ケニアの妊産婦死亡率を下げて、ケニアを安心して妊娠・出産できる国に

ケニアの医療従事者にトレーニングを実施するAA Health Dynamics株式会社の代表を務める原健太(はら・けんた)が、ケニアにおける「妊産婦死亡率」・342(10万人中)の高止まり(1920年代の日本と同水準)に示される「母子の健康状態の危機」を解決するために、「超音波診断機」を購入して現地の医師・約360人(年間)に対して、ケニア産婦人科の権威の医師と共にPOCUS(Point of Care Ultrasound)トレーニングを開発・実施することで、ケニア人が安心して妊娠・出産に臨める社会を目指す。


このサイトを見ていただいた皆様へ 「ケニアの医療課題の解決にむけてこのプロジェクトを実施する目的」

今回、私たちが挑戦するクラウドファンディングは、日本の1920年代水準の妊産婦死亡率を低下させるために、妊産婦に対する超音波診断技術のトレーニングを行うことです。私たちは、これまで超音波診断の技術トレーニングを現地で行なってきましたが、そのサービスをさらに飛躍させ持続可能な形にするために、今回クラウドファンディングにチャレンジするということになりました。私たちの社員も最近出産を経験しましたが、超音波検査を受けない/受けていないケースがあり、とてもリスクの高い出産になってしまう場合が多く、そのためか最終的には帝王切開で出産するケースも少なくありません。私たちは、これまで行なってきた超音波診断トレーニングを通じて医師たちと対話し、今ケニアに何が必要かディスカッションを重ねました。その結果、「私たちのできること」「医師が求めていること」だったのが、妊産婦に対する超音波診断のトレーニングです。
私たちは2020年からこれまで、医療従事者ご自身の力を最大限に発揮できる環境を作るという考えでここまできました。その間、持続可能性の課題に何度も直面しました。しかし、現在では私たちが提供する医療トレーニングに対して対価を払ってくれるようになりました。私たちはこの流れを絶やさず、さらに大きくしていきたいと考えこの日を迎えています。

皆さんに色々と知ってもらいたいと思い、長い文章になってしまいましたが現地の医師の声や私がどのようにしてここまできたかも記載しております。ぜひ、行きの電車、帰りの電車、出張、休日の暇な時間に見ていただけると大変嬉しいです。

挑戦者 原健太

ケニアにおける医療課題(医療提供側)は何なのか?

ケニアは、人口1,000人あたりの医師数は「0.2人」です。世界平均の人口1,000人あたり1.5人(日本は2.4人)と比較しても圧倒的に少なく、医師が慢性的に不足しています。実際、首都ナイロビの救急外来では3〜4時間待つことが常態化しています。また、公立病院の設備や医師のスキルも優れているとはいいがたく、さまざまな課題があります。

ケニアの医療が未発達な理由のひとつは教育にあります。ケニア国内では、正しい医療教育を受けることができる環境に身を置くことは非常に困難です。例えば、ケニアには救急医療を専門にする教育機関がありません。そのため、ケニアの医師が救急医療の教育を受けるためには、休職して国外へ留学(約1,000〜1,500万円の費用がかかる)する必要があるのです。


ケニアの「妊産婦死亡率」は日本の1920年代(明治/大正時代)と同水準

今回、私たちが取り組む課題は、日本の1920年ごろの水準と同等である「ケニアの妊産婦死亡率・342(10万人中)」の高止まりです。342(10万人中)という数値は、今の日本の妊産婦死亡率の約70倍。今後のケニアの経済発展を鑑みたら、安心して出産ができる環境を整えるのは社会に必要なことです。

※World Development Indicatorsを元に作成※妊産婦死亡率 
= 年間妊産婦死亡数 ÷ 年間出産数(出生数+死産数) × 100,000


現地の医師よりなぜ産婦人科領域におけるPOCUSが必要であるか?ケニア産婦人科学会会長Dr. Kireki

“超音波診断トレーニングはケニアの妊婦の生活をよりよくする方法”

Dr.Kirekiからは、WHOでは、各国に出産までに4回の超音波による妊婦健診を受けることを目標として啓発を行なっているが、現地の人々が出産までに1回も妊産婦検診を受けない/受けられない人が多数いること。仮に受けたかったとしても、現地の医師が適切な超音波技術を持っておらず、その機会を失ってしまっていることが、この妊産婦死亡率の増加に拍車をかけていると話しています。もし、私たちが現地の医師/クリニカルオフィサー/看護師に超音波トレーニングを実施してくれれば、死亡率の減少に大きく貢献するだろうと強い応援メッセージをいただきました。


