリースを皮切りに、これまでの作品一つひとつをより魅力的に伝えることができる「公式ファンブック」を制作するためのクラウドファンディングに挑戦した。

根強いファンに支えられた当プロジェクトは、目標金額1,000万円を開始5日で達成。 

その後も支援の勢いは止まらず最終ゴールの2,000万円も超え、支援総額は達成率231%を超える23,157,832円にまで達しました。 

そして、今回CAMPFIREアワード2023「推され方がすごい部門」第1位受賞にまで至ります。 

当対談ではCAMPFIRE代表取締役の家入一真と共に、クラウドファンディングにかける想いやプロジェクトを通して得られたものについて自身の体験をお話いただきました。 以下、対談形式にてお送りします。 
プロジェクトオーナー:株式会社ビーワークス/伴さん(以下伴さん)、なめこさん 
CAMPFIRE代表取締役:家入(敬称略) 

4度目のCAMPFIREアワード受賞!「なめこ栽培キット」プロジェクト 

家入:まずはじめに、CAMPFIREアワード2023「推され方がすごい部門」大賞おめでとうございます。2019年に初のCAMPFIREアワードを受賞され、今回で4度目の受賞になりましたね。 

振り返りとして第1回目のプロジェクトからなぜクラウドファンディングを起案するに至ったのかをお伺いしてもよろしいでしょうか。 

伴さん:ありがとうございます。まず初めてクラウドファンディングを実施しようとしたのは、弊社で作っていた4コマ漫画を単行本にしたいというのがきっかけでした。 
(引用: https://camp-fire.jp/projects/view/139018)

この4コマ漫画は2015年に本として出版して以降は続刊を出すことができておらず、新たな作品をファンの方々に直接届けるためにはどうしたらいいかと悩んでいました。 

そんな時、たまたまテレビでクラウドファンディングの話題が流れていたのを見て「これだ!」と気づきを得て、半年ほどかけて社内を説得してなんとか実施に至りました。 

家入:すごい、半年も。 

伴さん:はい。結果として初回のクラウドファンディングがX(旧Twitter)などのSNSで盛り上がり、ファンの方々から「今後もやってほしい」という声をいただきまして。 

その応援の声が第2回目の実施に繋がり、今となっては毎年恒例のファンの方々が参加できるお祭りのようなイベントになりました。 

普段のコミュニケーションの先にあるクラウドファンディング 

家入:なめこさんはファンの方々とのコミュニケーションを大切にされている印象があります。こういった点で、普段から気にかけていることは何かありますか。 

伴さん:ありがとうございます、確かに普段からファンの方々とのコミュニケーションは大切にしているところかもしれません。 

それこそクラウドファンディングは実施前にプロジェクトのことをどれだけ理解をしていただいているのかが重要だと思っていて。 

突然プロジェクトを開始して「お金を支援してください」とならないよう、自分たちは何をやっていてどんなことを実現していきたいのかを普段からお伝えするようにしています。 

家入:とても素敵だと思います。 

僕はクラウドファンディングにおいて、もちろん全てのプロジェクトがうまくいってほしいと思っているのですが、掲載されればお金が集まる魔法のツールというわけではないのも事実です。 

クラウドファンディングを実施したことで急に熱量が高まっていくわけではなくて、普段からコミュニケーションをとっているからこそ熱量が高まって成立するものなのではないかなと思っています。 

支援とリターンを通して可視化されるファン同士の繋がり 

家入:それこそ初回のプロジェクトに関しては初めてのことで気づきの部分なども多かったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 

伴さん:はい。初回のプロジェクトを実施する以前は「なめこ栽培キット」のアプリユーザーの方がいらっしゃることは把握していましたが、ファンの方々がどんな方なのかは見えにくい状態でした。 

そしてそれは私たちだけではなくてファンの方同士にとっても同様だったと思うんです。 

それがクラウドファンディングを実施したことで、支援者数が数値で現れたりコメントをファンの方同士が見ることができたりと、他の支援者の存在を認識できるようになりました。 

