▼はじめに

吸い込まれるような天体写真を見てワクワクする、壮大な宇宙の話を聞いて悩みが軽くなる、そんな経験はありませんか?その感覚は、天文学が短期的な経済活動における有用性で判断されるものではないことを示しています。天文学は、過去と未来を結ぶ現代社会に生きる私たちにとって、文化・芸術、教養の一部として、人間の幸福に不可欠な要素のひとつなのです。

 約400年前、私たち人類は地球中心の宇宙から太陽中心の宇宙へコペルニクス的転回を果しました。そして、もう一つの大きなパラダイムシフトを経験するかもしれない日が近づいています。2020年代に完成するいくつもの次世代大型望遠鏡は、地球外生命が存在する系外惑星を見つけ出す能力を秘めているのです。

そして更なる将来、知的生命体との対話すらも夢物語ではなくなるかもしれません。長年に渡り一方的に天からの文「天文」を読み取ってきた人類が、いよいよ天に向かって文を送る時代が近づいています。

▼CAPとは? 

CAP(世界天文コミュニケーション会議: Communicating Astronomy with the Public Conference)は、天文学の普及や教育を含む「天文コミュニケーション」の取り組みに関する様々な意見や経験を交換する場として、2005年に設立された国際会議です。

天文学の研究者、研究機関の広報担当者、学校の理科の教員、プラネタリウムや科学館のスタッフなどさまざまな立場から、「天文コミュニケーションを実施する人たちが一堂に会する場」です。この会議を通じて、効果的で実績のある数多くの科学コミュニケーション事例が紹介されています。

主催は、国際天文学連合(IAU)コミッション2「Communicating Astronomy with the Public」です。国際天文学連合には、世界の98の国と地域から10,000名が加盟、国際協力を通じあらゆる面で天文学の発展を促進し保証していくことを使命としています。

そのCAPが、2018年3月に日本で開催されることになりました。複数の立候補都市から2回に渡る審査会の後、最終選考候補地5市が選出され、その中から福岡市が選ばれたのです。アジアでは、2011年の北京に次いで2度目の開催です。会場は、2017年10月に新しく開館する福岡市科学館です。

▼前回大会(CAP2016)の様子

前回の第6回コロンビア大会は南米で初めての開催でした。世界各国から216名が訪れ、そのうち、南米からは50名、日本からは9名が参加しました。5日間で127件の発表があり、活発な意見交換が行われ、日本人参加者たちもワークショップを主催する、座長を務めるなど存在感を示しました。

コロンビア大会からは、レクチャーや口頭発表だけではなく、参加者が天文コミュニケーションの新しいスキルを得るためのハンズオンのワークショップが増え、議論の時間が多く持たれたことも、大きな特徴でした。「インクルーシブな天文学」と「Mitakaで宇宙旅行」の2つのワークショップを実施した日本からの参加者は、「日本の活動を世界の人々に知ってもらい、将来の国際連携に向けて他国からの参加者と強いつながりをもてた」といいます。さらに参加者それぞれが、それぞれの立場から情報を発信し、また海外の参加者から多くの知見を得ることができたのが前回大会でした。実行委員長を務めたIAU国際普及室のチャン・シーリュン氏は、「回を重ねるごとにCAPコミュニティーが大きくなり、それがいかに大きな影響を社会に与えてきたかをこの会議で見られた」と語っています。

南米開催ということもあり、例年よりもアジアからの参加が少なかった前回大会。逆に、今度の日本大会では、アジアの国々からの参加のハードルは、いつもよりも低いはずです。

 

▼プロジェクトを立ち上げた理由

近年の「宙ガール」の増加、公開天文台数は世界一、プラネタリウム数も世界二位など、日本における天文・宇宙への関心は高く、星や宇宙を身近に感じる国民性があります。皆さんもこうした施設で、友人や家族との時間を過ごしたことがあるのではないでしょうか。また、すばる望遠鏡や小惑星探査機はやぶさの成果など、幾つかの分野で日本は天文学研究のトップランナーで、今では日本は米国、英国に次いで天文学者が多い国です。

