はじめに  

この場所は、かつて、一人芝居の第一人者・イッセー尾形さんの稽古場でした。
NPO法人ら・ら・ら設立者の故・森田雄三は、この場所でイッセーさんと二人三脚で芝居を創っていました。その創作の基本概念に則り、私たちは「目の前の困っている人を絶対に踏み越えない」「地域・利用者・スタッフ全員の人格や日常生活を互いが思いやり、受け入れることで、幸せや苦難をシェアし合う」ことをコンセプトとしています。

楽ちん堂には、日々様々な利用者、スタッフ、お客様が集い、賑わっています。皆、程度の差はあれど、こだわりの強さや特性、平たく言うところの「短所・欠点」を抱えています。と同時にその人しか持ち得ない魅力をもっています。
ここは、それがありのまま見えるような場所です。

特に、障がいを抱えた方々にとっては、その人がその人らしくいられ、安心でき、時に「そこにいる」だけで誰かの役に立つような居場所だと自負しています。

一方で、常に彼らが、将来への漠然とした不安を抱えていることも言葉の端々から感じます。「親がいなくなったらどうしよう」「自分はこのままでよいのだろうか」「自分で少しでも稼ぐことができたら…」

そこで私たちNPO法人ら・ら・らは、この場所に「就労継続支援B型事業所」を開設することで、彼らが「短所・欠点」も含め、その人しか持ちえない魅力を安心して発揮できる「行きたい時に行ける職場」を創りたい。また楽ちん堂に集う子どもたちや親御さんが、将来の職場としても魅力的に感じるような場所にしたいと考えました。

今回は、開所にあたっての準備資金と開所後の給付費収入までの運転資金の支援をお願いしたく、本クラウドファンディングを立ち上げました。


こちらは日テレnews every.で特集して頂いた動画です。ぜひご覧ください。

https://youtu.be/bizfuW_sekE 

https://youtu.be/ogaCSNHe53E 

障がいを抱える人が生涯働ける職場
[就労継続支援B型事業所 すたじおごろん]を創りたい。

・利用者が安心して働ける環境を確保します。

 →「すたじおごろん」に通うことで、働く喜びと誰かのためにできることがあるという有意義な時間が過ごせること、それを利用者だけでなく、利用者の家族も共有できるような空間づくりを目指す。障がいの種類によって働き方を変えてみたり、1人1人に寄り添った支援を行う。併設している楽ちん堂カフェでは、一緒に送迎した利用者の家族が待機することも、利用者が就労している時間に事業所内の相談室で相談を受けることも可能。

・地域で自立した生活が営めるよう、様々な情報提供を行います。

→当法人は世田谷区野毛の場所で40年培った土壌がある。地域に根差したコミュニティカフェとしての経歴もある。また、精神保健福祉士3名がスタッフにいることで、地域との連携や障がいによる症例に沿った情報提供が可能。保護施設に保護されていたアルコール依存症の男性を救出して依存症の治療のために入院を勧められたこと、困窮家庭が生活保護を取れるような情報提供をした実績もある。

・1人1人の個性を大切にして、その人に合った社会参加の方法を見出していきます。

→以前運営していた放課後等デイサービスの頃から、マンツーマンでの寄り添いを大切にしている。放課後等デイサービス閉所後も当時の利用者が訪れているのは、マンツーマンでの寄り添いが多大なる影響を及ぼしているのは間違いない。その状況を共有することで、まるで手に取るような情報を得ることができるのは、演劇が根底にあり臨場感すら覚えるような具体的な表現方法を大切にしている当法人でしかできない手法である。

・就労支援だけではなく、調理や掃除などの体験を通して生活支援も行います。

→現在訪れている利用者は、掃除や調理を実際に行っている。当法人で働きながら調理師免許を取得できた利用者は、就労の喜びだけではなく勉強する喜びすら得ることができた。調理師が8人もいる法人は他には無いと自負している。将来グループホームや一人暮らしを希望している利用者には、個別の支援プログラムを作成していく。

【1】 生活支援・健康管理

利用者の心身の健康状態を把握し、日常生活を送る上での必要な健康管理、対人関係や金銭管理の指導・援助を行い、自立した生活が送れるよう支援する。

日々変わる病状や状態の変化に合わせて、その日の仕事を割り振る。個数や仕事量の制限に追い詰められることが無いように、小さな目標でも本人が達成感と自信を持てるような作業設定を行う。また、作業中のちょっとした変化にも気づくことができるように、スタッフは一緒に作業をするなどして見守る。

