2023/02/10 21:00

子どもと犯罪キベラA-GOALリーグの舞台であるキベラについてシリーズでお伝えする「キベラスラムってどんなとこ?」。第2弾はスラムでの子どもたちの状況と犯罪についてです。

スラムでの一番の問題は絶対的貧困です。
絶対的貧困とは生きるうえで必要最低限の生活水準が満たされていない状態のこと。仕事がない、1日2食も食べれない、一間の家に10人以上が住んでいるなど。


この中で最も苦しむのは、弱い立場である子どもです。食事も十分にとることができず常にお腹がすいた状態。家も狭いため、外に追い出されてしまいます。外に行っても公園も図書館もなく、楽しみもありません。

このような状況では子どもたちはギャングを作って、盗みなどをするようになります。これがお金と食べ物を手に入る手っ取り早い方法だからです。またつらい現実を忘れるために、お酒やドラッグに手を出します。


結果、不登校になったり、警察に捕まったりして、勉強を続けることができなくなります。教育だけがスラムから脱出するすべなのですが、それを奪われてしまうのです。


ですが、子どもたちが奪われるのは教育の機会だけではありません。命までも奪われます。ケニアで問題となっているのが、警察官の超法規的殺害です。警察は盗人だっと判断すると、容赦なく引き金を引きます。犯人が死んでしまっても、警察が罪を問われることはありません。そしてその銃口はスラムの子どもたちにも向けられます。


現地でのコーディネーター、コリンズも子どものころ、貧しさからギャングに入っていた時期があります。何人もの友人が逮捕され、殺されました。コリンズ自身も昔、警察に撃たれ、ふくらはぎには今も銃痕が残ります。

コリンズは言います。

「確かに盗みをするのはよくない。でもそれは何も食べるものがなく、腹を空かせていたから。なのになぜ、殺されなければならないのか!こんな悲劇を繰り返してはいけない」


そんなコリンズは2013年、誰もが無料で通えるコミュニティスクール「アガペ・ホープ・フォー・キベラ」をはじめました。アガペでは授業以外に朝食と昼食も出します。これは子どもたちがお腹を空かせないように、そして犯罪に手を出して殺されないようにというコリンズの願いからです。