その結果、私たちはファンの方々がどのような方なのか知ることができましたし、支援者の方々にとっては 
「日本中にこんなにファンがいたんだな」 
「私以外にもなめこを応援している人がいる」 
ということが可視化され、安心感に繋がったのではないかと思っています。 

またこれも印象的だったのですが、プロジェクトを重ねて行く中でSNSの投稿で普段はなめこに関する投稿をしていないような方が、 
「なめこのクラファンは内容がしっかりしてるから安心して支援できる」 
「何度も積み重ね、続けているから信頼がおける」 

という投稿をしてくださっているのを見つけたんです。 

活動を少しづつ積み重ねていくことで信頼をしてくださって、ファンの方の幅が拡がってきたことを実感できたのが嬉しかったです。 

家入:クラウドファンディングの支援がファン同士の存在の認識に繋がるってすごく素敵なことだと思います。 

それは新たなきっかけになったりするのでしょうか。 

伴さん:はい。支援者の方が可視化されたことにより、リターンを通してファンの方同士の新しい繋がりができたと思います。 

クラウドファンディングのリターンの1つとしてリアルイベントへの参加権を用意しているのですが、こういったリターンを通して同じ熱量の人が集まる場ができるんです。 
これがクラウドファンディングではなく通常の有料イベントだと比較的、参加者の方同士で温度差が出やすいと思うのですが「このリターンに支援しているってことはこの人も同じくらいなめこファン…?」というように熱量の近い支援者同士の仲間意識が濃くなっていく様子が印象的でした。 

家入:同じ熱量の方を認識できるだけでなく、リターンを通して繋がれるってさらに素敵ですね。 

クラウドファンディングは資金調達やテストマーケティング、社会貢献などさまざまな使い方ができるからこそ、クラウドファンディングの本質ってものを突き詰めたときに、僕は一つの答えとしてコミュニティの形成手段だと思うようになったんです。 

今回でいうと挑戦するなめこさんと応援される方で形成されるコミュニティ。 

支援者同士での繋がりや活動が生まれていっているというのはまさに、クラウドファンディングの本質だと思っている部分なのでお伺いできて嬉しかったです。

デジタルの時代、だからこそリアルを大切に。 

家入:改めまして、今回のプロジェクトは「公式ファンブック」としての書籍刊行が目的だったと思うのですが、想いやこだわったポイントはあったのでしょうか。 

伴さん:はい。また2019年の初回プロジェクトに話が戻るのですが、4コマ漫画自体が公式サイトに公開されているのでいつでも無料で読めるんです。 

なので、クラウドファンディングを経験する前はそれを本にしてほしい人は本当にいるのだろうかと不安を感じていました。 

しかし、最終的に1,000万円以上のご支援をいただき1,300部もの発送ができたことで、物として手に渡ることの重要性を実感できたんです。 
(引用:https://namepara.com/comic/)

 今回のファンブックで言うとアプリの情報を全てまとめたものになるのですが、「なめこ栽培キット」のアプリケーション自体、もちろんいつでも無料で遊ぶことができるものなんです。 

なので、ただ情報を集めようとするだけならアプリを見れば可能ではあります。 

しかし、改めてそれを物として手に取ることができるようになることで、価値を感じていただきたかったというのが重要に思っていた部分です。 
家入:そうだったんですね。僕自身、元々リアルな本が好きです。 

