一人の夢がみんなの夢に!1329人とともに理想のキャンプ場を作る、クラウドファンディングの描き方

CAMPFIREでは、クラウドファンディングに興味のある方、プロジェクト成功の裏側を知りたい方へ向けたオンラインイベントを定期的に開催しています。2023年10月12日開催のイベントゲストは、「自分の理想のキャンプ場を作りたい!」という熱い想いを胸に、クラウドファンディングを通して、人気キャンプ場「negura campground」を創り上げたオーナー・渡部さん。 プロジェクトページやリターン設計もフォロワーの皆さんと相談しながら、みんなで作ったクラウドファンディングには、1329人もの支援が集まりました。 CAMPFIREキュレーターの宮迫大樹がファシリテーターとなり、仲間とお金を集めるクラウドファンディングの描き方、そして、理想を形にするマイビジネスの始め方について伺いました。

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プロジェクトデータ

プロジェクト名:
伊豆の入り口函南町に理想のキャンプ場を一から創りたい!

募集期間:2021年8月18日~2021年9月30日(44日間)
調達金額:11,905,500円
支援者数:1,329人

プロジェクトURL:
https://camp-fire.jp/projects/view/459462
プロジェクトオーナー: 渡部竜矢さん @ken_negura

人気キャンプ場「negura campground」とは

negura campgroundは、伊豆の付け根にある函南(かんなみ)町の、富士山と駿河湾と夜景を見渡しながら直火ができる予約制フリーサイトのオートキャンプ場です。 

オーナーの渡部さんは、大学を卒業してから13年間勤めた都内IT企業を2021年に退職して独立。ほとんど何も決まっていないところからTwitter(現X)アカウントを作り、日々の試行錯誤を発信し続け、同年8月から9月にかけてクラウドファンディングに挑戦。12月にnegura campgroundをオープンしました。 


渡部さん:「自分がお客さんとして来たら、こんなキャンプ場でキャンプをしたい!と思うキャンプ場を作る」という軸をぶらさずにやっています。例えば、水場が綺麗だとか、直火ができるなど。自分がキャンプ好きで、お客さん目線がわかるので、その目線を大切にキャンプ場を作っています。

宮迫:クラウドファンディングする前はどのくらいキャンプをしていましたか?
 
渡部さん:月1回以上を10年間続けていました。 自分が好きなものだから「こういうのが良い!」ということが溢れていて、その中でも共感いただけそうなものを全部詰め込んだのがnegura campgroundです。 

夢を語り続けることで、共感が生まれる

渡部さん:クラウドファンディング中はまだキャンプ場の実態はない状態でしたが、自分はキャンプをしている人の目線がわかり、理想をしっかりと語れるので、それに共感してくれた方が集まってくれていました。キャンプ場作りが実際に始まる前も、自分自身がすごく楽しんでいて、想像を膨らませながらすごくわくわくしていたんですね。そのわくわく感が皆さんにも伝わったのではないかと思います。

宮迫:クラウドファンディング実施の半年前にTwitter(X)で発信活動を始めていましたよね?

渡部さん:キャンプ場作りの発信のためにTwitter(X)を始めて、半年で5000フォロワーくらいになりました。キャンプ場を作りたいという想いと、キャンプ場作りの過程を投稿していたのですが、Twitter(X)は人柄や感情が伝わりやすいので、感情移入もできるし、この人なら実現できそう、実行力がありそうだなと感じてもらえたのではないかと思います。振り返るとそう思いますが、そのときは無我夢中で、本当に楽しさを共有している感覚です。


宮迫:半年間の発信を経て、クラウドファンディングを選んだ理由を教えていただけますか?渡部さん:感情込みで自分の夢を語る、エモーショナルな場を作りたいと思ったときに、CAMPFIREと相性が良いのではないかと思いました。クラウドファンディングのプラットフォーム選びもTwitter(X)で意見をもらったり、情報収集しながらやりました。

準備期間とクラウドファンディング実施期間、舞台裏の心境

宮迫:クラウドファンディングを実施するための準備期間も約2ヶ月あったと思いますが、どのようにプロジェクトページを作ったか振り返っていきたいと思います。

渡部さん:やりたいことに対する熱い想いが湧き上がってくるタイプなので、夜中にお酒を飲みながらプロジェクトページの文章を書いて、翌朝に冷静な目線で書き直すというのをやっていました。「感情を乗せられる」というのが、クラウドファンディンの良さだと思うので。やりたいこと、アイデアが何百もあったので、それを発散してまとめていくイメージでした。

宮迫:プロジェクトページの中身が大きく変わったタイミングがありましたよね?

