スタートアップがクラウドファンディングを活用して成長するコツ

クラウドファンディングを活用したスタートアップの成功方法を解説。具体的なメリットやリスク、成功事例から学ぶコツを紹介します。
クラウドファンディングは、アイディアと情熱を持つスタートアップ企業にとって非常に有効な資金調達方法です。  近年、多くのスタートアップがクラウドファンディングを活用して、必要な資金を集めるだけでなく、事業の認知度を高め、潜在的な顧客とのつながりを築いています。 

このページでは、 
  • クラウドファンディングがスタートアップ企業にどれほど効果的であるか 
  • 他の資金調達方法との比較 
  • スタートアップの成功例 
  • 成功事例から学べるポイント などについて紹介します。 
クラウドファンディングの利点とリスクを理解し、スタートアップ企業にとって最適な資金調達方法を見つける手助けとなる情報を提供しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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スタートアップ企業にクラウドファンディングは有効!

まず、クラウドファンディングがスタートアップにとってどれほど効果的かを具体例を交えて解説します。

スタートアップ企業とは

今回のページでは、スタートアップ企業は、「新しいビジネスモデルや技術を用いて、急速に成長を目指す新興企業のこと」と定義します。 これらの企業は、大きなビジネスアイディアを持ちつつも、しばしば資金繰り、資金調達に課題を抱えています。 クラウドファンディングは、その問題の解決策の一つとして非常に有効です。

クラウドファンディングがなぜスタートアップと相性が良いのか

クラウドファンディングとは、「プロジェクトの内容に、共感や感動を受け、応援したい」 と思った多数の人々から、インターネットを通じて資金を集める方法です。 

この方法は、特に新しいビジネスアイディアや技術、製品アイディアなどを持つ「スタートアップ」と非常に相性が良いと考えられています。 なぜ相性が良いのか? それは、スタートアップ企業が陥りがちな「キャッシュフロー」の問題を、得意分野である「新しいビジネスモデルや技術」を使ったプロジェクトで解決することができるためです。 
また、クラウドファンディング活動により、資金調達の障壁を低減し、より多くの人々に事業を知ってもらう機会をも、得ることができます。

クラウドファンディングと他の資金調達方法との比較

クラウドファンディングをやりたい理由が、「資金調達」である場合、他の選択肢と比較しておく必要があります。 

クラウドファンディングは、多くの人々から資金を集める新しい手段ですが、他の資金調達方法とどのように異なるのか理解することが重要です。ここでは、クラウドファンディングと自己資金、融資の違いについて比較します。 

以下の表は、自己資金、融資、クラウドファンディングのメリットとデメリットをまとめたものです。
自己資金・融資・クラウドファンディングの違い
それぞれの方法がどのように異なるのか、具体的な利点と課題を理解することで、自身に最適な資金調達方法を選ぶ手助けになります。 また、クラウドファンディングはメリットもありますが、デメリットもあります。

必要な調達方法を組み合わせるなどハイブリットに活用していくこともオススメです。

スタートアップ企業がクラウドファンディングを使うメリット

ここからは具体的にどんなメリットがあるかを見ていきましょう。

無担保・無保証で調達可能

スタートアップ企業にとって、銀行からの融資や投資家からの資金調達は、原則担保や保証が必要となります。しかし、クラウドファンディングでは、そのような要件がなく、より手軽に、リスクも小さく資金を集めることができます。

事業計画の評価を受けられる

クラウドファンディングを通じて、スタートアップ企業は自社の事業計画を広く公開し、潜在的な支援者などの未来の顧客・市場からのフィードバックや評価を受けることができます。 これにより、ローンチ前でも客観的なデータを集めることができ、事業計画の修正や改善につながる貴重な意見を得ることができます。

テストマーケティングが可能

製品やサービスを市場に投入する前に、クラウドファンディングを利用してテストマーケティングを行うことができます。これにより、市場の反応を見極め、製品の改良に役立てることが可能です。

