一般社団法人栃木県若年者支援機構、代表理事の中野謙作です。
困難を抱える子ども、若者たちのサポート行っています。私が子どもたちと関わるようになって21年が経ちました。

 きっかけは、一人の女の子でした。
栃木県に移住したのが今から23年前です。当時は学習塾を運営して子ども達の学習指導を仕事にしていました。中学2年生の女の子が入塾して3か月ぐらいのころでした。彼女のお母さんがお米と野菜がたくさん入ったカゴを手にいらっしゃり、「先生、悪いんだきっども、今月はこれで塾代勘弁してもらえんだろうか?」と言われました。ご主人が病に倒れ、野菜の収穫もできず収入が激減してしまったというのです。「お母さん、塾代はある時で大丈夫です。心配せずに今まで通り通わせてください」と私は答えました。ありがたくお米と野菜をいただきましたが、彼女の苦しい生活の様子がわかり、お手伝いさせていただきたいと強く思いました。
 それから様々な子どもたちと関わるようになり、今まで知らなかった子どもたちの苦境を知ることになりました。16年前には、経済的に厳しい子どもたちのための無料の学習塾も開設しました。そうした子どもたちとの時間の中で、見えてきたことがあります。


教育は平等に誰でも受ける権利があります。しかし、教育を受けることができない子どもたちがいました。貧困で苦しんでいる子ども、身体的な病気、発達障害や精神疾患がある子ども、いじめや様々なことが原因で学校に行けなくなった子どもたち。彼らにも同じく平等に教育を受ける権利があります。どのような状況であれ、全ての子どもたちに学ぶ権利を享受させたい。例え小学校に1日しか言ってない子どもでも学ぶことが嫌いな子どもはいません。実際学習支援教室では子どもたちが楽しく学んでいました。しかし子どもたちに必要なのは、学びの機会だけではないということもよくわかりました。


勉強に追いついていけなかったり、学校になかなか馴染めない子どもがいることもわかりました。勉強ができないと学校の勉強が楽しくなくなり、周囲からも勉強ができない子どもとみられ、学校に居場所を失っていきます。また、学校に居場所がないだけでなく、親子関係が悪く、家にいることも苦しい子どもたちもいます。


こうした状況を知り、子ども、若者の笑顔を増やしたいと、活動する仲間の輪を広げながら、全力で取り組んできました。しかしながら力及ばず時代の流れは逆に子どもたちにとってさらに厳しいものになってきました。

 


子どもの貧困が大きな社会問題になっています。日本の子どもの7人に1人が、貧困状態にあります。現代の貧困は目に見えづらいという特徴がありますが、子どもたちに様々な影響を及ぼしています。貧困は経済的な貧困にとどまらず、周囲との中で人のつながりが切れてしまう関係性の貧困を同時に引きおこします。この関係性の困窮こそが孤立を生み、子どもたちを多くの困難に巻きこんでいます。


貧困の広がりを示すデータが他にもあります。
子どもの全体数は減っていますが、生活保護を受ける家庭で育つ子ども、準要保護児童(学用品や給食費などの援助を受ける児童)の数は下がりません。

 
「お小遣いは1か月300円」
 中学1年生の時に出会った母子家庭のAくんは4人兄弟の末っ子でしたがいずれも父親が違いました。仲の良い時はみんなで楽しく過ごせていましたが、一旦ぶつかり合うとそれはひどい状況になり、時には夕食をもらえないこともありました。お母さんに話しても「あんたが悪い」と余計に怒られてしまい、お母さんには相談できなくなりました。  ある時、体調不良で入院した病院の先生からこども食堂を紹介され、来るようになりました。最初は不安な様子でしたが徐々に慣れ、いろいろなことを話してくれました。なかなか学校に行けず昼ごろに起きてくると食事がなかったのでこの3か月はほぼ毎日カップ麺を食べていたこと。お母さんが怒りだすと激しい口調で「あんたなんか生まなきゃよかった」と言われること。お小遣いは1か月でたった300円だということ。入学式は行ったけどその後クラスで嫌なことを言われて行きたくなくなりました。


