2020/02/07 20:53

今作『サマショール ~ 遺言 第六章』の中で、草を刈る場面がある。帰村された飯舘村方々が、村内地名「まえた」の文字を植栽で記した斜面を、きれいにされていた。


「まえた」の地名を表出させることは、地元への想いがこもった行為ではあるが、映画の中では、その斜面の眼下に除染作業で出たものを詰めたフレコンバックが映る。「まえた」を復活させる方々の姿とフレコンバックが同じ画面に映る。


帰村を決断された村方々は、村で日常を過ごし、これからの生活を考えなければならない。そして、常に放射能に注意をはらわらなければならない。


飯舘村帰村が、放射能抜きの復興であれば、どんなによかったか。この映画を観る時、草を刈り、畑を耕し、種をまく村民の姿の背景にある、目に見えない「放射能」を常に感じさせられる。「まえた」の草刈りとフレコンバックの場面は、その象徴でもある。


スタッフ記