渡部さん:最初は、一般受けを意識しすぎてしまったんです。最終的には「理想のキャンプ場を作る」としましたが、はじめは絶景推しで、「絶景を楽しむキャンプ場を作る」と書きました。それを昔からのキャンプ仲間に見せたときに「いや、これじゃないだろう」と。「オーナーが理想のキャンプ場像を持っていることが、お前のキャンプ場の良さなんだから」という話を受けて、一度全部書き直したことは印象に残っています。これが受けるかな?と人の目を意識したテクニカルな方向に走ってしまっていたのですが、やっぱり自分の理想を真っ直ぐに伝える形に方向転換できたのは良かったと思います。

宮迫:プロジェクトページ内の画像・パースも、誰か描いてくれる人はいないかとTwitter(X)で募集されていたのも印象的です。

渡部さん:当初はスキルシェアのサービスを使って発注しようとしていたのですが、フォロワーさんの中で「おもしろいから何か手伝いたい」と言ってくれる人が現れていたので、思い切って募集してみました。

頼るって大事だと思います。クラウドファンディング自体が、資金の援助をお願いするものですが、お金の損得とは別の話で、みんなで作りましょうという気持ちがありました。僕の立場で言うと変になってしまうかもしれないですが、皆さんが自分も一緒に作ったんだと言ってくれていて、僕も支援してくれた方々と一緒に作ったという感覚があるんです。このプロジェクトの成功自体を純粋に喜んでくれる人がいて、「仲間になった」という感覚がありました。僕の場合は、追加リターンを何度か入れたのですが、なんか頑張ってるからまた応援しよう!と思ってくれる人たちもたくさんいました。

宮迫:一度ではなく、複数回の支援をしてくれた方もいらっしゃいましたよね。追加リターンの多さも特徴的なプロジェクトだったと思います。

渡部さん:追加リターンは毎週必ず増やしていました。クラウドファンディングは最初と最後に盛り上がりの山があるという話を聞いていたのですが、間の期間も話題を絶やさないようにしたいと考えていたので。こういう商品があったら良いのではないかと、やってみたら楽しくなって、当初は考えていなかったものもどんどん生まれました。支援が集まらなくても、自分が欲しいから作っちゃいましたね。Twitter(X)で「ワッペン作りたいな」と投稿したら、「この会社で作れますよ!」と教えてくれる人がいたり、次は何を出すんだろうと期待してくれた人たちもいたのではないかなと思います。

宮迫:後半は、「ボードに名前入れます」「定礎に名前入れます」なども追加していましたが、すぐに完売していましたよね。リターンの設計についてはどのように考えられていましたか?


渡部さん:リターンは大きく3パターンの軸を考えていました。
まずはキャンプ場の利用券のリターンです。通常よりも少しお得に利用券がもらえるもので、やっぱり近場の、キャンプ場に足を運べる方にはぜひこれを支援していただきたいと思いました。一度来てもらえたら良さが伝わる自信があったので、まずは実際に訪れてもらうことで、このキャンプ場を気にかけてくれる人を増やしたいなと。

そしてアパレルやグッズは遠隔地の方向けです。Twitter(X)で発信をしてきた性質上、北海道や九州、沖縄など遠くに住んでいる方にも応援していただけるようになったので、キャンプ場に訪れるのは難しい方にもリターンを用意したいと考えました。

記名系のものは、正直、元手はかからない。はじめは5000円で買ってくれる人がいるのかと不安もありましたが、未来永劫残り続けるっていう意味で、自分で言うと烏滸がましいですが、価値があったのではないかと今は感じています。