私たちが2021年より取り組んでいるPoint of Care Ultrasound (POCUS)とこれまでの活動

ケニアにおける全ての分野の医療教育を一度に改善することは現実的ではありません。そこで私たちは、さまざまな診断に応用がきく「超音波診断」の医療診断技術(POCUS)に注力することが、費用対効果が最も高いと考えました。超音波診断のスキルは、産婦人科診断において大きな武器となります。超音波診断を行う産婦人科トレーニングをケニアで実践できたら、ケニアの妊産婦死亡率の減少に大きく貢献することができます。


ワンショット支援ではなく、持続可能性のある支援を

JICAの青年海外協力隊でサモア独立国に赴任したときに感じたことですが、世の中の社会貢献活動の多くはワンショット(単発)支援です。サステイナビリティ(持続可能性)が欠如しているため、アフリカの社会課題の抜本的な解決に結びつきません。

サステイナビリティのある社会課題の解決策として、まず考えたのがビジネスと社会貢献を両立させることです。アフリカスキャンという会社にいたときは、お金を稼ぎつつも社会課題の解決に役立ついいモデルはないか、試行錯誤しました。今、代表を務めるAA Health Dynamics株式会社を設立したときも、挑戦と失敗を繰り返しながらもがいていました。

そんなとき「超音波診断機」を開発している日本メーカーとご縁があり、超音波診断トレーニングを弊社主導で行いました。すると結果は、大反響。多くの医師から私たちのトレーニングを受講したいという声をもらいました。

面白いエピソードがあります。私たちのトレーニングを受けたケニア人の医師のひとりが、自分の病院で超音波診断の画像を見ながら針を刺す治療をしていたときのことです。その見慣れない光景を見た他の医師は、「どこでそんな技術を学んだんだ!」とひどく驚き、「自分もその技術を学びたい」と大好評だったそうです。

超音波診断の技術は、世界的に見たら決して高度なものではありません。しかし実際に、超音波診断を用いれば、ケニアの医師の診断の幅は広がり、救われる命もたくさんあります。超音波診断のトレーニングはやればやるほどニーズがあることが、ケニアの医師からのフィードバックで明らかになりました。

私はそこに「サステイナビリティの光明」を見出し、今回のクラウドファンディングへと至ったのです。そして最初に取り組むべき課題として「妊産婦死亡率」の問題に注目しました。


私たちが行った超音波診断技術(POCUS)トレーニングの実績:

私たちは、既に15名の超音波診断技術のトレーナーを輩出しました。そのプログラムはオンラインとオフラインを融合させたトレーニングプログラムです。ただ知識を与えるだけでなく、ハンズオントレーニング、超音波画像のポートフォリオ作成、最終技術試験などを実際に実施しています。
自社で保有する医療トレーニングスタジオ/配信機材も揃えています

現地のトレーナーが候補生を育成している様子

私たちが医療トレーニングに行き着くまでには、紆余曲折を経てきました。私たちが気づいたのは、私たちが提供したいものを提供するのではなく、現地の医師の声に耳を傾けいっしょに何ができるのかを模索することでした。私たちはすでに、POCUSトレーニングを提供する準備はできています。ただし、現地で医療を提供する環境を改善するためにはさらに一歩踏み込んだ内容を実施する必要性が見えてきています。

<これまでの活動実績>

・ケニアの医療従事者のべ1万人にウェビナーを提供

・ケニア医師免許更新に使えるCPDポイントの日系企業唯一のプロバイダー

・ケニアの職業訓練校として登録

・現地のトレーニングセンターを所有してハンズオンを実施

・経済産業省のプログラム「アフリカ市場活力取り込み事業実施可能性調査事業」に採択されている
経済産業省実施可能性調査事業 採択結果のお知らせ


「超音波診断機を購入して、産婦人科POCUSトレーニングを開発・提供したい」

今回やるべきことは明白です。超音波診断機を500万円で購入して、250万円で超音波診断機を用いた産婦人科のPOCUSトレーニングをパートナー医師と共に、開発し実行することです。

弊社はこれまで1万人以上の医療従事者にトレーニングをしてきました。そのため、トレーニングのクオリティを担保することには自信があります。また、集客に関しても弊社のこれまで培ってきたネットワークを活用します。したがって、コストを最小限にして人を集めることが可能です。

