2017/02/19 02:42

こんにちは。代表の八木澤です。本日は相馬子どもオーケストラの週末音楽教室についてご紹介したいと思います。

一般社団法人エル・システマジャパンでは、福島県相馬市や岩手県大槌町との協定のもと、現地での様々な音楽活動に対して支援を行っており、そのうち相馬市の子どもたちが参加する「相馬子どもオーケストラ」では、毎週土曜日・日曜日に週末音楽教室という弦楽器の子どもたちの練習を行っています。

土曜日は「ひつじチーム」と呼ばれる、初心者の子どもたちへ向けたレッスンと、希望する子どもたちに向けた隔週でのグループレッスンが行われます。また、日曜日の午前中は「バッハチーム」という、楽器を始めて1年以上が経つ中級者の子どもたちを対象とした練習、そして午後は「モーツァルトチーム」というさらに上手な子どもたちが集まる、上級者向けの練習が行われます。

エル・システマのプログラムとして特徴的なこととして、楽器を始めてまだ時間が経っていない子も合奏に参加して音楽の楽しさを感じられるように、個々の子どものレベルによっては簡易な音符に編曲した譜面(通称、B譜)を利用する点が挙げられます。B譜は上述の「"Bach"チーム向け」「"Beginner"向け」のシンプルな編曲で、 強弱や小節数は一緒ですが、指の動きのパターンを減らし、音域も狭めに、また音の数を原曲に比べてかなり減らした譜面です。
様々なレベルの子どもたちが一緒になって一つの音楽を作ることができる、そのような理念が日本のエル・システマでも浸透しているのです。

そういった工夫もあり、日曜の練習では、午前も午後も30名前後の子どもたちが参加しますが、やはり現地の先生だけでこれだけの人数の子どもたちを指導するのは大変です。そのため、私たちフェローは練習時の指導サポートをしています。パート練習などでは、フェローもヴァイオリンやチェロなど一つのパートを任せてもらい、各楽曲を少人数で練習していきます。

 

先週2月12日の週末音楽教室では、午前中のバッハチームの練習は基礎練習から始まり、3月12日のコンサートで演奏するモーツァルトの「ディヴェルティメント K.136」や、パッヘルベルの「カノン」を練習しました。
私は前述のB譜を演奏する小学校低学年の子どもたちのパート練習を担当しましたが、子どもたちも元気いっぱい、練習するより先生と遊びたいお年頃で、なかなか一筋縄ではいきません。5人の子どもたちが一斉に話しかけてきたり、かくれんぼを始めたり、とにかく自由です。
私も負けてはいられないので、曲に関する問いかけをして興味を集めたり、一緒に歌い・手を叩き・弾いてみたりと、子どもたちが少しずつ集中するよう試行錯誤しながら練習を進めていきます。

その日の練習が終わるときには「先生、B譜じゃなくて普通の譜面が弾きたい!もうB譜は弾けるよ!」という前向きな声が聞こえてきました。とても嬉しい反面、本当に普通の譜面でついていけるのか熟慮しながら現地の先生と相談したりと、考えることは尽きません…。

一日の練習が終わるときには私もへとへとになりますが、それでもまたボランティアに来たいと思えるのは、子どもたちのかわいさと一生懸命さゆえ。
フェローは子どもたちの家族でも何でもない、赤の他人かもしれませんが、定期的に通って子どもたちと仲良くなり、また彼ら彼女らの頑張りを目の当たりにするにつれて、近所のお姉さんのような気持ちになってくるのです。
技術面に限らず、精神面でもどんどん成長していく子どもたちを見て、普段の練習や演奏会で彼らの演奏を聞くと本当に感動し、自分たちも頑張らなければと強く思います。指導ボランティアという立場ではあっても、子どもたちからたくさんのものをもらっているのです。

2月19日はついに相馬での合同練習の日。相馬子どもオーケストラとフェローオーケストラ。この2つがどのような音楽を作り出せるのか、楽しみです!