CAMPFIREではこれからクラウドファンディングの起案を検討している方に向けて定期的に無料のオンラインイベントを開催しています。 ぜひお気軽にご参加ください!
登壇者のご紹介
原田翔太(以下:原田さん)
エルネスト株式会社代表取締役。2022年12月に自らが起案者として実施した、渋谷公会堂でのライブクラファンでは3千万円の支援金を集めた。その後CAMPFIRE公式パートナーとして活動し、サポートしたプロジェクトの累計支援金額は約2億6千万円。CAMPFIREパートナーアワード2023にてBESTパートナー賞を受賞。CAMPFIREプロジェクト:生涯最後で最大のステージ渋谷公会堂でみんなと一緒に最高のライブを作り上げたい!
小田桐あさぎ(以下:小田桐さん)
株式会社アドラブル代表取締役。魅力覚醒講座主宰。昨年7月に出版した「女子とお金のリアル」は発行部数10万部を達成するベストセラーに。出版時に実施したクラファンは書籍カテゴリで歴代トップとなる1億2千万円の支援金を集め、CAMPFIREクラウドファンディングアワード2023総合2位を受賞。CAMPFIREプロジェクト:日本社会のお金の呪いを解く!10万人の女性に「お金の真実」を届けたい!
当記事は以下の順にて進行した内容に沿ってまとめています。
- 原田翔太さん テーマ:クラファン×ビジネスで「やりたい」を実現する方法
- 小田桐あさぎさん テーマ:1億超えクラファンのリアル・なぜ圧倒的な結果は生まれたのか?
- 原田翔太さん×小田桐あさぎさん トークセッション / Q&Aセッション
クラファン×ビジネスで「やりたい」を実現する方法
原田さん:まずはじめに今回のテーマである「クラファン×ビジネスで『やりたい』を実現する方法」に沿って、クラウドファンディングの世界観やポイントについてご説明させていただきます。半生をかけた総選挙、生き方の総決算。
まずクラウドファンディングの捉え方についてです。個人の事業者にやりたいことがある、世の中に広めたいプロダクトがあるとき、クラウドファンディングは半生をかけた総選挙だと捉えてもらうといいと思っています。政治の選挙というと我々のような一個人にはイメージがつきづらいかもしれませんが、やったらわかります。クラウドファンディングってほんとに選挙です。
誰かに応援してもらわないと成り立たないのがクラウドファンディングなんです。
故に、生き方の総決算でもある。
良くも悪くも自分のこれまでの生き方がそのまま通知表や採点表のように数字に現れるものだと思っています。
クラウドファンディングでうまくいくのはこれまで人と関わって貢献してきた人、それがファンとして支援者になるイメージです。
これがクラウドファンディングは半生をかけた総選挙、生き方の総決算であるとお伝えしている理由になります。
これまで色々な方のクラウドファンディングをサポートさせていただいた中で蓄積してきたノウハウや秘訣みたいなものはもちろんあるのですが、前提として「人生の総選挙である」という認識が重要だと思っています。
そして半生をかけた総選挙、生き方の総決算がうまくハマるとあなたの「やりたい」が叶う可能性があるのがクラウドファンディングです。
実際に僕自身が2年前、2022年の秋に初めて挑戦したクラウドファンディングでご紹介させていただきます。
引用:生涯最後で最大のステージ渋谷公会堂でみんなと一緒に最高のライブを作り上げたい!
