2020/10/03 09:30

本日、スタート開始より3週間が経過しました。現在¥2,985,377、128名の方からの御支援を頂いております。スタッフ一同、心から感謝を申し上げます。


本当にたくさんの温かい応援メッセージ、シェア、御支援を頂き、誠にありがとうございます。

スパクメール 上原弥生です。私がカンボジアに来たきっかけは、このスパクメール の立ち上げです。東南アジアに一流スパを作りたい。そんな夢を掲げて、やって来ました。


街の中心部オールドマーケットより1kmほど離れた住宅街の静かなエリアに位置しています。私が来た頃ここは、クルクメール製品の製造と、クルクメール製品を販売するスペースを併設した小さな工房でした。2014年にリノベーションが始まり、カンボジアの村を彷彿させる緑豊かなハーブガーデンの中に、5棟の独立型のプライベートヴィラが建設されました。母屋の伝統的な家屋はスタイリッシュでモダンなレセプションへと変身しました。

(写真:スパがオープンする前の建設中)

(写真:スパのレセプションエリア)





まずは働くスタッフのことからお話します。

(写真:オープン当初の5人のセラピスト)

5人のセラピストは最貧困の村からやって来た、一度も学校に行ったことがない2名を含む全員が小学校を卒業していない20代前半の女の子でした。私のメインの仕事は、スパのメニュー開発と彼らの教育指導でした。学校教育はもちろんのこと、社会経験もほとんどない彼らとの生活は波乱万丈でした。今までの人生でこれほど濃い半年はないと言ってもいいくらい、毎日がハプニングの連続でした。母国語の読み書き、時計を読む、ルールを守ること、集団行動をすること、日本人なら義務教育や社会の中で、当たり前に身につけて当然のようにできることが、どれ一つとしてできない彼らを目の当たりにし、大きなショックを受けたと同時にこの短期間で何からやれば良いのかすらわからずただ懸命に必死に毎日彼らに密着して過ごしていたことを思い出します。また、カンボジア人の気質である、おおらかで優しく、困った人がいると助け、どんなときも笑顔を絶やさない彼らをみていると、人間としての在り方を考えさせられることも多々あり、私もたくさんこの国の人たちから学びを得てたくさんの刺激をもらっていました。目指した一流スパまでの階段は険しく長いことを実感しつつも、様々な困難を乗り越えて、無事になんとかオープンをした2015年4月21日。初めの一年は知名度もなく、お客様も少なく、そして技術レベル、ホスピタリティもどれもまだまだ階段を上り始めたばかり、日々人材育成、技術やホスピタリティのトレーニングに1日のほとんどを費やし励みました。

(写真:お客様がいない時間は、ひたすらトレーニングをするセラピストたち)

ゲストリレーションの子は、大学もしくは専門学校を卒業した母国語含む3言語(日本語・英語・カンボジア語)が話せます。お客様をアテンドする大切な役割です。流暢な日本語を話すことよりも、笑顔いっぱいの心を込めた思い出に残る接客を目指しました。

(写真:ゲストリレーションのユイ)

私が彼らへの教育で一番大切にしたことは、スタッフがお客様目線を理解できるようになることです。常にお客様の満足を主語に話をし、徹底していきました。学校に一度も行った事がない子も教育を受けた子も同じように”お金を払うお客さんが絶対に満足して帰る”事を理解する。 このお客さんとは、日本人が日本で普通に受けている施術とホスピタリティのことです。そのレベルを絶対に落とさず、彼らが目標に到達するまで、徹底的に指導を繰り返しました。

スパクメール では、ゲストリレーションもセラピストも全ての1つ1つのメニューにテストがあります。合格基準に達しないスタッフは入客できない徹底した仕組みを作りました。

スパクメール で一番キャリアが長いセラピストのヨンです。彼女の1年目は、テストに何度も何度も落ちて、入客することが叶いません。1年目のハイシーズンは、セラピストとして活躍できず裏方の準備や洗濯などをメインに行なっていました。しかし裏方の仕事を熟知したことで、全体の準備から片付けのオペレーションのコツを掴み、その後誰よりもスピーディーな準備と技術力で成長し、一定のお客様から気に入られ滞在中に彼女を指名して通うお客様がいたり、またスタッフ間でも皆から信頼されるようになりました。諦めずに挑戦し続けて結果を出した彼女、実は一度も学校に行ったことがありません。家は貧しく、幼い頃から家業の農業を手伝い、時には日雇いの工事現場などで働きながら家族を支えてきました。そんな彼女はスパクメール で6年。大きな成長を見せてくれました。どんなバックグラウンドの子でも環境と仕組みを用意することで、彼らが自らゴールを目指すようになる。一つ一つの階段を登りながら、成長していく彼らの姿を見て、私自身も大きな自信へと繋がりました。

(写真:右から2番目セラピストのヨン)


お客様のこと

スパクメール は年間約2000人のお客さんが訪れます。その90%は日本人です。観光地なので、一見さんが9割ですが、1割はリピーターです。ありがたいことにスパクメール オープン当初より毎年わざわざ遠い日本から足を運んでくださる方もいます。気に入ったセラピストをいつも指名してくださる方もいます。

今回のクラウドファンディングで、過去にスパにいらしたお客様から思いもよらぬ沢山の支援と応援メッセージを頂き、嬉しくて嬉しくて涙しました。心から感謝申し上げます。


スパクメール のトリートメントの最後には、お客様フィードバックというものがあります。お客様は、項目別に4段階の評価を行い、コメントを記載することができます。3月に休業が決まった時に、これまでの5年間のお客様フィードバックを見返す機会がありました。数多くの温かいコメントに触れ、涙すると共に、また来店を楽しみにしてくださっている多くのお客様のためにも、この危機を乗り越えて、生き残りたいと心から思いました。

(写真:お客様からの高評価のフィードバック)


全てのお客様フィードバックは私たちの財産として、教育指導に役立ち、毎日たくさんのお客様が来てくださったからこそ、私たちのスパは、そこから成長させていただいたと言っても過言ではありません。そのおかげで、オープンからわずか3年の2018年海外(UK)よりカンボジアで初の表彰を受けました。その翌年も同じく2年連続です。

(写真:Luxury Travel Guide / Spa & Wellness Award 2018 & 2019)



3月より休業中の現在スパクメール は、スタッフの一人がセキュリティ兼、庭師として毎日掃除とお庭の手入れを行なっています。いつの日か再開の日を楽しみにスパクメール 自慢のハーブいっぱいのお庭をいつでもお客様に見て喜んでいただけるよう、日々手入れに勤しんでいます。


(写真:現在のスパクメール の庭。)

2020年4月21日に5周年を迎えました。あいにく休業中でお客様はいませんが、集まれるスタッフだけで急遽集まって、ささやかにお祝いをしました。


長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

残り9日となりましたが、引き続き皆様の温かい応援をどうぞよろしくお願い致します。