日本にないのは寄付の“文化”ではなく“きっかけ”、ブックサンタのその先に。

“CAMPFIREはちゃんと薪をくべたり、燃料を注げば、どんどん大きな火になっていく焚き火のように燃え続けるもの”ーーそう語ってくださった「NPO法人チャリティーサンタ」清輔夏輝さん。CAMPFIREアワード2023「思いとお金が巡った部門」受賞の彼と支援者たちが今も燃やし続ける「思いの輪」について伺いました。

プロジェクトデータ 

プロジェクト名:クリスマスや誕生日を諦めた子ども達へ「本を届ける」 #ブックサンタ へ応援を! 
募集期間:2022年11月1日~2023年12月25日(55日間) 
調達金額:13587100円 
支援者数:1981人 
プロジェクトURL:https://camp-fire.jp/projects/view/629341 
プロジェクトオーナー:NPO法人チャリティーサンタ/清輔夏輝 (HP:https://www.charity-santa.com/
「あなたも誰かのサンタクロース」を合言葉に2008年から活動しているNPO法人チャリティーサンタ。 

クリスマスに子どもたちへ本を届ける活動の他、困難な状況にある家庭や子どもたちの支援活動を行っています。

 2017年からはCAMPFIREでブックサンタの寄付プロジェクトに挑戦。毎年行うクラウドファンディングで徐々に賛同を集め、6回目となる今回は目標金額を大きく越えて 13,587,100円の支援を集め達成しました。 

そして今回、CAMPFIREアワード2023「思いとお金が巡った部門」受賞に至ります。 

当対談ではCAMPFIRE代表取締役の家入一真と共に、クラウドファンディングに至った原体験からプロジェクトを通して得られたものについて自身の体験をお話いただきました。 
以下、対談形式にてお送りします。 
プロジェクトオーナー:清輔夏輝さん(以下清輔さん) 
CAMPFIRE代表取締役:家入(敬称略) 

ブックサンタの起源、子どもの頃の原体験。 

家入:CAMPFIREアワード2023「思いとお金が巡った部門」受賞おめでとうございます。 

僕たちCAMPFIREが掲げているミッションが「一人でも多く一円でも多く、想いとお金がめぐる世界をつくる。」ということもあり、お話を伺えるのを楽しみしていました。 

まずはじめに、NPO法人チャリティーサンタにて清輔さんが行っているブックサンタの活動についてお伺いさせてください。 

清輔さん:ありがとうございます。ブックサンタは貧困や親の不幸などで厳しい環境にある子どもたちに向け、クリスマスや誕生日のような1年の中で特別なタイミングで本を届けるプロジェクトです。 

クラウドファンディングを始める前は、賛同してくださる全国1700店舗の本屋さんと連携し、皆さんが実際に書店にて本を選んで購入することで、本屋さんから子どもたちに本を届けてもらっていました。 

2017年から、本屋さんに足を運ぶことが難しい方でも活動に参加していただけるようクラウドファンディングを実施しています。 

第1回目にプロジェクトを実施した時から少しずつ規模が大きくなり、おかげさまで7回目となった昨年のプロジェクトでは2000万円以上の支援を3900人を越える方から頂けるようになって、私たちの活動にとってクラウドファンディングはなくてはならない状況になりました。 

僕たちがチャリティーサンタとして活動を開始したのは2008年、ブックサンタとそのクラウドファンディングに至ったのは2017年からです。 

調査活動を通じて貧困などを理由にクリスマスのお祝いを諦めている家庭が多くあることがわかったんです。 

さらに、クリスマスに本を子どもに渡したいと考える大人と、本をもらったら嬉しい子どもが一定数いるということもわかりました。 

こうした調査結果を受けた中で書店業界の方との縁も重なり、厳しい環境にあるご家庭に「本をプレゼントする」というブックサンタプロジェクトの起案に至りました。 
引用:ブックサンタ2023
家入:僕自身、幼少期にサンタさんが来てくれるクリスマスはとても楽しみで、小学校5年生くらいまでサンタさんの存在を信じていたほどでした。 