このプロジェクトはポップスやロックミュージシャンにとっては聖地とも言える渋谷公会堂で僕個人の集大成としてのワンマンライブをしたいという内容でした。
僕自身、ミュージシャンとして15歳の頃から憧れてきた夢の舞台だったんです。
そもそも集まるかわからなかったし、目標金額の300万円が集まれば、もし足りない分があれば自腹を切ってもいいと思っていたんです。
それが結果的に3,000万円を越える支援をいただき、個人では実現できないような素晴らしいライブを実現することができました。
ずっと思い描いていた夢に対してまさに半生をかけた総選挙、生き方の総決算として挑戦したクラウドファンディングだったんです。
これが終わったことで人生でやり残していたことを一つ果たせたと思えるような経験でした。
このプロジェクトを経て現在CAMPFIREパートナー*という形で起案者のサポートを担当させていただくようになりました。要点として普段から起案者にお伝えしている内容を簡単にまとめました。
*CAMPFIREクラウドファンディングパートナーの詳細はこちら
クラウドファンディング成功の3つの秘訣
- 準備が9割
- 全てをかける
- コンセプト/リターン/ストーリー
準備が9割
まずは準備を万全に行うのが大前提で、クラウドファンディングが始まった時点で勝負はほぼ結果は決まっていると言っても過言ではありません。どのくらいイメージができていて、どのくらいの仕込みができていたのかが結果に直結します。
クラウドファンディングに挑戦するからには「プロジェクトにかける想い」であったり、「資金を集める動機」というような、何かしらの目標があると思います。
しかし、どれだけ想いや目的が明確でもあくまで目的を達成するための過程として必要な準備やイメージができていないプロジェクトは成功しづらい印象です。
全てをかける
半生をかけた総選挙であり生き方の総決算とお伝えした通り、自分の生きてきた軌跡を全てかける姿勢で挑むことが重要です。起案者の方がどれだけクラウドファンディングに対して賭けているかどうかは数字に直結しますし支援者の方にも伝わります。
片手間でやろうと思ってもなかなかうまくいかなくて、少なくとも僕がサポートした起案者の方はみんな仕事の手をとめてでもクラウドファンディングに全振りしていたからこそ大きな結果を残せていたのではないかなと。
コンセプト/リターン/ストーリー
コンセプト
「何を売るのか」ではなく「どんな未来を実現したいか」で考えることが重要です。
例えばあさぎさんのプロジェクトの場合は出版プロジェクトではあるものの、「私の本を売りたい!」ということではなく「日本社会のお金の呪いを解く!」というコンセプトを掲げています。
このように、挑戦したいことがどんな社会的な意義があるのか、世の中の誰のためになるのかといった、自分のプロジェクトの思考性を表現することが大切です。
リターン
クラウドファンディングってお祭りのような側面があって、まさにCAMPFIREの名前の通りやぐらを組んで火を焚いて周りに人が集まってくるようなイメージで、その人だかりを作るための源泉がリターンになります。
支援者の方にお金を出していただくからには、お得であったり関わって良かったと思ってもらえるようなものを用意するのが前提で、大きく支援を集めたプロジェクトには必ず売れ筋のリターンがあります。
ストーリー
時空をデザインするという伝え方をしているのですが、クラウドファンディングに挑戦する以上、1ヶ月なら1ヶ月で始まりと終わりが存在します。このはじまりから終わりまでをどうデザインするかというのがストーリーの部分になります。
クラウドファンディングって盛り上がるタイミングは決まっていて、最初と真ん中と最後、この3つです。
最初と最後は盛り上がりやすいのですが、真ん中の期間に必ず中だるみの期間を迎えるので、そこでどれだけ勢いをつけられるかが、とても重要。
最後の追い込みの期間に向けての仕込みを真ん中の期間で自ら作り出すことができるかどうかで、盛り上がりのタイミングが最初と最後の2回だけになるのか、真ん中の期間を含めて3回作れるのかが変わってきます。
駆け抜けること
最後に重要なポイントとして駆け抜けるということ。
クラウドファンディングに限らず、マーケティングやプロモーションなどにも共通するのですが、とことんやり切らないと掴めない結果はあると思っています。
目標金額を達成していても慢心しない、やれるだけやるという姿勢で望むこと。
第2の青春、半生をかけた総選挙であり生き方の総決算であるという姿勢で望めば、思っていた以上の結果を得られる可能性があるのがクラウドファンディングなんじゃないかなと思っています。
1億超えクラファンのリアル・なぜ圧倒的な結果は生まれたのか?
小田桐さん:クラウドファンディングのチームリーダーを務めていただいた弊社の真鍋(以下:ベッティさん)と共にお話させていただきます。ベッティさん:よろしくお願い致します。
小田桐さん:まずはじめに、今回のプロジェクトで得られた結果についてご紹介させていただきます。
クラウドファンディングの目標金額は4,000万円で、今回出版する著書の電車広告を出稿するためのものでした。
結果として1億円を超える支援をいただけたことで、テレビCM、新聞朝刊、アドトラックを走らせるというところまで実現することができました。
広告を出稿するということで1人でも多くの方にこの本の存在を知っていただき、日本社会のお金の呪いを解くという目的に繋げていきたいというストーリーで挑戦したクラウドファンディングです。