POCUSトレーニングは、弊社の施設でハンズオンで実施するだけではなく、オンラインのウェビナーも交えて、効果的なプログラムを設計します。トレーニングの様子は録画してオンライン上に保存しておくことで、動画配信を活用しつつ改善のサイクルを回します。

トレーニングは、一期を2〜3ヶ月で区切り1年に数回実施していく予定です。弊社は「日系企業で唯一」ケニアの医師が免許を更新する際に必要なCPD(Continues Professional Development)ポイントを付与できる機関として認証されています(2023年1月現在の当社調べ)。トレーニング修了後にはサーティフィケーションと共にCPDポイントをケニアの医師に付与します。

超音波診断機を用いた産婦人科トレーニングを継続的に実施していくためには、取り組みを広く社会に発信し続けることが大切だと考えています。トレーニングの終了時には毎回アンケートによる定性調査を実施して、定期的にWebサイト上で公開します。また、参加した医師の専門や国籍などのデータも集計して、レポートを配信します。

この取り組みが社会に価値のあることだと認められれば、私たちのトレーニングを支援してくれるパートナーが必ず現れるはずです。パートナーの支援を得たら、POCUSのプラグラムを増やしていきます。将来的には、ケニア以外のアフリカ地域やアジア地域へもトレーニングを展開していくことを計画しています

今回のクラウドファンディングで、最初の一歩をご支援いただければ、あとは自走して事業を拡大していく未来が見えています。計画を実現する粘り強さだけは誰にも負けません。

今回のプロジェクトで超音波診断機を購入して産婦人科のPOCUSトレーニング開発・実行に成功したら、ケニアの妊産婦死亡率を大きく減少させることも夢ではありません。私は、これを広く国内外に発信することによって、さまざまな波及効果が生まれると考えています。

ケニア国内の医師の数、0.2人(1,000人中)という数値は短期的に増やすことは難しいため、まずは一人ひとりの医師ができる診断の範囲を広げることが重要です。そのための手段として、弊社のような第三者機関が実施するトレーニングを受講して、スキルアップを図るという文化をケニアに根付かせます

弊社は、独立した教育機関の認証を得ることも視野に入れています。そうすれば、専門医のグループによる政治的な理由による反発があったとしても、堂々と活動を継続することができます。また、弊社のトレーニングをケニア内外に広めるだけではなく、情報発信を続けることで、人々の支持を受けることも既得権益を守ろうとする勢力への抑止力となります。


その他現地の医師からPOCUSの重要性と応援メッセージをいただいております!
産婦人科だけでなく、POCUSは多くの医療の領域で有用です。それを皆さんにも知っていただき応援していただきたい。


Dr. Anbiya ガン/血液ガン専門医 ナイロビ病院癌治療部長

“超音波診断を使えば乳がんや子宮頸がんを早期に発見できる”


Dr. James Amenge 産婦人科専門医/MedicScan Certified POCUS Traininer

“母親を大切にすることはその家族を大切にすることでもある”


Dr. Mulwa 救急専門医/MedicScan Certified POCUS Traininer

”外傷による死は超音波診断スキルがあれば防ぐことが可能”

資金の使い道

・超音波診断機の購入:約500万円
・産婦人科のPOCUSトレーニングプログラム作成費:約250万円

実施スケジュール

<2023年>
・2023年2月上旬:クラウドファンディング募集開始
・2023年2月上旬:プレスリリース(クラウドファンディング開始)
・2023年3月31日:クラウドファンディング募集終了
・2023年4月中旬:プレスリリース(クラウドファンディング結果報告)
・2023年4月中旬:支援者一人ひとりに感謝のメッセージを送信
・2023年4月上旬〜6月下旬:ケニア産婦人科の権威の医師とトレーニングの構築開始
・2023年5月上旬〜下旬:超音波診断機の購入
・2023年6月下旬〜9月下旬:約5名のトレーナーを育成するプログラムの実施
・2023年10月上旬〜:産婦人科トレーニング「第一期」開始(募集人数約30名)
・2023年10月10日:プレスリリース(第一期トレーニング開始報告)
・2023年10月下旬:中間アンケート実施
・2023年10月上旬〜中旬:中間報告会