あるとき父親から「実はサンタさんはいないんだよ」と言われたときには、頭ではわかっていても認めたくなくて泣いてしまって。 

それぐらいクリスマスの記憶は心に残っています。 

清輔さんぼくもクリスマスの家庭での嬉しかった体験は記憶に残っていて、ブックサンタの活動のきっかけになっています。 

家入原体験って大切なものですよね、そこから全てが始まるというか。 

僕自身がCAMPFIREを立ち上げクラウドファンディングの事業に至った部分にも原体験は関わっていて。 

僕は家庭の事情で行きたかった美術の学校への進学を諦めざるを得なくなってしまった経験があるんです。 

もちろん当時の僕より大変な家庭はたくさんあると思います。 

自分のように進学を諦めなきゃいけなかったような人が、環境が原因で夢を諦めなくてもいいようにするためにはどうすればいいんだろうと考えたところからCAMPFIREのサービス開発に繋がっていきました。 

そして今、原体験からはじまったサービスではありますが、そこから少しづつ日本の課題に対して視野を広げているような感覚で運営しています。 

「サンタさんが来る」という“日常”を叶えるために 

家入:ブックサンタの活動はクリスマスの体験をできない子どもたち、そして叶えてあげられない大人の方にとって重要な役割を担っているのではないかと思います。 

これまで活動を続けられてきた中で感じることはありますか? 

清輔さん:はい。私たちの活動は、例えば「学校行事と家庭行事」や「日常と非日常」といった軸で分類分けしたとき、クリスマスや誕生日って非日常ともいえるかもしれませんが、毎年必ずやってくるもので「家庭内の日常行事」にあたると思うんです。 

そして家庭内のニーズとしては高いものではあるのですが、各家庭の余暇の範疇でされるものとして公的な資金が入ってこないのが明確な課題で。 

でもやはり間違いなくニーズはある。ご家庭からのブックサンタの応募の声はもちろんのこと、団体様からの連携の声も頂けるんです。 

なので、これまで続けてきた中で個人や民間の方からの賛同の力は集まってきましたが、まだまだニーズが何十倍もある状態なので、引き続き活動は拡大していかなければいけないと思っています。 

家入:なるほど。確かに極論になってしまって「生きるために必要なものなのかどうか」で線引きされがちなところはあるかもしれませんね。 

クリスマスというイベントは生きるためには必須ではないかもしれないけれど、子どもたちにとっては自分が愛されたという体験になる。 

その体験が生きていく中でよりどころになるという方もたくさんいるだろうし、すごく大事なものだと思うんです。 

ただ、やっぱりその重要性は目に見えにくいもので、なかなか公的なものとしてはサポートしづらい領域なのかもしれない。 

その部分を担われているブックサンタの活動は間違いなく大事なことだと感じます。 

「感情のお裾分け」ポジティブなSNSによって生まれるバズという存在

家入:今回のプロジェクトでは多くの支援者の方にSNSで拡散されていたことが印象的でした。 

このような応援の声を頂くことに関して思うところはありますか。 

清輔さん:本当に、ありがたいことだらけです。活動を開始した当初は自分たちから拡散をお願いするような発信をたくさんしていましたが、今回はこれまでよりも多くの方から自発的に紹介いただき輪が広がっていきました。 

昨年、2023年に行ったプロジェクトでは支援者の方々から 
「クラウドファンディングはいつスタートするのか」 
「いつ支援ができるようになるのか」 
というようなメッセージをたくさんいただきました。 