結論としてただ出版する以上はやはり1冊でも手に取っていただきたかったので「自分の著書を10万部売りたい」という個人的な目標が先にありました。
ですので、「日本社会のお金の呪いを解くという」ストーリーに関しては後付けではあったんです。
クラウドファンディングへの挑戦って本来個人的なものが多いと思うのですが、原田さんが仰ってた通り社会性とどう繋げていくかがとても重要。
私だったら「こんな本出すから買ってね、お金出してね。」って内容ではうまくいかない。
何のためにそれをやるのか、それが支援者の目指す社会や未来とどう繋がるのかが、マッチングができたときに支援の気持ちに繋がるものなんじゃないかと思います。
ベッティさん:クラウドファンディングの遠心力を掛け合わせてこれまで小田桐を知らなかった人にまで届けたいという目的があったので、ストーリーは後から考えたものではありますがクラウドファンディングという選択肢を使うことは一択で決定していましたね。
成功の条件としてのコミュニティ
小田桐さん:今回の結果に対して「コミュニティを持っているあさぎさんだから1億円を達成できたんですよね?」と聞かれることがあるんですけど、全く否定しません。実際にこのプロジェクトの支援金額のかなり大きな部分をコミュニティメンバーが占めていますし、このコミュニティがなければ辿り着けなかった結果です。
ご質問で「まだコミュニティもなく、応援してくださる方もいない、フォロワーさんもいない場合でも支援をいただくにはどうすればいいでしょうか」というものをいただきました。
そういった場合は、いきなりお金を出していただくのではなく、まずは共鳴してくださる仲間を集めることがはるかに簡単で重要だと思います。
無料という状態で仲間を集められない人がクラウドファンディングで人にお金を出してもらうというのは無理なんじゃないかなって。
ただし、「仲間を作る」「コミュニティを作る」というのは、私のようにオンラインサロンを作るという話ではないんです。
自分がどういう想いを持っているのかを声に出してみるだけでいいんです。私自身も最初はブログを開設したことがきっかけでした。
当時は会社員で妊娠中だったのですが、世の中のワーキングマザーって大変な人しかいなくて、ほんとにそんな未来しかないのだろうかという疑問をもったことがきっかけで、もっと別の未来を模索することをはじめていきませんかという想いをブログで発信することからスタートして、現在に至っているんです。
自分はこんな社会を実現したい、未来を実現したいという発信はいつでも無料ではじめられることなので、まずはそこからはじめてみることが重要なんじゃないかと思います。
ベッティさん:実際にあさぎさんのコミュニティの中でチームとして取り組んだことをご説明させていただきます。
実務視点での3つのポイント
①プロジェクトを自分ごと化
プロジェクト自体を「あさぎさんの夢を叶える」ではなく「みんなで同じ夢を叶えていく」という、横並びの同じ目線で目標達成を目指していくという姿勢が重要だったと思っています。
②全体スケジュールを3つに区切って各ミッション設定→達成(成功体験)で熱量上
原田さんがおっしゃっていたように、全体スケジュールを最初と中間と最後でさらに3つに区切ってそれぞれのミッションを掲げ、成功体験を積み上げられるようにしました。
実際に達成できないような目標を掲げるのではなく、みんなで頑張ればなんとか達成できそうな目標を掲げることも重要です。
それぞれの目標を達成したときにみんなで喜びを分かち合えるとコミュニティの熱量があがるので具体的にこのような目標で取り組んでいました。
- 最初の3日から1週間ではまず10%〜13%の支援を集めるスタートダッシュ
- 中間の中だるみ期間では残り5日にのラストスパートへのバトンを繋ぐための拡散で支援者数を募る
- 最後の期間は最高の盛り上がりを以て1億円を達成する
③とにかくコミュニティメンバーを大事に幸せに。
コミュニティメンバーが一番大切である、幸せになってほしいという前提で、クラウドファンディングの支援を通してどうやって喜んでもらえるようなリターンを用意できるかを考えました。
まず、あさぎさんからコミュニティメンバーに、最初から「どんなリターンが欲しい?」と聞いてみたりと、ただ応援を募るのではなく、常に一番喜んでもらえる形を目指しました。
トークセッション / Q&Aセッション
Q:初速を伸ばす為の事前告知はどうやって行うのがおすすめでしょうか?原田さん:準備が9割だけど個人でのDMを無差別に送りまくるようなことはおすすめしません。
おすすめしているのは、クラウドファンディングが始まる前から色んなコミュニティに参加して活動を認知してもらうことです。
クラウドファンディングでは急に知らない人から支援が入ることはほぼなくて、知ってる人の知ってる人までしか届かないので、どこまで輪を広げておけるかが重要だと思います。
小田桐さん:コミュニティがある前提でのお話になりますが、コミュニティ内で先行案内を行っていました。
実際に取り組んだこととして、クラウドファンディングを公開してから最初の3日間はSNSに一切ページを上げていなかったんです。
メンバーにもその旨を伝え「最初の3日間はSNS公開しないのでほしいリターンは買ってほしい」と伝えしました。
Q:失敗するクラウドファンディングの共通点はありますか?