本って、その1冊をとっても装丁やデザインも含めて、いろんな方が関わって出来上がるものですが、それが1,000円前後で買えてしまうじゃないですか。 

それでも今、本はWEB書籍であれば流通コストなどもかからず読めてしまう。 

こうしてあらゆる情報が電子化されて流通も簡単になっていく中で、今後リアルな本は高級嗜好品化していくと思っているんです。 

中身を知りたいだけなら電子でいい。リアルな本を読んだり買ったりするのはインテリアや友人へのプレゼントのような存在になっていくんじゃないかなと。 

だからこそ、本を情報として読めるこの時代にリアルな本を作ることってすごく意義があることだと思いました。 

伴さん:嬉しいです。まさに、ファンブックにはまえがきのページに「『みんな』で作り上げた一冊をお楽しみください」と書いてあるんです。 

このファンブックを持っていることで、きっとファンとしてこの本に存在価値を感じていただくことができるんじゃないかなって。 

まさしく、これが本として持つことの価値だと思っています。

ECとの棲み分け、クラウドファンディング“だからこそ”のプロジェクトを

家入:5度のプロジェクトを経て、気づいたことや今後また改めてチャレンジしていきたいことはありますか? 

伴さん:はい、まずクラウドファンディングに挑戦するまではビーワークスとしてはゲームの開発だけしか行っておらず、実際の商品を売る経験はなかったんです。 

しかし、クラウドファンディングの体験を通して物販への道も拓けました。 

この経験から、自社ECサイト「なめこ屋」の立ち上げに至ったんです。 
(引用:https://nameko-ya.com/)

これがまさしくクラウドファンディング実施前と実施後の大きな変化です。 

そして、クラウドファンディングとECの販売って根本的に目的が違うと思ったので、ちゃんと棲み分けも考えました。 

クラウドファンディングは物販はしてはいけなくて、支援者の方と成し遂げたいことがあるときに実施するものだと思っています。 

だからこそ、リターンも 
「これってクラウドファンディングじゃなくてなめこ屋でよくない?」 
「なぜオンラインショップではなく、クラファンのリターンに入れるのか?」 
ということを常に考えています。 

実は今年の春にもクラウドファンディングを実施する予定で、今回は4コマ漫画3巻目の発行がメインのコンテンツです。 

これも、ただ書籍を販売するだけだったらクラウドファンディングではなく「なめこ屋」でもいいと思うのですが、絶版になっている第1巻目の復刊、そして初めてのクラウドファンディングで作った第2巻目を買えなかった方への増刷も行おうと考えています。 

3冊まとめて手に取っていただく機会になってくれたら嬉しいなと。 

家入:今年もまたプロジェクトに取り組んでいただけるのは楽しみです。そして本当に伴さんの棲み分けのお話がおっしゃる通りだなと思ったのですが。 

従来のECサイトでの販売だと売る側と買う側の立場に分かれて、そこに繋がりは発生しないと思うんですよね。 

一方、クラウドファンディングではサイト上にコメントという形でその実績が残り、コミュニケーションを取ることで繋がりが実現すると思うので、是非こんな事例がもっと生まれていってほしいと思いました。 
家入:終わりの時間が近づいてきました。なめこさんから何かメッセージはありますか? 

なめこさん:んふんふ(いつも応援していただいてとっても嬉しいです。これからもクラウドファンディング企画するので応援よろしく!4コマ漫画3巻目もよろしくね!) 

家入:ありがとうございます。伴さんからも支援いただいているファンの方々にメッセージをいただいてもよろしいでしょうか。 

伴さん:いつもなめこのプロジェクトを応援していただいているみなさんありがとうございます。 

私たちはクラウドファンディングを通してなめこのファンコミュニティを盛り上げていきたいと思っています。 

そしてクラウドファンディングがどんな結果になるのかは毎回不安を抱えていて、支援が集まってるのか毎秒リロードしているくらいです。 

みなさんも同じ気持ちで見守ってくれてると思いますので、どう成功に導いていけるかを一緒に考えてくれると嬉しいです。 

今後ともよろしくお願いします。 

家入:今年もなめこさんのプロジェクト、楽しみにしています。引き続き応援しております。

あなたもチャレンジしてみませんか

CAMPFIREでは、「実現したいことがある」「ファンの方々と一緒に企画や思い出をつくりたい」というクリエイターやアーティスト向けクラウドファンディングとして、CAMPFIRE for entertainmentをご用意しています。


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