そのため例年は11月1日よりはじめていたクラウドファンディングですが、開始の時期が少し早まって10月からスタートできたんです。 

こういった声が頂けるって、本当にありがたい状況だということを感じました。 

家入:素晴らしいですね。僕も今回のプロジェクトに支援させていただきましたが、1人でも多くの方がブックサンタを知って、応援してもらえたらなと思ってシェアしました。 

僕が好きな糸井重里さんの『インターネット的』という本ではSNSのシェア機能やいいね、リポストのようなレスポンスや応援を「感情のおすそわけ」と表現しています。 

「バズるためには」といった手法についての話が広がったりもしていますが、今回のようなSNSでの拡散はそれぞれが活動を応援し、ビジョンに共感していることを伝え、その活動が描く物語への参加表明の連鎖だと思うんです。 

このプロジェクトではポジティブな連鎖がたくさん生まれて「バズ」という形になったのだと思いました。 

寄付の輪を、業界を越えて。 

家入:ブックサンタのこれまでの活動を通して、新たにチャレンジしてみたいことはありますか。 

清輔さん:はい。ブックサンタは本屋さんとの連携から活動をスタートしてきましたが、出版社や作家さんとの連携も少しずつ広がってきていて。 

「本が好き」とか「本があったから今の自分がいる」と思っている方々は本当にたくさんいらっしゃる。 

なので本を軸とした活動はこれからも続けていく上で、業界に関係なく呼びかけて活動範囲を広げていきたいと思っています。 

既に始まっているのは洋菓子業界との連携で、誕生日のケーキを届ける活動を2年程実施しています。 
引用:誕生日のお祝いを諦めた親子へ、大人たちが協力し届ける #シェアケーキ へ応援を!
このように他業界と連携すると例えばケーキの場合、推し活として自分の推しのアイドルの誕生日にケーキを送るというような、単なる寄付活動に留まらない例が見られました。 

寄付に対して、よりカジュアルなモチベーションで取り組みに参加することで、自分だけでなくどこかで喜んでいる人がいることをしっかり実感できる。 

このような形で、本という枠を越えた新しい業界と連携することを構想しています。 

日本にないのは寄付の文化ではなくきっかけ、ブックサンタのその先に。 

家入:業界を越えて活動を広げていく構想、とても素敵です。 

僕も寄付の形は多様になっていくと思っています。 

「寄付はこっそりやるべき」とか「やらない善よりやる偽善」みたいな言葉がありますが、これって寄付に対する後ろめたさを表現しているように思います。 

けれど本来、人間にとって善も偽善もないと思うんです。 

ある思想やビジョンを持って活動している団体を応援し、そこに堂々と寄付するという形で賛同していくのが大切だなと思います。 

清輔さん:確かにそうだと思います。この活動をしている中で「日本には寄付文化がない」ということをよく言われるんです。 

でもそれは捉え違いで、日本には寄付をするきっかけがないだけなのではないかなと。 

確かに日本では陰徳の美学というような「徳はこっそり」みたいな空気は昔からあるように感じます。 

NPO業界でも「この団体を応援している」とSNSに書く人は本当に少ないのですが、僕はその表明が大切なポイントだと思っています。 

ブックサンタはありがたいことに輪が広がってきているので、支援の金額を増やすだけでなく「応援の発信をする人」を一人でも増やしていけるよう、無理なく楽しく広げていきたいと思っています。 

家入:ありがとうございます。最後に、毎年CAMPFIREにてクラウドファンディングに挑戦されている清輔さんが感じることについてお伺いしてもよろしいでしょうか。 

清輔さん:はい。ぼくたちがはじめてプロジェクトに挑戦した2017年の当初は、クラウドファンディングって打ち上げ花火のような「一瞬の輝き」と思っていました。 

ただ、実際にプロフェクトを実施し、継続してファンや支援者の方とコミュニケーションを取り続けていくことで活動の輪が拡がっていくことを実感したんです。 

なので、クラウドファンディングってそれこそ、ちゃんと薪をくべたり燃料を注いでいけば、どんどん大きな火になっていく、焚き火のように燃え続けるものだなと思いました。 

家入:とても素敵なお言葉、ありがとうございます。これからもブックサンタの活動を応援しています。

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