プロジェクトデータ
プロジェクト名:映画「狂気山脈 ネイキッド・ピーク」本編制作プロジェクト 募集期間:2023年2月28日~2023年5月14日(76日間) 調達金額:201,769,387円 支援者数:17299人 プロジェクトURL:https://camp-fire.jp/projects/view/653933 プロジェクトオーナー:まだら牛@m_Usi(X:旧Twitter)2022年に初のクラウドファンディング「狂気山脈アニメ映画化プロジェクト」に挑戦し、目標金額の約1500%という圧倒的な支援を獲得し終了。
無事にパイロットフィルムの制作に着手するもアニメ映画制作の想像以上の難易度にぶつかり、苦悩の末に2023年の本編制作プロジェクト挑戦に至る。
再挑戦となったクラウドファンディングの起案に葛藤していたまだら牛さんの心境とは裏腹に、当プロジェクトは初回の2倍近くまで支援金額を集め、今回の「#一人の夢がみんなの夢になった部門」受賞に至ります。
当対談ではCAMPFIRE代表取締役の家入一真と共に、クラウドファンディングに至った原体験からプロジェクトを通して得られたものについて自身の体験をお話いただきました。
以下、対談形式にてお送りします。 プロジェクトオーナー:まだら牛 CAMPFIRE代表取締役:家入(敬称略)
「TRPGの可能性を広げたい」狂気山脈アニメ映画化に込めた思い。
家入:この度は「一人の夢がみんなの夢になった部門」受賞おめでとうございます。昨年のCAMPFIREアワード2022総合賞1位受賞と併せて、CAMPFIRE内でも「漫画・アニメ」カテゴリにおける歴代1位と2位という、ものすごい結果ですね…
まだら牛:恐縮です、ありがとうございます。今回受賞させて頂いたときに気づいたのですが、CAMPFIREアワードの賞の名前がガラっと変わりましたね。
2022年は各ジャンルに合わせたものだったのに今回はストーリーに寄せたものになったのが印象的でした。
そして今回の「# 一人の夢がみんなの夢になった」って名称なんですけど、これ実は僕自身の2022年のプロジェクトの活動報告の中で似たような言葉でお伝えした言葉だったんです。
なので今回の賞を頂いた際、受賞カテゴリーの名前を見て感慨深い気持ちになりました。
参考:狂気山脈 アニメ映画化プロジェクト 活動報告「【コラム】本日12/1は(僕にとって)ちょっと特別な日です。」
家入:偶然とはいえまさにピッタリな賞だったのではないかと思っています。
まだら牛さんのこれまで数々の挑戦の中で、過程としてクラウドファンディングに至ったと思うのですが、個人の挑戦からはじまったものが支援者さんや制作の方を含めてみんなの「狂気山脈」になっていったのではないかと思っています。
本日はクラウドファンディングの枠に収まらない「挑戦」についてのお話をお伺いしたいと思います。
まずはじめに、狂気山脈自体とコンテンツ化に至った経緯についてお伺いできますか。
まだら牛:はい。まず狂気山脈はTRPGというゲームのために作られたシナリオです。
TRPGはアナログゲームの1ジャンルで、テレビゲームのRPGの祖先にあたるような存在で。
簡単に説明するとルールがある「ごっこ遊び」のようなもので、キャラクターになりきってプレイするゲームです。
近年、インターネットの界隈でTRPGが盛り上がってきてはいるのですが、まだまだマイナーなジャンルで、メジャー層にリーチしきれているとは言えないような状況なんです。
家入:確かに、僕自身もTRPGという存在は知っていましたが、実際にプレイしたことはまだありませんでした。
まだら牛:そういった方は多いかもしれません。だからこそ、一人でも多くの方にTRPGの魅力をもっと伝えていきたいと前々から思っていました。
そこで今回の狂気山脈のアニメ映画化プロジェクトに挑戦するきっかけとなったのが「カタシロ」というTRPGシナリオの舞台化企画です。
このカタシロの作者のディズムは友人なのですが、彼と「カタシロは舞台と相性が良いのではないか」という話になり、僕もお手伝いをして一緒に実現を目指すことになったんです。
そこで僕が提案したのが、舞台化の資金をクラウドファンディングで集めることでした。
引用:カタシロ舞台化プロジェクト
家入:CAMPFIREで4,000万円以上の支援を集め、CAMPFIREアワード2021のエンタメ賞を受賞したプロジェクトですね。
まだら牛:はい。このプロジェクトを通して感じた事なんですが。 想定以上にクラウドファンディングで集まった支援が凄まじく、「こんなに期待してもらえてるんだ」ということが可視化されて。
それを受けてディズムやプロジェクトメンバーが期待に応えようとした結果だと思うのですが、当初想定していたよりも数段本気度が高い舞台に仕上がり、一般的な舞台と比べて見ても遜色がないような、すごくいいものができたんです。
豪華にしすぎたせいで、最終的には赤字が出てしまったらしいのですが…笑
だけど、このカタシロ舞台化プロジェクトを通して、TRPGという枠組みの中だけでコンテンツを終わらせるのはもったいない。
自分の代表作である狂気山脈でもなにかTRPGを盛り上げるためにできることはないかと考え「どんなメディアだったらより多くの人に届けられるか」を考えた末にたどり着いたのがアニメ映画化という手段でした。
想定以上の支援によって決まった覚悟、世界レベルにむけて。
家入:2022年のパイロットフィルム制作プロジェクトからはじまり、2023年の本編制作プロジェクトにまで至り、大きな支援金額と支援人数に達したと思います。これだけの応援や期待を頂く中で重責に潰されそうになることはないですか?