【2】 訓練

・SST(生活技能訓練)、自立に向けた体験や生活体験や地域資源の見学などを通じて、自立や地域定着を目指す。

A)スマホの使い方講座

コミュニケーションの手段が広がる。危険なサイトに入らないような見極め方法を伝える。スマホで健康管理や日記、金銭管理、災害時の情報収集などの便利な使い方を学ぶ。

(例)ネットショッピングがしたい

 欲しいものを調べる、いろいろなサイトを見て相見積もりを取ってみるなどの情報収集ができる。好きなものを何でも買うのではなくて、貰った工賃で購入ができるような計画を立てるなどの金銭感覚を養うことができる。

B)生活体験

 洗濯、掃除、買い物などを体験することで、徐々に自信を持ち自立につなげていく。適正な施設や機関の紹介、目標が達成できるような計画作成の支援やアドバイスを行う。1人暮らしのサポート、各種役所への手続き等にも同行し、できることを増やしていく。

(例)1人暮らしがしたい

1人暮らしをするためには、何が必要かをスタッフと一緒に考える。住む場所はアパートなのか、グループホームなのか、何があれば1人暮らしができるのか、そのために習得しないといけないことは何かなど、個々のペースや状況に合わせて進める。

C)勉強

 利用者が個人的に達成・挑戦したい目標、事柄に対し達成までの計画を立て、適正な施設や講師の紹介、アドバイス等を行う。パソコン操作、デジタルアート、保育、勉強、カフェの店員等。

(例)勉強がしたい

楽ちん堂で、ほぼ毎日算数教室を開催している某私立高校の校長先生だった池上先生がボランティアで勉強を見ることが可能。利用者が希望すれば、個別計画を立て資格を取るなど目標を立てながら勉強を勧めることも可能。学ぶ喜びは、分かる喜びになり、自信につながっていく。

D)食育

 毎日食べる食事は、健康にもつながる。おいしい食事と安全な食事の違い、調理方法、栄養素などを学ぶ。調理師が何名もいる当法人では講師も複数おり、毎日のように届く有機野菜を使った食事で安全な食品を目の当たりにすることで、興味をひくこともできる。

(例)おいしいごはんが食べたい

おいしいとは何か? 食材はどこから来るのか? どんな調理をするとそれらの食材はよりおいしくなるのか? など、いろんな観点からの食育が考えられる。旬の食べ物を学ぶことで、食への興味や食べ物を大切にする気持ちも生まれる。

・利用者が支援者にもなれるような新しい支援(ピアサポーター)を目指します。

→ピアサポーターという言葉を知らなかった頃から、当法人理事長は「利用者が支援者にもなるシステム」をずっと掲げていた。障がいを持つ当事者でなければ分からないこと、当事者同士だから理解できることは新しい支援の形であると信じて疑わなかった。利用者の状況や困りごとを瞬時に分かり共感して寄り添うことが、支援のはじめの一歩であることは間違いない。ゆくゆくは、ピアサポーターを育てていきたい。


事業内容

・子ども食堂の委託事業

3年前から行っている子ども食堂の業務を、就労継続支援B型事業所に委託する。配膳、片付けなどのフロア業務を担当する。晩ごはんの時間のみ、就労継続支援B型事業所の一部を開放して子ども食堂として食事を提供、もしくは配食を行う。

・野菜仲買販売

当法人では野菜の納品を行っている。就労支援の一環として下記の作業を担う。世田谷区の飲食店への納品を2年間続け、今後は世田谷区尾山台の八百屋ジャズと提携して、旬の果物の梱包、発送業務なども行う予定。

世田谷区の農家から野菜を仕入れ、それらの野菜を世田谷区の店舗に納品する。

→自分たちが仕入れた野菜を自分たちで納品すること、また実際に野菜を作っている農家の方に出会うことで農家の仕事や、食べ物の大切さを学ぶことができる。興味を持った食材をスタッフと一緒に調理して、利用者自身の昼食として食べることも可能。これらは、訓練に記載している食育にもつながる。

・製作販売業務 

世田谷区尾山台の商店街や各地のマルシェで、はちみつやお菓子の販売を行う。
キネクラブの新井真理子氏の指導によりヴィーガンのお菓子作り指導でお菓子を作り、尾山台商店街で下記商品を販売予定。
・クッキー・野菜スムージー・はちみつ・はちみつレモン・はちみつナッツ
当法人で扱っている蜂蜜は、希少価値の高い日本蜜蜂の蜂蜜。蜂蜜そのままを販売したり、八百屋ジャズで仕入れる国産レモンやナッツをつけることで日本蜜蜂の蜂蜜シリーズを商品化している。試験的に販売した尾山台ジャズ前でのマルシェでは、蜂蜜ナッツ、蜂蜜レモンが人気商品となった。

