2020/09/12 18:04
 女芸人とは不思議だ。
「女」である理由や意味を必要以上に求められる。

私は19歳、20歳の頃にテレビに出始めた。日本テレビのお笑いの大会で優勝し、これからバラエティ番組にどう出て行くか勝負の時期だった。「お嬢様」というキャラクターと共に、私が求められたキャラは「処女」だった。「恋愛経験なし」「処女」というのを面白がられた。あまりにも未経験なのが、トークではねた。

初めての異性とのデートは、行列のできる法律相談所のロケだった。デートということで、恋愛心理学の本を大量に読み込み、そこで学んだ知識を早口で淡々と話す様子は、絵に描いたような学級委員長キャラだと重宝がられた。ゴールデン番組で全国のお茶の間で8分ぐらい私のデートシーンがながれた。

売れたら社会問題のことを伝えられる。そう信じ、恋愛したことがないぐらいでテレビに出られるならラッキーだと思い私は受け入れた。同じ理由で、先輩芸人からのブスいじりも受け入れた。「笑いをとる」ことが正義だと思い続けてきた。笑いとは、何か価値観を決めると生まれやすい。そこからのズレで笑いが生まれる。「お金もち」「顔」「学歴」「恋愛経験」笑いがとれるものを気安く受け入れた。あの時の選択がどうだったかは今はまだ分からない。だから今発信できている気がするし、あの時の自分を否定はしたくないし、したら自尊心みたいなのが決壊する気もする。

だから、恋愛は、面白い恋愛以外はしないでおこうと決めた。結婚や出産をすると、仕事が減ったり、路線を変更する女芸人の先輩が多かった。だから、「結婚してもテレビで家庭の話はしない」と決める女芸人の先輩もいた。売れるまでは、結婚せず、独身でいいかなと思っていた。

そんな覚悟でいたからこそ、炎上してしまったが、岡村隆史さんのラジオは聞いていられなかった。キャラを忠実に守ろうと、モテなくて風俗に通うキャラを通そうとする岡村さん、それが古いと相方に怒られるのが、少し自分に言われているようで辛かった。あの岡村さんの発言は時代錯誤だと批判をあびて仕方ないと思う。でも、なぜそうなったのかも分かるので、なんか苦しかった。

他人から求められる役割に生きる。その役割も時代とともに凄まじいスピードで変わる。なんか、テレビにでる立ち位置が難しいと感じていた。笑いはとれても、誰かを傷つける。そういう笑いにどう向き合うか、正解も分からなかった。

その上、過去の発言に矛盾が生じるとすぐにネットであげあしをとられる。だから、自分をすごくもっている人なのに、テレビでは失言がないようにし、台本の役割になりきることで、自己がどんどんかき消されていった。それが今までの私とテレビの関係性だ。

27歳になって、このままだと幸せになれない。NHKを辞めるときに、本当に嫌なことがたくさんあって、こういう時に隣でささえてくれる男性がいたら、いいなと思うようになり、最近「婚活」を始めた。

そんな中、自分に正直に生きている女芸人の先輩、青木さやかさんと対談した。青木さんは、自分より幸せを手にいれている女にキレるキャラでやってきた。ところが、子どももでき、お金もある中で、キレる理由がなくなり戸惑ったという。孤独を男の人で埋めようとしたけど、埋まらず、離婚。自己肯定感が低いから、子どもの褒め方がわからず、生き直すことを決意した。

今まで他人軸で生きてきたが、これからは自分軸で生きようと。他人から求められることではなく、自分がどうしたいか。今私が突きつけられていることと同じだ。 

青木さんは不器用だけど、真っ直ぐな人で、大先輩に失礼ですが、自分にとても似ていると思った。私は自分に驚くほど自信がなく、毎日3時、4時まで仕事をしているのは、劣等感に近いものがある。才能がない自分があの才能のある先輩芸人やNHKの先輩ジャーナリストに追いつくにはどうすればいいか。皆が寝ている時に努力しなければならないみたいな強迫観念みたいなもので動いている。昔より体力もなくなり、いつまで貧乏して、人から助けてもらって、こんな生活を続けるんだと、自分の人生をすごく考えていた時だから、尚更びびっときた。

自分と向き合う。自分を好きになってあげる。自分を褒める。子育てで自分も子どもと一緒に成長する。初めて、なんとなく子どもがかわいいから欲しいじゃなく、子育ての醍醐味みたいなのが分かった気がする。

そして、テレビで植え付けられた私の恋愛の価値観を古いと一蹴してくださり、清々しかった。
真面目な話をしているんだけど、青木さんが間で笑わせてくださったり、芸人の先輩としてもやっぱりすごいなと感動。

女芸人の先輩を見ると、変化に驚くほど対応している。女芸人が、芸人ではなく「女」であることが必要以上に求められるからであろう。今の時代、昔のマッチョな男社会が求めていた女を求められても、ウケないことを一番分かっている。

「女のくせに」という価値観には、私の世代でも散々嫌な目にあってきた。女芸人の先輩は女芸人の後輩にすごく優しいことが多い。特に久本雅美さんはご一緒になると、すごく優しくしてくださった。それだけ苦労が多いのだろう。

こんな時代に柔軟に対応しないといけない女芸人だからこそ、できることがある。

女芸人でカルチャーを変えて行く。なんかできる気がする。

●青木さやかが離婚を経て“生き直し”を決意した理由「娘を褒めることが難しかったの」
●YouTube前編 <仕事>
●YouTube後編 <家族>
●対談記事
 “キレキャラ”も、依存症も、母との確執からはじまった。青木さやかを変えた出来事とは

Yahooニュースのコメント欄がまたも共感の嵐。
離婚や子育ての苦悩と本音。

青木さんはとことん突き止めているから言語化されている。
「生き直す」という言葉からたくさん考えさせられた。 

私も今から、自分とちゃんと向き合って生き直そう。

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