まだら牛:潰されそうになることはないけど、毎晩のように夢に見ます。
もしこのプロジェクトの支援金額や支援人数の桁が1つ2つ少なかったら、個人が作ったアマチュア感のあるものでも完成したらきっと喜んで貰えるんじゃないかと思うんです。
でも、これだけの後押しを頂いたプロジェクトでそれは厳しい。生半可なものを作ってはいけないなって。
国内ではもちろん、海外でも評価されるようなものを作らないといけないという覚悟が決まりました。
家入:本編制作プロジェクトのページ本文にも「世界に通用するような作品へと仕上げなければならない」という覚悟が綴られていましたね。 引用:映画「狂気山脈 ネイキッド・ピーク」本編制作プロジェクト 本文より
まだら牛:はい。あとそもそも、本編制作プロジェクトはクラウドファンディングに挑戦するかどうか直前まで迷っていました。
本当はやらないほうがいいのではと。
初回のパイロットフィルム制作プロジェクトで既に1億2,000万円ほど、約1.2万人の人から支援をしてもらってたのですが、これって国内でも相当な規模だったと思うんです。
こんなに多くの方からこれだけの支援金額が集まったのに、まだ本編制作に辿り着けていない状態で。
ここでまたみなさんの力を借りようとするのは甘えなんじゃないかなって思っていました。
だけど、想定していた以上にアニメ映画を作るハードルが高かったんです。
昨今のアニメ業界って本当に忙しくて人手が足りず、仕事が余ってるような状態なので、企画を通すのが難しい。
まず制作の体制をつくるのにどれだけ時間かかるかわからない状態で、制作を実現するにはどうしても資金的な体力が必要でした。
なので我々としては苦肉の策としてもう一度、みなさんのお力を借りようと思ってはじめたものだったんです。
「もう一度支援がしたい」支援者から集まる応援の声
家入:本編制作プロジェクトは結果としてパイロットフィルム制作プロジェクトに対して支援金額は2倍近く、そして支援者数も1.5倍にまで規模が拡大しましたね。また、CAMPFIREには「もう一度プロジェクトやってほしい」というリクエストという機能があるのですが、この希望が700件以上ありました。
まだら牛:こんな機能あったんですね!ということはこれって既に終わったプロジェクトページを見にきてこのボタンを押してくださったってことですよね?すごい…嬉しいです…
家入:プロジェクトが終わったあともリクエストできるんです。 まだこの機能の実装に気づいている方が少ない中でこれだけのリクエストがあるってことは、相当期待されている方がいるんじゃないかと思います。
リクエストボタンだけでなく、プロジェクトページへのコメントにも再度挑戦を希望される声を頂いていましたね。
「また支援したいのでもう一度クラウドファンディングしてください」ってコメントを頂くってすごいことだと思います。
まだら牛:本当にありがたいです。こうした後押しの力がなかったらきっとここまで来れなかった。
みなさんが「支援してよかった」と、リターンの商品を通して感じてもらうだけじゃなく、作品の完成度を通して喜んでもらえるものにしないと、やっぱりダメですね。
「裏切れないなぁ」という気持ちが強くなります。
家入:それこそ今回のリターンにはグッズやフィギュアなどの物販のものとは別に、カットオーナーになれる権利など、純粋に応援に繋がるものも多かったように感じます。
こういったリターンにも支援がたくさん集まっていましたね。
まだら牛:カットオーナーのリターンに関しては支援を頂くペースに驚きました。
かなり高額のリターンであったのにも関わらず、最初に売り切れてしまったんです。
そもそもパイロットフィルムのカットは全部で107個あったのですが、それぞれのカットを見栄えや人気のキャラがアップで映っているものなど、豪華さでEX・S・A・B・Cとランクとグレードをつけて販売したんです。
カットの中には真っ暗なものや文字のものしかないものもあったので、そういったものを省いて考えて、107個のうち96個を販売したものが即完売となりました。
しかしカットオーナープランが完売した後に「虚無でもいいからカットオーナーを売ってほしい」という要望をたくさん頂いたのでDプラン……通称「虚無カットオーナー」を用意したんです。