・興行事業

以前より興行事業に携わってきた経験を活かし、利用者との創作活動(歌、踊り、演劇、絵画など)を中心にし、日々練習を重ねながら定期的な発表会を実施していく。オールジェネレーションズ発表会という月に1回の発表会を目標に、各自が歌や、ダンス、演劇を披露する場を設ける。発表会当日はお客様を呼び、撮影や編集をして、編集した動画は、YouTubeにUPして配信するところまで、スタッフと一緒に利用者が行う。

・その他特徴ある活動

リフレッシュプログラムの実施

1.ヨガ

ヨガの講師をしているスタッフがいる。実際に施設に行くことができない日も、オンラインや録画でヨガに参加をすることができる。また個々に合わせた独自のプログラム作りも可能であり、できないポーズや難しいポーズを避けることでネガティブな感情を持つことを防ぐ。体を動かす機会が少ない利用者のためにストレッチを行うだけでも、体がほぐれリラックス効果があり、気分向上となる。気分が向上することで、生産活動への意欲も上がる。

2.マッサージ 

リラクゼーションサロンでマッサージをしていたスタッフにより、利用者へのマッサージを行うことができる。放課後等デイサービスの利用者で、気持ちが落ち着かなくなった時や、暴れてしまう時にもスタッフがマッサージをすると、クールダウンして穏やかな表情に変わることが良くあった。誰かに触ってもらいながらリラックスができることで、スタッフとのコミュニケーションも取ることが可能。疲れてしまった際のマッサージも効果的だと思われる。

3.外出訓練

電車やバスなど公共の交通機関を使用して、出かけてみる。必要であれば、役所や銀行などに同行する。みんなで遠足に行ってみるなど、楽しみながら他の施設の見学に行って、利用者の世界を広げる。自立や地域定着への足掛かりになる。

就労を考える利用者と一緒に、どんな就労移行支援事業所に行ってみたいか調べる所から始めてみる。利用者自身が主体になり、情報収集から計画立案、実施、振り返りまでを経験してみることで自信がつくだけでなく、就労への希望につながる。

プロジェクトをやろうと思った理由

ここまで様々な支援を行ってきたが、当事者と関わる中で、働くということへの大きな課題が見えるようになった。閉所したイクツアルポックの卒業生のためにも、個々にとっての素晴らしい魅力を引き出すとともに社会参加の訓練を行う居場所が必要だと感じ、就労継続支援B型事業所の開設を目指すことになった。バイトを3日で辞めてしまうなど月曜日から金曜日までフルタイムで働くことができない子ばかりである。彼らの就労の喜びの場所を提供するために、就労継続支援B型事業所の選択となった。

コロナ禍でカフェの営業も一時休業となるが、感染防止協力金などの給付金により、粛々と就労継続支援B型事業所の開設の準備を続けた。今来ている子どもたちも一般企業に就職できないであろうと考えられる子もいる。彼らの将来を考えた結果、民間ではなく認可施設の立ち上げの必要性を改めて感じる。

現在も訪れるイクツアルポック(以前運営していた放課後等デイサービス)の卒業生とともに、毎月1度「オールジェネレーションズ発表会」という歌、ダンス、演劇の発表会を幼児から大人まで参加したい人が参加するという発表会を5年続けている。 

子ども食堂でのフロア対応や、オールジェネレーションズ発表会の興行を通して、働く喜びが得られるだけでなくお客様の反応が直接感じられることで社会参加体験が可能となる。

子どもたちばかりではない。楽ちん堂で調理担当をしていた65歳男性は、アルコール依存症ではないかと心配した理事長森田の配慮により昭和大学付属烏山病院に入院となった。入院4か月後に外泊許可が出た際は楽ちん堂スタッフとの外泊をすることで、生活支援となるだけでなく本人の充実感も得ることができた。楽ちん堂で久しぶりに調理をした際は、料理ができるなんで思いもしなかった、もうできないと思っていたのに、忘れてしまっていたかと思っていたのに、料理ができて本当に嬉しいと病院に帰る車の中で何度も森田に話したという。

2023年3月の精神保健福祉士3名の誕生により、再度物件探しを始め、以前から検討していた本来の拠点である楽ちん堂での開設を改めて検討することになった。かつて放課後等デイサービスを開設していた施設の空間性は抜群であり、今までの楽ちん堂の雰囲気を損なうことなく、快的な施設になるであろうことは容易に想像できる。隣接している楽ちん堂カフェへの給食準備と配膳の事業は、就労支援と同時に調理や清掃などを行うことで生活支援の一環も担うことになる。また、楽ちん堂カフェは学童保育も兼ねているため不登校の子どもたちとの関わりや、高齢者グループ「せめてしゅういち」との多世代に渡る触れ合いも、利用者の生活を充実させることに繋がる。