成功によるブランディング効果

クラウドファンディングが成功すれば、多くの人に、「プロジェクト」が高く評価されたことの証明にもなります。人にはバンドワゴン効果といって、たくさんの人に「良い」と言われているものが「良く見える」傾向があります。これにより、これからの事業にさらに箔がつき、より多くの人に注目してもらうきっかけになります。

SNSなどを使った認知度向上が見込める

クラウドファンディングキャンペーンは、SNSやメディアを通じて広く拡散されることが多く、企業や製品の認知度向上に寄与します。 特にまだサービスを正式にローンチしていない時点で、認知度を高めることができるのは、今後の事業拡大のためにも非常に大きなメリットになります。

優良顧客との繋がりを作れる

支援者は、単に資金を提供するだけでなく、製品やサービスに対する期待を持っています。これらの支援者は、将来的に優良顧客となる可能性が高く、長期的な関係を築く基盤となります。

スタートアップ企業がクラウドファンディングを使うリスク『アイディアの流出』

一方で、クラウドファンディングにはデメリットもあります。 

それが「アイディアの流出」です。 クラウドファンディングはプロジェクトの詳細を公開する性質上、以下のような深刻な問題を引き起こす可能性があります。
  •  競合製品・サービスの登場: アイディアを盗用された競合企業が、先行して類似製品・サービスを開発・発売する可能性があります。 
  • 追加資金調達への悪影響: すでに公開されたアイディアとなるため、クラウドファンディング外では投資意欲が低下し、更なる資金調達が困難になる可能性があります。 
  • ブランドイメージの毀損: 盗用されたアイディアが低品質な製品・サービスとして世に出回れば、ブランドイメージが毀損される可能性があります。 
こうしたリスクを軽減するために、以下の対策が有効です。 

1. 公開範囲を限定する: 
  • NDA(秘密保持契約)を締結する: 特許出願前などの機密性の高いアイディアについては、ステークホルダーとはNDAを締結することで、漏洩リスクを低減できます。 
  • 技術情報は公開しない: クラウドファンディングではあくまで商品・サービスの紹介を中心に公開し、技術情報は公開しないようにします。 
  • 限定公開のコミュニティを作る: 支援者限定のコミュニティを作り、そこで限定情報を公開する方法です。 
2. アイディアを保護する
  • 特許出願をする: 特許出願することで、アイディアを法的に保護することができます。 
  • 商標登録をする: 製品名やロゴなどの商標を登録することで、模倣品対策となります。 
  • 著作権登録をする: デザインや文章などの著作権を登録することで、複製や改変を防ぐことができます。 
3. 監視体制を強化する: 
  • インターネット上で自社のアイディアを検索する: 定期的にインターネット上で自社のアイディアに関する情報を検索し、盗用がないかどうかを確認します。 
  • 競合企業の動向を調査する: 競合企業の製品・サービスや特許出願などを調査し、自社のアイディアが盗用されていないかどうかを確認します。 
  • 情報漏洩があった場合は迅速に対応する: 情報漏洩が発覚した場合、速やかに原因究明と再発防止策を講じることが重要です。 

4. その他の対策: 
  • 社内体制を整備する: アイディアの取り扱いに関する社内ルールを定め、従業員に周知徹底します。 
  • 外部機関の協力を得る: 専門家によるコンサルティングを受けることで、より効果的な対策を講じることができます。 
アイディアはスタートアップ企業にとって重要な資産です。クラウドファンディングを活用する際には、十分な対策を講じて、アイディアの流出を防ぎましょう。


スタートアップのクラウドファンディング成功事例

ここからはスタートアップ企業の成功事例を紹介していきます。

視覚障害者向けスタートアップの成功事例


視覚障害者向けスタートアップの成功事例のアイキャッチ画像
・支援者数:173人 
・支援総額:7,596,298円 
・実施期間:2023/01/21~2023/03/05(45日間) 
・プロジェクトURL:https://camp-fire.jp/projects/view/640691
Honda社初の社外スタートアップ企業の事例です。 
足への振動デバイスを用いた、全く新しい視覚障がい者向け歩行ナビゲーションシステム「あしらせ」というデバイス・サービス提供のプロジェクトです。 