しかし、天文学は観測施設の建設や整備、維持、そのための技術開発など、研究には多額の資金が必要な学問です。そのため、欧米諸国に比べて経済的な制約が厳しい発展途上国での天文研究は遅れがちで、国際的な支援も不十分なことが指摘されています。

残念ながら、過去のCAP会議にはアジア太平洋地域の発展途上国からの参加は充分ではありませんでした。参加を希望している天文系の科学コミュニケータや天文学者、学生は潜在的に多く存在するにも関わらず、旅費の支援が不十分で、参加ができなかったのです。 その結果として、 豊かな資金に頼らず様々な工夫を重ねて活動しているかれらの経験や知恵を聞くことができないのは、世界中からの他の参加者、ひいてはすべての人たちにとっても大きな損失です。

そこで、今回の会議「CAP2018 in 福岡」に、より多くの途上国の方々が参加できるよう旅費の支援を行いたい。その想いから、今回クラウドファンディングに挑戦しました。

 

 

アジア太平洋地域からたくさんの参加者を!

今回のCAPで得られる知見を発展途上国からの参加者が母国に持ち帰ることで、各国における天文学・天文科学文化の発展、市民参加の推進などが期待され、現在はなかなか星や宇宙の話に触れる機会の少ない発展途上国の方々にも、天文の楽しさを伝えることにつながります。また途上国での工夫を凝らした活動事例を知ることで、すべての参加者の活動の幅が広がることが期待できます。国境を越えて、言葉や習慣、信仰や信条の違いを乗り越えて人類が一つになっていくことに寄与することが本会議の目的の一つです。

集まった資金は、アジア太平洋地域を中心に発展途上国からの参加希望者への旅費・参加費支援に使われます。

支援対象としては、例えば天文コミュニケーション活動で豊かな実績を持つ、ミャンマー、カンボジア、ネパール、モンゴル、フィリピン、ベトナム、インドネシア、ペルー等を想定しています。このクラウドファンディングでは、一人当たり10万円の支援で、30名の参加を目標に活動します。

資金援助を得てCAP2016に参加した科学コミュニケータの言葉です。

「国際会議に参加できたことで、私は世界中の人々と交流して、知識や事例をやり取りし、これからの普及活動における新しい見通しを得ることができました。」
     ~T.V.ベンカテスワレン博士(科学コミュニケータ/インド)

これは、すべての参加者に共通した思いです。

また、CAP2018 in 福岡では一般向けのイベントも開催します。一定額以上の支援者の方にはリターンとして参加券もお渡ししております(注)。費用の支援だけではなく参加者の一人としてCAP2018 in 福岡を盛り立てることができるのです。

(注)参加が難しい方へは別途リターンをご用意しております。

▼CAP2018 in 福岡 

  CAP2018 in 福岡 公式サイト(英文のみ)

※2018年3月末の実施のため、プログラムが最終的に確定するのは、2018年1月頃です。
 公式サイトにてお知らせします。                   

 〇開催日程   

  
 〇topics
  

 〇Special topic


 〇主な招待講演者

        
 ・海部 宣男 (IAU前会長)
         ・村山  斉 (東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構初代機構長)
         ・NASA、ESA等主要研究機関の広報責任者
         ・発展途上国の天文機関の所長及び広報責任者  他

 [主催]

       ◆国際天文学連合(IAU) C2分科会
        (天文系科学コミュニケーション)

       ◆福岡市・福岡市科学館

       ◆大学共同利用機関法人自然科学研究機構
        国立天文台(NAOJ)                  



発展途上国の研究者へのご支援・皆さんのイベントへのご参加
お待ちしております
一緒にCAP2018 in 福岡の成功を!!
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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