インクルーシブの活動を長年続けている現在の楽ちん堂の空気をそのまま継続できるような施設は、「目の前の困っている人を絶対に踏み越えない」「地域・利用者・スタッフ全員の人格や日常生活を互いが思いやり、受け入れることで、幸せや苦難をシェアし合う」という当法人の理念にも通じている。

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現在の利用者(一部を紹介)

・24歳男性:発達障がい 

2020年の夏、クーラーをつけないという主義の父親と同じ部屋に寝ることが耐えられず、楽ちん堂にやって来た。来た当初は突然大声を上げて雨の中に飛び出すようなシーンもあったが、最近は楽ちん堂に来ると落ち着いている。家庭では未だに暴れたり叫んだりしているらしいが、その都度楽ちん堂に来て気持ちを落ち着けるというルーティーンができつつある。薬の無い生活がしたいと話したり、楽をして10万円稼ぎたいとつぶやく。一人暮らしがしたいが、お金の管理ができないことが悩み。CDや本のメルカリでの販売を目指すも、販売する数の多さにめげて挫折。疲れたら休んだらいいよ、帰ってもいいよなどの声掛けで自分のペースで過ごせることに安心する。24時間365日鍵をかけない当法人の楽ちん堂カフェに朝5:00からやって来て、静かに座って待っている姿も時々見る。どうにもならないときに行ける場所として通って来ていたが、何年も通ううちに誰かの役に立ちたい気持ちからできることを探し、何度もスタッフと練習した結果、コーヒーを入れることができるようになった。お客様から「おいしい」と言われた時には無条件に嬉しいと言い、就労の喜びを感じている。楽ちん堂での動画「ソーマのひとりごと」は彼の番組で、すでに70回を越えた。即興で撮る5分程度の映像は、彼が日常で抱える悩みや思いの丈と共になぜか昭和の歌謡曲をセットにした人気番組となった。きっかけは、暇すぎて涙が出ると困っていたときに、こんなときこそ動画を撮ってみようと声掛けしたこと。楽しい時はもちろんのこと、つらい時や気分が落ちた時に、その時の自分の気持ちを表現すること、そしてその表現が記録として残り、動画を見た人からの感想や評価を楽しみにしている。最近では、自分からこんな話がしたいとスタッフに持ち掛けるようになった。

これまでの活動

1980年 イッセー尾形の一人芝居公演を始める

NPO設立者である、脚本演出家森田雄三、プロデュサー森田清子夫妻が、俳優イッセー尾形と「フツーの人々の日常」をテーマにした一人芝居を作り上げ自主公演を始める。 独自の演出方法、興行方法を評価され多数の賞を受賞。 既存の演劇とは違い、物語や派手な演出などは一切なく、「普通の人」を主役にし、彼らの日常を演じた演劇スタイルが話題を呼ぶ。また大がかりな宣伝広告を使わずに、来場者には毎回森田清子が違うメッセージを入れたアンケートを配ったり、お客さんとコミュニケーションを重ね、口コミで段々と人気が出た。

1987年 演出の森田の病気

森田雄三が骨肉腫により片足を切断、身体障がい者となる。自らが身体障がい者となったことで、働きたくても働けないこと、またその様な事は誰の身にも起こりうるということを、身をもって実感する。また妻である森田清子も家族として、共に働くものとして、障がいを持つ人とともに何かを作っていくという事を強く意識しだす。数年後、海外で各地を訪ね公演を行う中で、障がい者を積極的に受け入れて運営する劇場や、その様な方も健常者も混じり、地域の人が交流する空間として成り立つロビーカフェなどを見学し、感銘をうける。

1996年 演劇ワークショップを初めて開催する

阪神大震災の直後に神戸の劇場より、被災地を元気づける企画を行って欲しいとの要望があり、初のワークショップを行う。通常の興行とは別に、演劇を通した地域の人々との関わりの大切さを実感した森田夫妻は、その後神戸にて素人の若者を集め、社会問題をテーマに芝居を作りはじめ、定期的に公演を行う。

2000年 様々な問題を抱える若者と演劇ワークショップを行う

精神に問題を抱える若者、学校や社会にうまく適応できなかった若者達に、公演に関わる事業で働くことを通じ、新しい居場所を提供し生きがいを持って働く事を発見してほしいという目的で、彼らの様な若者とともに演劇ワークショップを行う。また札幌麻生コスモス作業所(北海道)と提携しグッズ製作を開始する。以来20年間で4000万円を超える売り上げをあげ、2011年まで提携を続けた。