これも出したとたんに売り切れてしまって。
家入:虚無カットってすごい名前ですね。笑
きっと、今回のプロジェクトに参加した証として所有したいというような気持ちだったんですね。
まだら牛:虚無を売るのは心が痛かったです…笑
応援の気持ちとして受け取らせていただきました。
「物を買う」という意思表示とコミュニケーション
家入:物販のリターンだけでなく虚無カットなど応援の色が強いリターンが売れたり、クラウドファンディングにもう一度挑戦してほしいという声を頂いたりと、支援者の方は「ただ物を買う」という枠を越えて「狂気山脈を応援したい」という思いも込めて支援してくださっている印象です。まだら牛:本当にありがたいと思っています。
これに関しては僕、自分自身が買い物をする際においても共通して思うことがあって。
クラウドファンディングだけじゃなく物を買うときって、色んなところで愛着だったり応援だったりストーリーだったりコミュニティだったり「この服を着ている私はこの服が好きなだけじゃなくこのブランドが好きなコミュニティに参加したい」って側面があると思うんです。
今は機能だけで物を選ぶ時代じゃない。
良い物をいかに安く買うかではなく、自分の中のストーリーや応援やコミュニティへの帰属意識を持って物を選んでいるんじゃないかなって。
僕はパタゴニアの商品をよく買うんです。
あ、今はノースフェイス着てますが。
パタゴニアって「自分たちの株主は地球だけだ」って断言していて、地球環境を持続していくというストーリーを明確に押し出している。
パタゴニアの製品を買うということは、僕自身が応援したり賛同しているという意思表示になって買うモチベーションに繋がるんですよね。
クラウドファンディングという場はまさにそういった側面が前に打ち出されている印象があるので、こういったお金の使い方の文化がもっと当たり前のものになっていくといいなぁと思っています。
「1人の夢がみんなの夢に」を実現しやすくなった現代で
家入:元々CAMPFIREの社名は「小さな火をみんなで囲んで薪をくべて大きくしていきたい」という願いを込めて名付けたものなんです。最初の一歩を踏み出した人によって小さな種火が生まれ、火を囲む人によって大きくなっていく。
まだら牛さんのプロジェクトって、僕たちCAMPFIREが理想とするというか「こういったプロジェクトが生まれてほしい」と思う事例としてすごく素敵で、これから起案を考えている方々の勇気に繋がるものだと思います。
最後に今回の狂気山脈のクラウドファンディングを通して感じたことについてお伺いしてもよろしいでしょうか。
まだら牛:ありがとうございます。偉そうなこといってもしょうがないとは思うのですが。
ゼロイチのもの、今までなかったものって世の中のニーズに併せてものをつくるのとはちょっと勝手が違うと思っているんです。
果たして本当に世の中に必要とされているのか。
受け入れられるのかどうかがまずわからない。
それがゼロイチを作るってことだと思っていて。
でも、ゼロイチを作るって世界にとって絶対大切なことだと思うんです。
そしてクラウドファンディングという仕組みができる前までは、一人が「こういうのがいいんじゃないか?」って思ったゼロイチのものが、完成してみるまでみんなに受け入れられるものになるかどうかってわからなかった。
それをクラウドファンディングが「これぐらいの人が一緒に夢を見てくれている、期待してくれていると」可視化してくれるものになったので、これまでになかったいい仕組みだと思います。
クリエイターだったりこれから世の中になかった新規事業やサービスを立ち上げようと思う人にとっての発明だなって。
僕自身もそれに助けられたし、いざ蓋をあけてみたら「こんなに一緒に夢を見てくれる人がいるんだ」って事実が力になる、推進力になる。
もっと大きくなっていくといいなと思います。
家入:素敵なお言葉、ありがとうございます。狂気山脈のアニメ映画、楽しみにしています。
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