たくさんのページから見つけていただきありがとうございます。
千葉県八千代市のNPO法人「わっか」ライターの鈴木と申します。


地域にはいろんな人がいて、違いがあることがあたりまえ。「わっか」は、そんな考えを自然に持っていけるような活動をしています。

今回はその中の1つ、地域で誰もが時間を過ごせる拠り所、ケア拠点の「52間の縁側(ごじゅうにけんのえんがわ)」の話をさせてください。

建物模型。長い縁側が中と外の空間を緩やかに繋ぐ

まずはわっかのことをお話しますね。
わっかは、地元八千代市の困りごとに対して一歩一歩取り組んでいます。地域内での有償ボランティアのしくみ作り、小学校での朝食支援。必要な家庭に無償で物資提供する「つなぐわおとどけ便」も始まりました。現在、地域の約30世帯の方に食料品や子育て用品をお届けしています。

買い物が困難な地域で地元野菜を販売する「ヤオマル」

9年続く「キャンドルナイト」地域の子供たちやお年寄りの書いた絵をライトアップします
2011年に設立したきっかけは、理事長の宮本が出産したとき、生まれつき赤ちゃんの髪の毛の色が明るかったこと。暖かい触れ合いの中にもみんなと違うことへの疑問の目が突きつけられました。

特殊な体質。車いす。身体、精神障がい。他にもいろんな"それぞれ"がありますよね。たとえ外から見えなくても、他の人と違うことで嫌な思いをすることは少なくありません。

もし子供のころから、少しでもそういう「多様性」があたりまえの場所で育ったなら。"それぞれ"を当たり前に思えたら、生きづらさや摩擦が少し減らせるかもしれない。

そうして街を知るフリーペーパーから始まったわっかは、徐々に活動の幅を広げてきました。いずれも地域の方の思いがつながって実現しているもの。本当にありがたいことです。
福祉施設で地域発の商品を作るプロジェクトです。一番左が宮本


そして今回のプロジェクトで一緒に歩んできたのが宅老所いしいさん家(運営:有限会社オールフォアワン)」です。
「宅老所(たくろうしょ)」は、小規模の福祉施設のこと。お家のような雰囲気で運営されることが多く、大規模施設に比べるとより1人ひとりのリズムに合わせてケアしていきやすい場所です。

いしいさん家の日常。介護施設というよりまさに「家」です。

千葉県習志野市と千葉市にある2つの「いしいさん家」もまさにみんなのおうち。おじいちゃん、おばあちゃんはもちろん、スタッフの子供たちや障がいのある人、長い間引きこもっていた人などもいしいさん家で過ごします。みんなで泣いて怒って笑って。そんな日常を大切にする場所です。

左側が代表 石井さん。


代表の石井さんは大規模介護施設での勤務時、利用者を「スケジュール」「制度」に当てはめるあり方に疑問を抱いてきました。

みんなこれまでの人生があり、こちらで線引きできるものじゃない。その人らしく最期まで生きて、安心して看取る。そういう日常を命の授業として、子供たちも経験していく。

「いしいさん家」では、介護に加え小規模保育、駄菓子屋、脳機能障害などをもつ人の就労支援として「いしい工務店」など支援の幅を広げてきました。長屋のような共生スタイルから生まれる変化は講演会やSNSでも共感を得ています。


「第3のいしいさん家」を八千代市に作ることになったご縁で、わっかもその思いに共感し「52間の縁側」プロジェクトが始まりました。



建設中の52間の縁側は、約95mと長い長い縁側が特徴の建物です。

「いしいさん家」のデイサービスなどの介護施設。「わっか」のワークショップに学びに来る、普段は介護や支援などに接点のない人。子供たちの遊び場・学び舎共生カフェ大浴場就労支援作業スペースなど、みんなの訪れる用途はさまざまです。