2007年 特定非営利活動法人ら・ら・ら設立

ワークショップや様々な人をスタッフとして受け入れてきた事を受けて、人々の日常、その人が持つ魅力を、事業を通して再発見してほしいという思いが強くなる。その活動をさらに広く行っていくために、拠点に特定非営利活動法人ら・ら・らを設立する。設立は2007年7月25日。

2010年 ワークショップ参加者をスタッフとして受け入れ開始

以前のワークショップ参加者の中で、当時は精神的に不安定なため社会に関わる事が難しかった方が、ボランティアスタッフとして公演に参加。その後状態が良好になり、大学に進学。また、ワークショップ参加時は不登校だった児童も再び通学し始める。遠くは茨城県つくば市から通ってきて楽ちん堂カフェのお手伝いをする青年。マンガを読みながら日々店番をして、お客様が見えると慌ててマンガを置く。実はヤマト運輸との掛け持ちなんだと嬉しそうに話していた。

2010年 児童の預かりプログラムの開始

イッセー尾形の公演の際には、公演中にロビーで来場者の子ども預かりを無償で行っていた。子どもがいるから演劇鑑賞に行くことなんて到底無理だと、通常母親が思う概念を覆すサービスである。ずっと公演を見に来てくれていたファンも、公演中に子どもを預かることで今までと同じように安心して楽しむことができる。それはお母さんのリフレッシュにもつながることを、森田雄三、清子が分かっていたからだ。そもそものきっかけはイッセー尾形と森田夫妻の子どもたちを交代で預かっていたこと、親子共に安心してお互いが離れる時間を提供する大切さを実感したことによる。

その基盤があったことで、年末年始に森田オフィス(代表森田夫妻の別事業)にて1週間の宿泊付き支援事業の実施もスムーズな対応となった。年末年始に家族ではない人たちと過ごすことは、まるでおばあちゃんの家に親戚一同が集まるような何の違和感も無い空間となり、核家族の子どもたちも皆一緒に初詣に行くなど充実したプログラムとなった。

2011年 週末の児童ショートステイ事業「楽ちん堂」の開始

公演時や年末年始の児童預かりの実施を通して、この事業をもっと地域に密着して行うべきだと気がつく。そこで毎週末に森田オフィスにて宿泊付きで支援事業を行う地域の家「楽ちん堂」の運営を開始する。ひとり親家庭をはじめ、スタッフやワークショッパーズの子どもたちが週末に集まるようになった。障がいや年齢、性別などのあらゆるジャンルを超えて互いに交流出来る場所として、口コミで利用者が増え毎週末に訪れる参加者は50名を超えるほどになった。みんなでご飯を食べる、みんなで寝るという、まるで合宿のような週末の行事となり、週末を楽しみにする子どもたちが増えてきた。

2012年 「楽ちん堂カフェ」のオープン準備を開始

森田清子の実家は神奈川県で生活介護施設「恵和学園」を営んでおり、娘である彼女自身も利用者との共同生活の中で育ってきた。スタッフ一同で恵和学園に見学に行き、ワークショップ以外にも、障がいのある方もそうでない方もともに寄り添って過ごす事の喜びを発見する場所を提供したい、と思い作業所としてカフェをオープンすることを決める。

2012年 東京にて毎週末のワークショップ、発表会として2カ月おきの公演を開始

児童ショートステイ利用者の親御さん、スタッフ、公演の常連のお客さんなど、森田オフィス(後に楽ちん堂)に集まる様々な人々で芝居を作り始め、東京の渋谷駅南口の「space EDGE」や世田谷区二子玉川ライズ8階、オープンイノベーションのための共創スペース「カタリストBA」にて2カ月に一回公演を行う「ららら劇団」を立ち上げる。ワークショップとして、毎週末に稽古を開催するようになる。二子玉川では、子どもたちもお母さんと一緒に舞台にあがる「モーレツ社員と怒るその妻」を上演した。

2013年 楽ちん堂カフェオープン

カフェ「楽ちん堂」をオープンする。沢山の本や遊具があり子どもたちも思い切り遊べるため、児童ショートステイ利用者とそのご家族、地元保育園や小学校の保護者会後の歓談など、子連れの常連客が多数できた。またショートステイを利用している子どもたちも、コーヒーを入れたり、片づけや掃除、お客様の子どもの面倒を見るなど、自分たちの場所として積極的に関わりを持つようになった。障がいなど様々な理由で働く事が困難な人達がカフェの仕事や子どもの遊び相手などをきっかに、社会に出ていくトレーニングの一環として毎週末に働きに来るようになる。2023年現在は、子連れの常連客の他、行き場のない高齢者、グレーゾーンの子ども達、障がいを持つ人々、不登校の子ども達、旦那のDVから避難中の母子、ひとり親家庭の家族など、凸凹や生きづらさを抱える人々が毎日訪れている。

