2017/06/21 17:28

今回は、前々回の大会の様子について報告します。

世界天文コミュニケーション会議CAP2013は、2013年10月14日から18日に東欧のポーランドの首都ワルシャワのワルシャワ工科大学とコペルニクス科学センターを会場に開催されました。CAPは2005年にドイツのミュンヘンで開催されたのが最初で、CAP2013は通算5回目の開催となりました。初日の10月14日はワルシャワ工科大学でオープニングセレモニー。このあと、メイン会場をコペルニクス科学センターに移して行われました。コペルニクス科学センターは、ワルシャワの中心地からやや北東、ワルシャワ市内を流れるヴィスワ川の川べりに位置します。近くにはワルシャワ大学も。プラネタリウムを備えたとても立派な科学館で、2010年に開館したばかり。科学館のそばの道路には見学者のバスがたくさん駐車されていて、館内でも見学の子どもが元気いっぱいに各展示物を体験していました。

また、コペルニクス科学センターの名前の通り、そう、ポーランドはコペルニクスの出身地。市内にはコペルニクスの像、さらに、コペルニクス通りという名前の通りもあります。会議後には、コペルニクスの生家のあるトルンへのツアーも企画されました。余談ですが、ワルシャワはショパンやキュリー夫人の出身地でもあり、ワルシャワ市内にはショパン博物館やキュリー夫人博物館もあります。

さて、CAP では、毎回テーマが決まっていて、CAP2013では「Challenges in Communication of Astronomy and Space Exploration」日本語に直すと、「天文宇宙コミュニケーションへの挑戦」といったところでしょうか? 世界40カ国から約200 人が参加。特に、地元ポーランドからの参加者は多かったです。CAPはほぼ毎回プラネタリウムがあるところで開催されます。CAP2013でもプラネタリウムのある科学館が会場。ということで、プラネタリウムを使ったフルドームセッションが企画され、盛況でした。プラネタリウムの真ん中には日本でもおなじみのプラネタリウム投影機「メガスター」が。各国のフルドームのプログラムがデモ上映されたり、プラネタリウムを使った実践例が紹介されました。最近では大口径の望遠鏡で観測された高解像度のデータが取得されており、それを高解像度を維持したまた投影するのはなかなか大変、という苦労話的な発表が印象に残りました。このほか、2015年の国際光年に向けたパネルディスカッションやアンコンファレンス(Unconference)セッション、一般向けの公開講演会など多彩なプログラムでした。CAP2013の様子は、ストリーミングで中継され、日本でも中継越しに発表を視聴した人もいたようです。

今回、CAP2013 には日本から5人参加しました。いくつか発表内容を紹介すると、縣秀彦さん(国立天文台)が「国立天文台の天文教育活動の紹介」、佐藤奈緒子さん(和歌山大学)が、「電波天文学のアウトリーチ活動と電波望遠鏡の開発」、矢治健太郎(国立天文台、筆者)が「太陽科学における天文コミュニケーション」というタイトルで発表しました。

そして、CAP の楽しみとしては、まさに「コミュニケーション」をあげることができます。いろんな国の人との交流は毎回楽しみです。久しぶりに会った人、そして今回初めて会った人。レセプションや、昼食や休憩時間、あるいはたまたま隣の席同士、そういった機会に思い切って、たどたどしい、あるいは、あやしい英語で話しかけます。でも、意外と通じるもので、これが思いのほか楽しい。日本からの参加者はすでに述べた通りですが、今回、アジアからの参加者も例年より多く、香港、マレーシア、フィリピン、インド、インドネシア、スリランカといった国々から参加していました。彼ら彼女らとのコミュニケーションは各国の天文事情を知る絶好の機会です。CAP のあともSNS などを通して今も交流が続いています。

 来年、福岡で開催されるCAP2018では、海外からの多くの参加者を期待しています。
ぜひ、CAP2018に参加して、いろんな国の人たちと交流を深めてほしいと思います。また、われわれのご近所のアジア・太平洋地域の発展途上国からももっと参加してほしいと願っています。そこで、今回の会議「CAP2018 in 福岡」に、より多くの途上国の方々が参加できるよう旅費の支援を行いたい。その想いから、今回クラウドファンディングに挑戦しています。ぜひ、クラウドファンディングにご協力いただければ幸いです。