福島にフォーラムあり。
福島市の映画文化を支えてきたフォーラム福島。大手シネコンが進出する中、独自のセレクトでロードショーものからミニシアター系のマニアックな作品まで、エンターテイメントから硬派なドキュメンタリーまで、多種多様の映画を公開することでその独自性を保ち続けている。
フォーラム福島の支配人が阿部泰宏さん。
「阿部さんがいなかったら、原発事故を扱った映画は福島で上映できなかったかもしれない、、」
そんな声が各所で聞こえる。
原発事故関連のドキュメンタリーが発表されると、内容を吟味した上で上映。そして上映すだけでなく作品に関する付帯イベントを開催して意見交換の場を作り続けてきた。
もはや復興一色で染まった福島市が位置する福島県中通りで、原発事故を想起させる表現が非常にタブー視されることは、2018年夏に設置された彫刻家ヤノベケンジ作品「サンチャイルド」が大炎上して秋には姿を消したことが記憶に新しい。かくゆう筆者も2017年3月に郡山市、福島市で巡回写真展を開催した時に芳名記帳を断られることが非常に多かったことを記憶している。
でも阿部さんは言う
「肩肘はらず自然体で飄々とした立ち位置で、作り手にプレゼンさせるような感じで見せていけばいいのです」
原発事故についてもの言いにくい空気の中、あえて事故関連の映画を公開し続ける理由は
「10年も経てばあの時のこともほとんど忘れ去られてしまう。そしてその時の記憶すらない世代がどんどん大きくなってくるわけです。あの時に何が起こったのかきっちりと見せていく場がどうしても必要だと思っています」
だとおっしゃった。
筆者が阿部氏と出会ったのは筆者の京都での写真展のこと。母子避難した妻子に会いに来た貴重な時間で展示を見に来てくださった。娘さんが展示アイコンのボードに寄せ書きする姿を今でも鮮明に記憶している。その時中学生だった娘さんは昨年上京して大学生になり、自らの避難経験をもとに社会に発信する活動を始めている。
間違いなく父の背中を見つめていたようだ。
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原発事故10年に思うこと
昨年秋、福島県双葉町にオープンした原子力災害伝承館。展示を見進めるうち、どんどん募っていったのは退屈さと凡庸さへのいらだちです。50億円もの巨費を投じながらこの失望感はどうしたことかと思ったとき、激しく心性を揺さぶられた二年前の金沢21世紀美術館での<もやい展>が脳裏によみがえり、伝承館にはアーティストによるクリティカルな視座が決定的に欠けおちていることに気づきました。
<もやい展>は現状を凝視しつつ、つねに過去から現在、そして未来という時間軸で福島原発事故を捉えようとする、さまざまなアーティストたちのしなやかな表現力によって、痛烈に福島原発事故の教訓と問題の根の深さを知らしめてくれます。
再び、開催される<もやい展>。
福島原発事故からちょうど10年の節目の年。もう一度、自らの問いを立て直す意味でも何が何でも駆けつけようと思います!
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阿部さん、応援メッセージありがとうございました。
「もやい」それは、荒縄の強固な結び。3.11から10年、福島原発事故と向き合ってきたアーチスト達の個々の表現が東京都江戸川区タワーホール船堀で結ばれます。絵画、彫刻、写真、造形、詩、歌、舞……福島の現実と命の輝きがあなたを包みます。未来へ語り紡ぐメッセージ発信の場を、皆さんと創造したいと願っています。
一人でも多くの方にこのプロジェクトを知っていただくために、引き続きのご支援・そして周りの方への拡散を、何卒よろしくお願いいたします。
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★もやい展2021東京スケジュール★
場所:江戸川区 タワーホール船堀 1F展示ホール・5F大ホール (東京都江戸川区船堀4-1-1)
日時:2021年4月1日(木)〜8日(木)
1-6日/10時~20時 7日/10時〜21時 8日/10時〜17時
入場料:展示ホール入場無料!!