孤立する子ども
子どもたちが苦しんでいるのは、貧困の問題だけではありません。例えばいじめ。例えば複雑な家庭環境。様々な理由で学校に通えない/行きたくない子どもたちがいます。

 栃木県小学校の不登校児童は506人、中学校の不登校生徒は1,927人

「いじめにあって学校に行けない。もう死にたい」
当時、中学2年生だったAくんから相談のメールが入りました。最初は匿名のメールでしたが、メールで幾度もやり取りをし関係を築いていきました。それから約半年後、家族同伴で本人と話ができるようになりました。直接話ができるようになってから「学校に行きたくても行けない。今のクラスが変わっても行けるとは思わない。でも勉強しないと将来がないのでもう死にたい」と苦しい胸のうちを明かしてくれました。そこで、無料の学習支援教室(寺子屋)を紹介してみました。通い始めたころは緊張の連続で30分で帰ることもありました。しかし徐々に慣れ、3年生の8月ぐらいからは2時間は必ず学習するようになりました。特に自分のペースで進められるタブレットの学習で、不登校で勉強ができていなかった英語、数学の学習を5か月でマスターしたことで自信をつけました。Aくんは県立高校に合格して現在も高校に通っています。

 

子どもたちのために、できることを。

こうした子どもたちのために、私たちは何ができるのでしょうか。制度をより手厚くしていくことも大切ですが、制度ではどうすることもできない子どもたちもいます。そんな子どもたちのために私たちは、人の温もりをベースとした、手作りの、こどものための、こどもの家「キッズハウス・いろどり」をつくりたいと思います。

 

 



開設予定場所は、宇都宮市戸祭です。

子どもたちの過ごしやすい環境と、行きたくなるようなプログラム、困ったことを少しずつ解決していけるような機会をこれから皆様とともにつくっていきます。

 

「キッズハウス・いろどり」での活動 

食べる、学ぶ、遊ぶ、安心、を子どもたちにワンストップで届ける。

ボランティアのみなさんとともに、次の活動を行っていきます。

 

 

 

 

 

この「キッズハウス・いろどり」を開設することで、年間延べ1,400人の子どもたちの居場所をつくることができます。

 

 

この、「キッズハウス・いろどり」をオープンさせ、そして安定して運営していくためには、まとまった資金が必要です。
しかしながら、公的な補助などは受けず、子どもたちにとって本当に必要だと思うことができるように、気が付いた新しい課題にすぐに対応していけるように、「みなさまからの支援」で運営していきたいと考えています。寄付で運営される子どものための家をつくっていきます。 

「キッズハウス・いろどり」を、オープンし、安定して運営していくためには、3,000,000円の資金が必要です。

主な使途としては、
 ・建物の改修費(キッチンの改築、部屋の改修など)
 ・必要備品の購入
 ・こどもたちの食材、教材費、プログラム費
 ・通信費や光熱水費
 ・コーディネートスタッフ人件費

いつもお願い事ばかりではありますが、10年前に設立した一般社団法人栃木県若年者支援機構もこうして皆様からのご支援をいただきながら、活動を広げ、深めてきました。今回の「キッズハウス・いろどり」開設も、ぜひご協力をお願いいたします。大切に活用させていただきながら、子どもたちを支えていきます。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

2018年7月1日に正式オープンができるように準備を進めています。子どもの笑顔は社会のエネルギーだと思います。子どもを大切にする社会は、包摂性の高い優しい社会だと思います。子どもたちが、元気にこの街で育っていけるように、もし家でしんどいことがあっても大丈夫と思える場所があるように、キッズハウス・いろどりを運営していきたいと思います。子どもたちに優しい街を一緒につくっていきましょう。

 

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