それぞれ目的があったりなかったり、なんだか一緒の場所にいるうちにそれが日常になっていく、そんな一言では言い表せない場所になっていくのだと思います。


本施設は2020年に着工してすぐにコロナ禍となり、さらに"ウッドショック"と呼ばれる世界的な木材の価格高騰が起こってしまいました。

たくさんの木材を使用する52間の縁側の工事もその影響で止まってしまい、このまま待つのか、それとも木材の高騰に合わせ工事費を増額して継続するのか決断を迫られました。

どうするか。
見通しの立たない中、いつになるかわからない再開を待つより、わたしたちは前に進む方を選びました
この場所をずっと楽しみに待ってくれている人たちがいる。
そうして家具の予算を工事費に充てることで再スタートを切りました。1月現在はやっと、建物の骨組みが現れてきたところです。


目的を固定せず、思い思いに過ごせる場所」。さらに、人の手でメンテナンスが必要な竹垣など「助け合ったり関わり合う仕掛けがちりばめられた場所」でもあります。

設計した建築家 山﨑健太郎さんによると「わいわい集う場所というよりは、それぞれが自分のペースで関われるように。1人でいるようで、縁側から外を眺めれば畑に人がいたり、縁側の奥で寝ている人がいたり人の気配を感じられる場所」です。
中央が山﨑さん。メンバーとたくさんの打ち合わせを重ねてきました

今回支援をお願いさせていただく「家具」についても同じ思いに基づいています。

介護施設の家具というとビニール製であったり、機能的であったりで、介護者の負担を少しでも軽くするものが候補に挙がります。たくさんの利用者をケアするには、必要不可欠なことです。

ただ「52間の縁側」では「その人らしく過ごす」という思いの元、"目的を限定せず、居心地の良さを後押しする"家具を迎え入れたいと考えています。

椅子があるから座ってみる。座布団、持ってこようかと声を掛ける。ただの道具ではなくひとつひとつ個性のある家具で、ここに関わる人たちにとって自分の場所を見つけ、愛着が生まれるきっかけを作りたいと思っています。

事業所として日々の使用・安全性に応え、かつ、それぞれストーリーを生むような家具をどうやって調達するか。わたしたちは以下、3種類の方法で集めたいと思っています。

支援施設「空と海」制作品
空と海」は千葉県船橋市の障がい者福祉サービス事業所です。自然との関わりを深く持ち、焼き物や木工などの作品は大変人気があります。プロジェクトメンバーで伺ったことをきっかけに、今回52間の縁側の思いを反映したテーブルなど数点の家具の製作をオーダーさせていただけることになりました。

「空と海」で製作工程を熱心に見学する石井さん。左の繊維は座布団の材料になるそう

運営する「地蔵会」理事の奥野さんは、雑誌の連載でいしいさん家をご存知だったそう。「52間の縁側」のために作っていただけるということで、どんな個性のある家具になるのかワクワクします。


家具職人による古家具のリペア
家具職人が、古いけれどまだまだ使える「古家具」を探し出して集めてきます。そして、工房でやすりがけやオイル塗り、バランスの調整など必要な手入れを施して使用します。

古家具のイメージ。統一された量産品で雰囲気を固定するよりも、人の振る舞いを自由にする空間を作りたい

どんな家具を探せるか、その時の出会いによるので「こういう家具を買います」とは確定することができません。その分個性ある古家具を集めることで、訪れる人がその人に合ったお気に入りを探せるようになればという思いを込めています。

購入
①、②で手配できる分以外を新たに購入する予定です。※達成額や流通状況によって②、③の割合が変動します。

写真はイメージです

リターンの中には、ご支援者の方のお名前を家具に取り付けるものもあります。それ以外のリターンの方ももちろん、ご支援された家具を見に、椅子に座りにいらしてください。みんなの過ごせる居場所として、「ここは私の支援した家具が置いてある!」そうして様々な方に関わっていただき愛着を持っていただければ、とてもとても嬉しいです。※スマホ画面の場合、一番最後にリターンメニューがあります