靴への振動を検知し、今までになかった聴覚を妨げないナビシステムで、 

「耳が邪魔されず安全に集中できる」
「これなら絶対に迷わないと思える」 
「下調べが不要になる」 


などの当事者のメリットの声まで掲載されており、2022年にはグッドデザイン賞金賞も受賞しています。 

リターン設定は、「商品購入」と「製品体験」「経営者との対談」などがあります。
その結果、 
  • 123名の事前購入者確保 
  • 17名のトライアル者確保 
  • 目標金額の7.5倍の資金調達 という成果を上げています。

Z世代向けウェブマガジンのスタートアップ・プロジェクト

Z世代向けウェブマガジンのスタートアップ・プロジェクトのアイキャッチ画像
・支援者数:196人 
・支援総額:3,040,000円 
・実施期間:2021/09/27~2021/11/13(48日間) 
・プロジェクトURL:https://camp-fire.jp/projects/view/464724
「elabo(エラボ)」は、Z世代向けにカルチャー、アイデンティティ、ポリティクスに関する情報を提供するウェブマガジンのスタートアップです。 若者の視点から、社会問題や最新トレンドを発信し、ディスカッションを促進するために活動を開始しました。 

記事の発信だけでなく、読者とのディスカッションイベントの開催、雑誌の発行、オンラインショップの運営を計画しています。これにより、若者の創造力を支援し、社会問題への意識を高めることを目指しています。 

リターンには、 
  • オリジナルグッズ 
  • イベント参加権 
  • 限定コンテンツへのアクセス など多様なリターンが用意されています。 

その中でも最も金額を集めているのが、スポンサー枠です。 10万円で支援できる「スポンサー枠」を作ることで、法人からの支援も獲得し、今後の雑誌掲載などのつながりも獲得しています。


スタートアップを沖縄に集めるスタートアップ!プロジェクト

スタートアップを沖縄に集めるスタートアップ!プロジェクトのアイキャッチ画像
・支援者数:234人 
・支援総額:5,066,111円 
・実施期間:2022/05/29~2022/07/10(43日間) 
・プロジェクトURL:https://camp-fire.jp/projects/view/580498 
「コザスタートアップ商店街をつくる!」というプロジェクトは、沖縄県コザにコミュニティ型コワーキングスペースをつくり、起業家やエンジニア、デザイナーなど多様な職種のフリーランス・起業家・挑戦者が集まる場を作るためのプロジェクトです。 

このプロジェクトでは、 

  • コワーキングスペースの提供 
  • 起業支援 
  • ワーケーション向けホテル 
  • アイディア出しのためのイベントやスペースの提供 

などを通し、"徒歩15分以内でほしいものがなんでもそろう場所"を作っていくことを目標にしています。 


リターン設定は、 

  • オリジナルステッカー 
  • 限定Tシャツ などもありますが、 
  • お試し入会券 ・イベント参加権 
  • 宿泊体験 
  • シェアオフィス体験利用 

など、直接利用者に繋げるためのリターンも多く用意されています。 実際に427,000円の年間法人プランも3件申し込まれており、優良顧客との繋がりも獲得しています。

町の新しい価値を発信するためのスタートアッププロジェクト

町の新しい価値を発信するためのスタートアッププロジェクトのアイキャッチ画像
・支援者数:511人 
・支援総額:6,116,055円 
・実施期間:2020/02/19~2020/04/30(80日間) 
・プロジェクトURL:https://camp-fire.jp/projects/view/236327 
茨城県大洗町で起業した「株式会社ハイド&ルーク」の新規プロジェクトです。 町の課題を解決し、観光客に対して町の新しい価値を発信するためのプラットフォームとして、大洗町の新しい観光ポータルサイト「ARISE GIFT」を制作しています。 