2013年 (一財)トラストまちづくり「地域共生のいえ」に認定され助成を受ける

これまでの活動が認められ、上記財団法人の「地域共生のいえ」助成を受け、男女別トイレの設置、スロープや手すりの設置等、拠点の改装を行う。

※ 「地域共生のいえ」:一般財団法人トラストとは、財団法人せたがやトラスト協会と財団法人世田谷区都市整備公社が住まいや街づくりに特化し、区民主体のまちづくりを支援するために設立された団体である。「地域共生のいえづくり支援事業」は同法人が行う助成事業で、子育て支援や高齢者・障がい者の居場所作り、地域の交流等の場として活動している団体に対して、審査の後改装費の助成を出している。

2014年 放課後等デイサービスへの事業転換&開所

就労継続支援B型事業所の開設を目指していたが、当時相談役としてアドバイスをくださっていた方から、「過去の児童関連の活動実績から、児童に携わる事業の方が向いているだろう」とのアドバイスを頂き、放課後等デイサービスの開所を目指すこととなる。

2014年 放課後等デイサービス イクツアルポック開所

精神障がい児、発達障がい児、虐待児や家庭内暴力でトラブルを抱える児童等、学校や他の事業所等になじめずに居場所が見つからないこども達を中心に支援を行う。その活動は地域にも認知され公的機関や学校等からの信頼もいただけるようになったが、不登校の児童が中心だったため、成果を出せば出すほど利用率が低くなるという経営的な矛盾も抱えることとなる。

2016年 「楽ちん堂カフェ」を森田オフィスに事業移行

放課後等デイサービス事業が軌道に乗り、売り上げも上がってきたこともあり、会計の透明性を保つため、「楽ちん堂」カフェ事業を、森田清子の個人事業「森田オフィス」に事業を移行する。

以後楽ちん堂カフェはケータリング事業を立ち上げ、企業のパーティやイベント等の納品を中心に売り上げを上げた。また独自の活動として児童預かりや行き場のない若者の就労支援等を行い、その活動を支えるためクラウドファンディングを実施し、多くの方からご賛同と資金の提供を受けた。NPO法人ら・ら・らへは協力会社として、放課後等デイサービスへの昼食やおやつの提供を行った。また利用者の親御さんの相談の場としても利用されていた。

2017年 設立者森田雄三が脳溢血となる

設立者であり旧理事長の森田雄三が脳溢血で倒れ、生死の境を彷徨うが意識を取り戻す。以後入院生活、リハビリを経て自宅(当法人別棟二階)へ戻り、妻である森田清子が在宅介護を行い、24時間の介護体制で森田雄三を支えたが、後遺症のため以前の様に演出やNPOの相談役としての仕事は難しくなった。だがこの森田の病気により、本来のNPO設立の目的は何か、障がいや病気を抱え日々に制限がある人と共に過ごし、どのように互いを受け入れモノを作っていくのか、と理事や職員が当法人の今後の展開を考え直す大きな転機となった。

2018年 放課後等デイサービスの閉所

2018年4月の総会にて、森田清子が理事に再任し、理事長となった。森田雄三が居宅介護になったことで7月末をもって放課後等デイサービスを閉所する。その後旧理事長の森田雄三が10月に他界。

2019年 芥川賞作家 山下澄人氏による演劇ワークショップ、旧放課後等デイサービス利用者と行う発表会開始

2019年3月に、山下澄人氏による演劇ワークショップ(通称:LAB)を開始。参加年齢は無制限で乳児から老人までが多数参加した。不定期開催と称して、2020年2月まで毎月行っていたが、コロナの影響によりワークショップの開催は休止を余儀なくされた。放課後等デイサービス閉所以降、行き場所を無くした元利用者、元卒業生の為の歌と踊りの発表会(オールジェネレーションズ発表会)を復活し、現在まで毎月月末に開催している。近所の子どもたちから老人まで全ての垣根を超えた自由な発表会となる。

2019年5月 Gorron Project事業を開始。

会員制ネットサロンとして、楽ちん堂カフェを居場所として会員と共有できるサービスを提供している。月額3,000円の有料会員数は約50名となる。
※山下澄人氏:20年前に森田雄三の「君は書ける!!」との指導で小説を書き続け、森田雄三が倒れたその月に芥川賞を受賞した。

