2020/03/25 09:00

少しずつ自分で家族信託の仕事を受任することが出来てきた頃。一定の自信を持っていた私は、以前からやりたかったことを行動に移しました。それは、沖縄県内の金融機関と一緒に、全国初の家族信託業務の標準化を行うことです。

それまで東京や福岡で書籍を出している方の研修を聞いていても、「家族信託の契約書に雛型はない。」というのが常識のように語られている頃でした。ですが私は、法律の契約書なんだから、一定の割合で標準化は出来るはずだし、出来ないとすれば信託法という法律に不備があるか、法律家の能力に問題があるのではないか、と考えていました。

「沖縄県内の金融機関と一緒に、全国初の家族信託業務の標準化を行う。」の目的は2つありました。

1、沖縄発のビジネスを産み出すことで、県外から資本を稼ぐ。

2、金融機関が標準化を行い、利用者の窓口になってもらう。イレギュラーな案件は私のような士業に担当させてもらい、業務の棲み分けを行う。→私の利益にもなる。

そして行動に移します。県内の金融機関(ゆうちょ銀行を除きます。)全ての本店に飛び込みで行きました。1.5m×1mのフェルトボードに図解した表を貼って、標準化したチェック方式の信託契約書と小冊子を持って。 

まずは(株)琉球銀行。要件を伝えると、担当の法人事業部がいないので、名詞だけください、と言われました。その後連絡が来ることはありませんでした。

次は(株)沖縄銀行。本店の2階に案内していただき、10分ほど説明をさせていただきました。答えは、現在顧問の税理士や司法書士と勉強会や研修を行っていて足りている、必要ない、ということでした。

コザ信用金庫。要件を伝えると、上の階から担当者が降りてきました。説明の準備をしようとして書類を取り出すと、「時間ないんで説明は早めにして下さい。」と言われたので、カチンときて説明せずに帰りました。

沖縄県農業協同組合。「担当者がいないので、渡しておきます。後で連絡させます。」その後、連絡はありませんでした。

(株)沖縄海邦銀行。本店で説明資料を渡すことが出来ました。しかし、その後事務所近くの支店から電話が来て、話がある、ということで向かいました。副支店長の名刺を持つ方が10分ぐらい説明してくれました。「私が本店にいた頃も、あなたのような方が毎日営業に来て、その度に説明を聞いたりするのが若手の仕事で大変だった。仕事が忙しいので、正直そういうことは止めて欲しい。」というようなことを言われたので、直ぐに帰りました。


2015年。沖縄県内の金融機関と一緒に、全国初の家族信託業務の標準化を行うことは、見事に失敗しました。考えが甘かったのかもしれませんが、あの時は怒りと無念さしかありませんでした。