町の魅力や情報を発信することで、特に、観光産業の活性化と地域住民の生活向上、また訪れる人々には新しい「初体験」を提供することを目指したメディアになっています。 

リターン品には、 

  • 地元の特産品 
  • 地元の有名店の食事券 
  • 地元の施設見学ツアー など

このプロジェクトの顧客になる人=ターゲットに特化させた内容となっており、「支援者=優良顧客」となる工夫がされています。


スタートアップ企業の成功事例から学ぶクラファンのコツ

スタートアップ企業の成功事例から学ぶクラファンのコツイメージ画像
上記の成功事例をもとに、クラウドファンディングで成功するためのコツを紹介します。

SNSやメディアを活用する

近年、SNSやメディアは情報発信の重要なツールとなっています。クラウドファンディングプロジェクトにおいても、SNSやメディアを積極的に活用することで、より多くの人にプロジェクトを知ってもらい、支援を集めることができます。
  •  SNS: Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSでプロジェクト情報を発信しましょう。ハッシュタグを活用したり、インフルエンサーに協力を依頼したりすることで、拡散効果を高めることができます。 
  • メディア: プレスリリースを配信したり、メディア関係者に取材依頼をしたりすることで、プロジェクトをメディアに取り上げてもらうことができます。


アイディアを最大限表現

プロジェクトのアイディアは、文章だけでなく、画像や動画などを活用して、分かりやすく、魅力的に表現することが重要です。ターゲットとなる支援者が共感できるようなストーリーを伝えるようにしましょう。 

  • ストーリーテリング: プロジェクトの背景にあるストーリーや、実現したい想いを伝えることで、支援者の共感を得ることができます。 
  • ビジュアル: プロジェクトの内容をイメージしやすいように、高画質な写真や動画を活用しましょう。 
  • キャッチコピー: プロジェクトのコンセプトを簡潔にまとめたキャッチコピーを作成しましょう。


写真や画像を豊富に活用

写真や画像は、言葉よりも訴求力があります。プロジェクトの内容を理解してもらうために、写真や画像を豊富に活用しましょう。 

  • 製品・サービスの写真: 製品やサービスの写真は、高画質で、魅力的に撮影しましょう。 
  • 使用イメージ: 製品やサービスをどのように使うのかをイメージできるような写真や画像を活用しましょう。 
  • チームメンバーの写真: チームメンバーの写真を掲載することで、プロジェクトの信頼感や親近感を高めることができます。

リターンの種類を多くする

リターンは、支援者がプロジェクトを応援するモチベーションとなるものです。多様なリターンを用意することで、幅広い支援者層を獲得することができます。 

  • お得な販売券などのリターン: 製品やサービスの割引券や先行販売権などの金銭的なリターンは、多くの支援者にとって魅力的なものです。また起案者からしてもはじめに顧客を一定数獲得できるので、非常に有効なリターンの一つです。 
  • トライアル体験などができるリターン: プロジェクトの体験チケットなどのリターンも、まだ新しい技術などを扱うスタートアップ企業にとっては、支援者の背中を押す相性の良いリターンです。 
  • 限定リターン: 数量限定のリターンを用意することで、希少性を持たせることができます。特に限定数に合わせて価格を変えていくことで、価格調査なども可能になります。

その他、成功事例から学ぶコツ

その他にも以下のコツがあります。 
  • 目標金額は慎重に設定する: 無理な目標金額を設定すると、達成が困難になり、支援者からの信頼を失う可能性があります。 
  • 定期的にプロジェクト情報を更新する: プロジェクトの進捗状況を定期的に更新することで、支援者とのコミュニケーションを活性化することができます。 
  • 支援者からの質問や意見に丁寧に答える: 支援者からの質問や意見には丁寧に答え、コミュニケーションを大切にすることで、支援者満足度を高めることができます。 

クラウドファンディングのやり方が気になった方は以下の記事もご覧ください。
【成功への道】クラウドファンディングのやり方完全ガイド:基礎から成功の秘訣まで


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