2020年 不登校児の居場所提供活動に伴う「母ちゃん隊」の発足

新規事業として完全なるクチコミにより自然に集まった不登校児とその母親が、楽ちん堂を子どもの居場所として活用するだけではなく、母親の事業参加も同時にできるようになった。(母ちゃん隊の活動)また、「多様な学びプロジェクト@せたがや」の勉強会や、みくりキッズクリニックの院長を招いた講演会などを開催し、保護者の情報提供の場にもなっている。

同時期にみくりキッズクリニック、寺子屋みらいへの昼食ケータリングを開始。不登校児の家庭に昼食を届けるプロジェクトも開始。楽ちん堂に通って来る不登校児が、不登校児のためにお弁当作りを手伝い、お弁当と一緒に楽ちん堂の蔵書であるマンガを届けた。何巻もあるマンガを届けることで昼食の宅配の継続化につながった。楽ちん堂に通う不登校児が、別の不登校児のためにお弁当作りにメニューから参加し、配達まで行ったことは他には無いユニークな支援のひとつである。同年代の子が自分のために調理、配達をしてくれたという親近感が心を開く大きな要因となった。

2020年1月に、母ちゃん隊主導によるクラウドファンディングにより寄付を募る。世田谷区の保坂区長もTwitterでシェアをしてくださり、ケータリング事業を軌道に乗せる目的で、目標金額170万円に対し結果約230万円の寄付が集まる。

また同時期より、障がい者支援、不登校凹凸支援、高齢者支援、グレーゾーン支援などを民間で幅広く取り組んでいることを再確認し、民間総合福祉事業と称するようになり、より精力的に活動を開始している。

2021年 子ども食堂を本格的に開始

旧森田オフィス時代から宿泊を含む学童保育を続けており、子どもたちだけではなく急に訪れる親子に食事をふるまうことも多々あった。そういった意味では子ども食堂という名前が無かったころから、子ども食堂的な機能が備わっていたと言える。コロナ禍ではパントリーの役割も果たし、社会福祉協議会などからの寄付をひとり親家庭や困窮家庭に配食をした。現在では学童保育の子どもたちだけではなく、休日の朝に悩み事相談に訪れるシングルファザー、土曜日に集まる高齢者グループ(せめてしゅういち)への昼食提供や、居宅介護家庭へのお弁当の配達も行う。これらの食事は、調理師である高齢者グループの美智代さんだけでなく、子どもたち自身で作る給食の企画も進めている。毎日やってくる不登校の小学生がランチを自分たちで作ることで食育にもつながる。

「子どもばぁ~」という子どもたちだけのバーは、大人だけじゃなくて子どもだって楽しみたいんだ!という子どもたちの声から現理事長の森田清子が発案し、人気企画となっている。

また、元高校の校長先生だった池上先生が、不登校の子どもたちに勉強を教える個別指導の学習は、子どもがやる気を出すまで気長に待つ、というシステムでおそらくここにしかない。数学の先生だったけれども、国語も教える。小学校1年生から6年生までの教科書を全部読み、関連性が無いことが漢字の勉強に足りないことを発見し、「父、母、兄、弟、姉、妹」など関連する言葉でイマジネーションを高める勉強法を取った。小学校5年生まで平仮名を全部書くことができなかった子が、この春中学校に通い始めている。不登校の子ども達が学校に通い始めたことで、ここに来ても子供がいないし暇だと思った子が学校に通い始めるなどの、二次効果さえ生まれている。

 ※せめてしゅういち:せめて週に1度は集まりましょう、元気な姿を確認しましょうという、高齢者のグループ。かつての仕事や、今まで培ってきた技は皆さんプロ級。料理、出版、ラジオ放送、教育など、彼らの得意分野で寄り添っているのは、高齢者自の居場所だけではなく、彼らの喜びにもなっていることは間違いない。せめてしゅういち→いずれしゅうさん→もはやしゅうご、のように通ってくる高齢者が増えている。

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スタッフ紹介




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代理支援をご希望の方へ

クラウドファンディングでご支援をいただく場合、本来ですとCAMPFIREへの会員登録が必要となります。

そういったお手続きが難しい方には「代理支援」という形での支援も承っております。

指定口座宛にお振込みいただき、弊社にて支援手続きを代行し、クラウドファンディングのサイトに反映させるという方法です。

※入金処理に2~3日お時間をいただく場合がございます。※お振込手数料はご負担となります。
 下記の口座にご入金いただいた後に、メールにて必要情報をお送りください。