宮迫:実際にキャンプ場に来て、自分の名前があったら嬉しいですし、写真を撮る人もいそうですよね。

集まるのはお金だけでなく「人」だった

渡部さん:僕の場合はありがたいことに初速が良かった。最初の140万円という目標を3時間で達成したことが話題となり、新聞やテレビ、ラジオなど取材をたくさんしていただけました。ですが、本質的なところでは「人」ですね。実際に集まるのはお金だけではなく「人」なんです。5000人だったフォロワーも、クラウドファンディング終了時には7000人に増えていました。

negura campgroundの特徴は、キャンプ場作りも「DIY」を謳っていて、業者をあまり入れずに自分たちで作っています。 そのDIYを手伝ってくださる仲間もクラウドファンディングをきっかけに増えました。毎週日曜を「開拓の日」として、今でもボランティアで一緒にキャンプ場を作り続けてくれている仲間がいます。

クラウドファンディングをする前は、「ファンを集める」「仲間を集める」というのがピンときておらず、資金を集めるものとイメージしていたのですが、実際にやってみて、仲間を集められたことが本当に良かったと思っています。


宮迫:夢を語って、それがみんなの夢になるっていうことを体現されていたプロジェクトでしたね。

一人の夢がみんなの夢に、理想を形にするマイビジネスの始め方

宮迫:Twitter(X)で発信を始めた当初に思い描いていたキャンプ場ができましたか?

渡部さん:いろいろな要素、運もあったと思いますが、「こういうところでキャンプがしたいよね」と思い描いていた通りのキャンプ場が実際にできています。完成してみたら全然違ったというリスクもあると思いますが、軸をぶらさないことが大切。そこだけは守りたいという思いでやっています。

宮迫:キャンプ場をこの場所でやるぞと決めるまでも大変でしたよね?

渡部さん:一年くらいは土地探しの期間があり、毎週のように山に入っては、ここは水道きてるかな?電気どうかな?とドキドキしながら探しまわって、それも楽しかったです。300箇所くらいでやっと辿り着いた場所、ぶっちぎりの一位の場所でキャンプ場を作ることができました。


宮迫:僕も遊びに行かせてもらいましたが、富士山と駿河湾、夕陽、全て本当に美しいです。少しクラウドファンディングから話が広がりますが、事業を作っていくのに大切だと思うことはありますか?

渡部さん:「熱」です。クラウドファンディングも熱量が大事だと思いますが、自分が情熱を持って「これをやりたいんだ!」という想いが現れていないと、見ず知らずの人にお金を預けようとは思いません。そのあと続けるときもそうで、熱意を持ってやり続けないと良いものは作れないと思います。やりたいことをやっている自分が、楽しんでいるか。楽しんでやっていると熱量が滲み出てくるはずです。僕は今も楽しくて、その循環です。金儲けを先に考えてしまうと、頭のいい人ならできるのかもしれませんが、偽物っぽくなってしまいます。

宮迫:その熱を浴びたくてフォローしてる、支援してるという人も多かったかもしれませんね。不安はありませんでしたか?

渡部さん:独身で、自分さえ食っていければいい状態でしたし、会社の待遇は良かったですがそれは選択。不安ではなく、こっちの方がいいだろうという選択で、自分の人生が良くなるという確信がありました。プロジェクトページの最後に、システムエンジニアとして心身ともにすり減らしながら働いていた13年間で感じていたこと、人生一度きりだからお金よりもやりたいことを優先すべきだという想いを書いたんです。そこにシンパシーを感じてくれた人も多かったように思います。「自分には家庭があり、子供がいて、今の環境を離れることはできないが、チャレンジするあなたに自分の夢を託します。」という内容のコメントをくれる人もいました。

自分の中にある情熱にフォーカスする

渡部さん:人との繋がり、理想をはっきりと思い描いて、自信を持って人に言えることが大事。それがないと熱量が伝わらず、ただの金儲け?本当に実現するの?と疑われてしまいます。やっぱりクラウドファンデイングをする人はお金以上に、自分の中にある情熱にフォーカスして膨らませることが大切だと思います。

Twitter(X)を遡っていただけたら、クラウドファンディング当時の発信も参考になると思いますし、今の発信も、クラウドファンディングを実施してから2年経っても繋がりを持って活動しているんだということが伝わると思いますので、ぜひ見てみてください。

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