①家具購入費用(補修・運搬費含む)
 屋外/半屋外家具(ベンチ、靴箱、ロッキングチェア、テーブル、スツール等): 約150万円
 屋内家具(サイドテーブル、座布団、ちゃぶ台、椅子等): 約150万円
 手数料/リターン費用: 約50万円

②スケジュール
 2022年2月 クラウドファンディングスタート
 4月 達成額決定/家具手配開始
 5月 一部リターン発送
 7月 一部リターン発送
 7月末 家具納品
 2022年夏頃  施設運用開始予定


三好春樹 氏 (生活とリハビリ研究所代表)
なぜ介護という仕事をしているのか。介護保険の契約に基づいてサービスを提供して、生活のための賃金を得るためである。そう。私も最初はそうだった。介護保険はなかったが。
しかし介護は、契約には入り切らない。目の前に困っている人がいると放っておけないからと手と体が思わず動く。それが根拠だ。
介護職は単なる労働力ではない。何しろ時には芸術家にさえなる。アーティストは金は二の次だ。資本主義には入りきらない。そんな介護の本質を追究し続けてきて、さらに何億円もの借金と共に前進しようとする「いしいさん家」のクラファンへの参加を呼びかけます。


森田洋之 氏 (医師・医療経済ジャーナリスト/南日本ヘルスリサーチラボ代表)
いしいさんちは、日本を代表する介護施設です。僕は日本中の介護施設を見て回っていますが、その僕が間違いなくそう断言します
もう、福祉とか介護とかそういうことではなく、人間愛とか信頼関係とかで地域全体を巻き込んでいく感じ。(体験されてない方はぜひ一度見に行ってみてください)
そのいしいさんちが52間の縁側として新しく生まれ変わると!僕も建築中に一度お邪魔しましたが、すごく素敵な建物になりそうでワクワクしました。さらに地域の核になるでしょうね。ですので僕もぜひ応援したいと思っています!頑張って下さい!みんなで応援しましょう!


奥野満 氏 (社会福祉法人地蔵会業務執行理事/紙好き工房空と海 統括施設長)
ある雑誌の連載記事「宅幼老所いしいさん家」を、毎号その写真とともに楽しく拝見していた。
赤ん坊がいて、子供がワイワイ食事をしていて、障がいのある人がいて、爺さん婆さんが笑ったりしている。日々楽しそう。こんな施設をつくりたいなぁと思っていた。
そこへ、新築で木組みの構造が52間ずらっと並ぶ介護施設の写真と図面が届いた。敷地には川も池も畑もある。いったい誰がこんな建物をとおもい名前を見てびっくりした。「いしいさん家」の代表、石井英寿さんだったからだ。新しい建物で使うテーブルや椅子やクッションを空と海に発注したいという。喜んで作らせていただきます。


高瀬 比左子 氏 (未来をつくるkaigoカフェ主催)
石井さんから「52間の縁側」の構想をお聞きした時、とてもわくわくしました。
今、介護現場には「わくわく」が圧倒的に足りません
地域にもっとわくわくさせてくれる事業所が増えたらきっと、もっと楽しい未来がつくれると思います。
私の地元にあれば通いつめてしまうかも?!
石井さんの思い、信念が詰まった「52間の縁側」を全力応援します!


山﨑健太郎 氏 (建築家/山﨑健太郎デザインワークショップ代表取締役)
今、石井さんが取り組んでいる介護は、これからの地域社会を支える実験みたいなもので、福祉を地域に「ひらく」とは、並大抵なことではない。まして事業を持続させるためには、福祉の分野がチャレンジしてこなかったいろんなことにチャレンジしなくてはならない。
僕はこのプロジェクトに建築の設計で5年以上関わっていて、石井さんのたくさんの悩みを感じてきたからこそ、これは石井さんだけでなく、これから関わるいろんな人たちのチャレンジでなくてはいけないと思うようになりました。
これから集められる家具は、ここを訪れる人たちが居るための場所をつくってくれるはずです。みんながこの場所に関わっていることが見えることになります。ここを応援してくれる人が、人の「居るための場所」をつくってくれたら、それは素晴らしいことだと思っています。