ゆうちょ銀行以外からのお振込み

ゆうちょ銀行 店番〇一九
当座 0356899
特定非営利活動法人ら・ら・ら

ゆうちょ銀行からのお振込み

記号番号00100-5-356899


お振込が完了しましたら、お手数ですが npolalala@gmail.com まで

・お名前・ご住所(リターン送付先として)
・希望されるリターンの種類
・電話番号
・ご支援金額

をご一報くださいませ。
その他、ご質問等につきましてもお問い合わせください。
よろしくお願いいたします。

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資金の使い道

・就労継続支援B型事業所開所までの運転資金400万円

・就労継続支援B型事業所開所から訓練等給付費収入までの運転資金400万円

・施設改装費200万円

・CAMPFIRE手数料100万円

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リターンについて

[50万円]
●NPO法人ららら理事長 森田清子1日出張ワークショップ
イッセー尾形の個人事務所を社長兼マネージャーとして35年経営した森田清子がワークショップを通してひとりひとりの魅力を引き出します。
※交通費・会場費は支援者負担となります。2023年内にて個別に日程調整させていただきます
※備考欄に現時点で希望される①講演先(企業・学校等)、②場所、③時期の記載をお願い致します
●NPO法人ららら理事長 森田清子が毎日投稿している「今日の楽ちん堂」の背面にお名前を記載
●NPO法人らららの公式サイトに支援者としてお名前を記載
※備考欄に掲載されたいお名前(個人名または法人・団体名)をご記載ください。

[30万円]
●NPO法人ららら理事長 森田清子90分間出張講演
※交通費・会場費は支援者負担となります。2023年内にて個別に日程調整させていただきます
※備考欄に現時点で希望される①講演先(企業・学校等)、②場所、③時期の記載をお願い致します
●NPO法人ららら理事長 森田清子が毎日投稿している「今日の楽ちん堂」の背面にお名前を記載
●NPO法人らららの公式サイトに支援者としてお名前を記載
※備考欄に掲載されたいお名前(個人名または法人・団体名)をご記載ください。

[20万円]
●NPO法人ららら理事長 森田清子60分間出張対面相談
※交通費は支援者負担となります。2023年内にて個別に日程調整させていただきます
※備考欄に現時点で希望される①場所、②時期の記載をお願い致します
●NPO法人ららら理事長 森田清子が毎日投稿している「今日の楽ちん堂」の背面にお名前を記載
●NPO法人らららの公式サイトに支援者としてお名前を記載
※備考欄に掲載されたいお名前(個人名または法人・団体名)をご記載ください。

[10万円]
●楽ちん堂スタッフ(精神保健福祉士含む)オンライン相談30分
●NPO法人ららら理事長 森田清子が毎日投稿している「今日の楽ちん堂」の背面にお名前を記載
●NPO法人らららの公式サイトに支援者としてお名前を記載
※備考欄に掲載されたいお名前(個人名または法人・団体名)をご記載ください。

[5万円]
●楽ちん堂スタッフ(精神保健福祉士含む)オンライン相談15分
●NPO法人ららら理事長 森田清子が毎日投稿している「今日の楽ちん堂」の背面にお名前を記載
※備考欄に掲載されたいお名前(個人名または法人・団体名)をご記載ください。

[3万円]
●イラストレーターこうきさんのクラウドファンディング限定楽ちん堂イラスト×クラウドファンディング限定すたじおごろんイラストをお送りします。

[3万円]
●10月22日(日)世田谷区で行う楽ちん堂チャリティーコンサートご招待券2枚
●出演した楽ちん堂メンバーと写真撮影。
●当日楽ちん堂の美智代料理長(83)監修お弁当を2個お渡しします。

[1万円]
●イラストレーターこうきさんのクラウドファンディング限定楽ちん堂イラストをお送りします。

[1万円]
●10月22日(日)世田谷区で行う楽ちん堂チャリティーコンサートご招待券1枚
●出演した楽ちん堂メンバーと写真撮影。

[5千円]
●活動報告メールのご送付
開所までの活動記録や成果を記載したご報告メールをお送りさせていただきます。
●NPO法人ら・ら・らの2023年の活動報告を郵送にてお送りさせていただきます。

[3千円]
●活動報告メールのご送付
開所までの活動記録や成果を記載したご報告メールをお送りさせていただきます。

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実施スケジュール

9月内装工事
10月 新規利用者募集
11月 開所予定

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最後に

みんなのこの場所がなくなることが無いように、願ってやまない。彼らの未来のために、そして彼らの未来を案じる母たちの為に。心の豊かさが資金もまた潤すことができるように、ご協力お願い致します。

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

「特定非営利活動法人ら・ら・らは非営利法人ですが、このクラウドファンディングを支援することで、支援者が税制優遇を受けることはありません。」

このプロジェクトの問題報告はこちらよりお問い合わせください