原田さん:個人的な欲望を叶えたいという入りでもいいのですが、人生の総決算にならないプロジェクトだったらやらないほうがいいのではないかと思っています。
子供で言う「一生のお願い」になると思うのですが、このプロジェクトで一生のお願いを使っちゃっていいの?と思ってしまうような。
そういったプロジェクトって自分の熱量も入り切っていないので、結果にも繋がりにくいと思います。
小田桐さん:確かに、クラウドファンディングって良くも悪くも名刺になるので、自分の名刺になってもいいような気合いが入っていないものはやらないほうがいいんじゃないかと思ってしまいます。
原田さん:インターネット上にクラウドファンディングのページは残ってしまいますし、消せません。成功も失敗も残ってしまうものだからこそ、自分にとっての必然性があるプロジェクトで挑戦するのがおすすめです。
Q:お2人はファンがいたから達成できたのではないでしょうか?
原田さん:表現が難しいのですが、一言でいうとそうなります。でもクラファンを通してファンを増やす人がいるのも事実です。
陸の孤島で叫んでもしょうがないので、やはりこれまでどう生きてきて、どう人と関わってきたかが重要だと思います。
クラウドファンディングって例えるなら祭りなので、祭りが盛り上がったかどうかって、その祭りにどれだけ人が集まったかどうかだと思うんです。
ファンという形ではなくても、応援者がいるかどうかが重要で、結局はこれまで関わってきた人との関係性が重要だと思っています。
小田桐さん:私もファンがいない状態での達成は難しいと思います。ただ、私自身ももちろん最初はファンなんて1人もいなかった状態で個人ブログからのスタートでした。
ファンがいる方、コミュニティを持っている方も全員ゼロの状態からはじめてるので、そういった環境を作るために何ができるかが重要だと思います。
ファンって「人」につくのではなく「人が掲げる夢」につくものだと思うんです。なのでまずは夢を宣言してみること。
それが大それた夢じゃなくてもいいと思うんです。でも少なくとも口に出さない限り応援者がつくことはないと思うので、その宣言をクラウドファンディングから始めるというのも一つの形としてはいいのではないかと思います。
ベッティさん:人って関係性によって「物を買う」「お金を出す」という気持ちって必ずあると思うんです。あさぎさんが仰ったように夢に人がついていくという前提で、その夢を誰が言っているのかという部分で関係性はやっぱり重要です。
「ファンづくり」なんて大きな言葉ではなくて良くて、目の前の1人との関係性によって支援者は生まれていくんじゃないかなと思います。
Q:成功の要因として高額リターンと高額を支援してくださる方は必ず必要でしょうか?
原田さん:僕自身のプロジェクトと、これまでサポートさせていただいたプロジェクトは確かに高額支援に支えられていたので、結果論としては大事だと思います。
ただ、成功した皆さんの周りにパトロンがいたという訳ではなく、動いてもがいて走り抜ける姿に感銘してくれた方が高額の支援をしてくださっているパターンが多いんです。
高額支援をしてくださる方の心理って、物が欲しくて高額を入れてくれる訳じゃないと思います。
実際に自分で高額リターンを用意するのは躊躇してしまうと思うのですが、今は「推し文化圏・推し経済圏」みたいなものもあって、推したい人はどれだけでも推してくれるというのもまた事実です。
なので、自分のプロジェクトに自信を持って挑戦できるのであれば、大口リターンは用意しておくのはおすすめします。
小田桐さん:私も原田さんのプロジェクトに大口支援をしたのですが、原田さんのがむしゃらさを見て心を動かされて支援する気になりました。
他の方のプロジェクトに対しても高額の支援を出してるときは近い友人で、これまでの関係性があったからだと思います。
原田さん:ぼくもあさぎもそうですが、いわゆるフォロワーが何十万人もいるインフルエンサーだから支援が集まった訳ではなく、少数有限の範囲で大口の方から支援が集まったから支援金額が大きくなったんじゃないかと思います。
マス化すればするほど、少額なものは売りやすくなるのですが、それはプロジェクトが広がるだけで支援金額の最大化とは比例しません。
小田桐さん:1回支援してくださった方が、プロジェクト最終日にもう1回支援してくださるみたいなこともあったので、何回も支援したくなるようなリターン設計も重要なんじゃないかなと思います。
ベッティさん:高額リターンを支援してくださる方って高級なものが欲しい訳ではないです。ひとりでリターンを受け取るのではなく、自分の応援したい気持ちを他の誰かにお裾分けできるようなものもいいと思います。
例えば、あさぎさんが原田さんのプロジェクトに大口支援でライブを100席買ってアサギストのみんなを招待したようなリターンだと、あさぎさんの原田さんに対する応援の気持ちをメンバーにお裾分けできるものになりました。
結果的にあさぎさんに感謝の気持ちと原田さんへの応援の気持ちが生まれたと思います。
原田さん:クラウドファンディング経済って優しさが根底にあって回る「フォーリンラブ」のような気持ちってあると思うので、支援をする側って応援でお金を払うことでその人のことがもっと好きになってエネルギーが循環する側面もあると思います。
愛の経済感を根底として受容するのも大切なポイントなのではないでしょうか。