石井英寿(有限会社オールフォアワン代表)
「自分がされて嫌なことはしない」
それが原点にあります。
「老化に伴う人間的変化」がみられるお年寄りさんたち。
薬や抑制帯で縛られたり、残り少ない人生の時間をなぜ自由に過ごせない?
そもそも「自分の人生」なのに。

そんな人をいっぱいいっぱい見てきた。
予防するより、そして制度に文句言うより
「認知症になっても住みやすい社会」を
自分たちで作った方が、早い。

自分が将来、介護される側になったときに、今の社会やこの制度でいいのか?
という問いを投げかけたい。
いや、認知症状の深い人は自身の体でもうすでに社会に問うています。

世知辛い世の中に、さらにコロナ禍。
昔は普通に生活の中にあった、お年寄りの最後の役割の「看取りを通して自然な形の命の授業」を
子どもたちに伝えていく。それを実践、発信していくことも僕らの役割なのだから。

これは、皆さんと作り上げていくものです。
一人でできることじゃないことは十分理解しています。
共感できるみんなと一緒にウエーブを起こしたい。
みんなとどんな形でもいいので一緒に作り上げていきたい。

僕らのチャレンジに、応援してくれたら嬉しいです!!!


宮本亜佳音 (NPO法人わっか理事長)
福祉というと、自分には関係ない気がする人が多いと感じてきました。福祉とは、「しあわせ」や「ゆたかさ」を意味する言葉。ひとりひとり、それぞれに「しあわせ」と感じることを認め合い、支え、支えてもらいながらお互いを大切にして生きること。
介護というとさらに関係ないと感じる人もいるかもしれない。人は、みんな子どもだったし、必ず年は重ねていくものですよね。さまざまな人と触れ合う事ができる環境にいる子どもたちは、人間の多様性を受け入れる素地が育つのだろうと思います
この52間の縁側は、施設の中に小さな共生社会をつくる試み。石井さんは、このプロジェクトが立ち上がってから何度も大きな壁にぶつかりながらも強い信念で乗り越え、進んできました。みなさんぜひ、このプロジェクトの一員となって、長い縁側から空と海さんの制作した椅子に座って庭を眺めたり、子どもたちとじゃぶじゃぶ池で遊んだり、野菜を育てたりしませんか。



【52間の縁側 コンセプト動画】 制作: 株式会社山﨑健太郎デザインワークショップ/協力: 森美術館
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施設所在地:千葉県八千代市米本: 米本団地付近(建設工事中のため、現在まだ立ち入りできる部分はありません)建物完成後、広域型通所サービス/菓子製造業を取得予定


感染症対策:定期的な消毒、密の回避、換気などの感染対策を基本に、施設運用開始時の情勢や行政の指針を鑑みて対策していきます。
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リターン: バナーコースで備考欄が必須となってしまっております。なにか一文字打っていただくと進めます。申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

  • 2023/01/16 12:11

    こちらの活動報告は支援者限定の公開です。

  • 2022/08/01 15:11

    52間の縁側クラウドファンディング ご支援者の皆様この度はご支援いただき、本当にありがとうございました。本施設は夏頃オープン予定としておりましたが、工事進捗 及び昨今の世相を鑑み、オープンが秋頃にずれ込んでおります。早くご案内したい気持ちでいっぱいですが、大変申し訳ありませんが、ワークショップ...

  • 2022/04/11 12:25

    本プロジェクトは2,209,500円を集めることができました。ご支援ご協力いただきました皆様、本当にありがとうございます!これから、リターンのご連絡などを順次、させていただきます。まずはプロジェクト終了のご報告とお礼を申し上げます。本当にありがとうございました!

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