<2024年>
・2024年1月下旬:第一期のトレーニング終了、修了証付与
・2024年2月上旬日:プレスリリース(第一期トレーニング終了報告)
・2024年2月上旬:最終報告会にて今後の展望を発表 

最後に

今回のプロジェクトでは総額「750万円」の調達を考えています。内訳は、超音波診断機の購入に500万円、産婦人科に関わる超音波トレーニングの開発・実行に250万円です。現在の社会課題の解決にはサステイナビリティ、持続可能性が必要です。そのため、私はみなさんから課題に直面するたびに資金を調達しようとは考えておりません

もし今回の調達に成功し、超音波診断機を購入、産婦人科トレーニングを実現でき、ケニアの妊産婦死亡率を下げることに成功したら、それを広く世の中に発信していきたいと考えています。価値があることを実現するので、やり方を間違えなければ必ず、私たちの活動を応援してくれるパートナー様が現れてくるはずです。その方から、スポンサーという形でご支援をいただければ、それを原資に他のトレーニングへと横展開することが可能です。

私たちの医療トレーニングにはケニア人の医師だけではなく、アフリカのさまざまな国、ルワンダやウガンダ、ソマリアやタンザニアなどから来た医師が参加してくれています。もし私たちのトレーニングを受けた医師が自国に帰って、得たスキルを実践すれば、その社会的インパクトは相当なものになります。また原資があれば、医療・検査機器を購入したい医師へ融資事業を始めることができます。これに成功すれば、草の根でアフリカの医療を確実によくしていける自信と確信が私にはあります。

AA Health CareのAAはアフリカ・アジアの略称です。アフリカの医療に大きく成功したらアジアへと事業を拡大、地球規模で医療課題を解決していく、そんな夢物語を本当に実現したいと思っています。ですので、今回お願いすることは、この大きな物語、ドミノ倒しの最初のドミノを倒すブーストとしての資金を提供していただくことです。最初のドミノがとても巨大で私一人では倒すことができません。みなさんの力が必要です。

社会起業家ではなく「社会実業家」として、地に足のついたビジネスをしたい

今回私が、Good Morningでチャレンジしたいことは、日本の1920年代の水準と同程度といわれるケニアの妊産婦死亡率の高止まりを医療教育を通じて大きく改善することです。これまで私は、JICA青年協力隊のプログラムでサモア独立国でヘルスケアプロモーションに取り組み、アフリカスキャンという企業で予防医療事業/ヘルスケアエンジニア育成のサービス開発に尽力してきました。

これまでの経験から学んだことは、アフリカの社会課題の解決には持続可能性、サステイナビリティのあるビジネスモデルが必要ということです。私はAA Health Dynamicsでケニアの医療従事者と日々、コミュニケーションしていく中で、医療の課題をどうしたらビジネスとして解決できるのかを試行錯誤してきました。そんな中、今回のチャレンジのきっかけとなったのは、とある日本企業との出会いでした。その企業は超音波診断機を製造しており、ケニアでのマーケットのニーズを調査することからお付き合いが始まりました。

そこでPOCUSと呼ばれるエコー検査をはじめとする超音波診断機のユースケースが、これまで私が課題だと感じてきた人口1000人あたり0.2人しかいないケニアの医師一人ひとりが診察・診断できる範囲を大きく広げるのではないかと直感しました。実際、弊社が現地に保有するトレーニングセンターで超音波診断機を用いた超音波検査トレーニングを実施したところ、現地の医師には大好評。ものすごい反響がありました。

私はそれを経験して、超音波診断機を用いたスキルトレーニングを事業として自走させれば、アフリカの医療発展に大きく貢献できると確信したのです。

私は「社会起業家」、という言葉があまり好きではありません。起業家という言葉には大きな花火を打ち上げてあとはいなくなるニュアンスが含まれると感じるからです。それでは一番の問題であるサステイナビリティが欠如したモデルの焼き直しでしかありません。ですので私は自分を「社会実業家」と名乗りたいと考えています。

派手さはないかもしれませんが、本当に必要な人に必要なサービスを継続的かつ長期的に提供していく、そして少しずつ取り組みを広げていろいろな人を巻き込んでいく。そんな地に足のついたビジネスをしたいと考えております。どうか私の大きな夢の実現、ドミノ倒しの最初のドミノを一緒に倒すのにお力添えいただけないでしょうか。ご支援いただいた以上は、必ずや成果を残したいと考えております。みなさんのご支援を心よりお待ちしております。

チームメンバー


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