2020/04/02 21:00

こんにちは、八神です。昨日4月1日、千葉県からの視察を無事に終え、正式に「Le Port(ル・ポール)」が開所となりました!!

これから児童相談所を通じて、子どもたちを、Le Port(ル・ポール)に受け入れられるようになります。まだ細かい準備が残っていますので、急ピッチで進めていきます!

(ベランダのタイルはスタッフで張り替え綺麗になりました。)

クラウドファンディングも早いもので中間地点。
現時点で、目標金額の約6割を達成することができています!皆さまからのあたたかい応援に、日々感謝の気持ちでいっぱいです。

ですが達成にはあと約40万円足りず、まだまだ多くの方からのご支援が必要です。

本日は私たちが出会ってきたある女の子のお話をお届けさせていただきます。
ぜひご一読いただき、応援をお願いいたします!

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こんにちは。ダイバーシティ工房で八神と一緒に働いている池田です。

私がこれからお話するのは、今回の自立援助ホーム開設のきっかけの一つになった、シェアハウスのこと。私が生活拠点としている場所です。

このシェアハウスは、ダイバーシティ工房で働くスタッフ寮となりますが、同時に家に居場所がない子どもたちの生活を支える場としての役割も担ってきました。

2017年に実施されたクラウドファンディング「帰る場所は家だけじゃない。安心して家出できる場所をつくりたい。」

私たちはこのプロジェクトを通し、「地域の学び舎『プラット』」を立ち上げました。

https://camp-fire.jp/projects/view/32467

このプロジェクトの声かけを行っている最中から、「本当に帰る場所がない」という方からの連絡を何件もいただいてきました。

その連絡はすべて女性。彼氏からのDVを受けていて避難場所を探していたり、親からの虐待により高校に行けなくなってしまっていたり、家庭の状況がいいとは言えないような方々ばかりでした。

(新聞に掲載された「プラット」の記事をみて、「今から行っていいですか」と突然連絡をしてきた子もいました。)

「プラット」は一時的なシェルターとしての役割を備えていましたが、生活の場として長期的に利用していくことが難しい状況でした。

そこで地域の機関と連携をとり、支援方針の相談や長期的な支援の必要性の有無を判断した上で、「プラット」に繋がった子はこのシェアハウスで過ごすことを選択できるようにしていきました。

そのうちの1人がさきちゃん(仮名)です。
彼女は当時まだ高校生でした。笑顔がパッと明るくハキハキとしていて、身なりのきれいな、見た目はいわゆる今どきの女の子です。

しかし彼女は父親からの心理的虐待を受けていました。
父親の度がすぎた過干渉と、時折見せる暴力的な態度から、だんだんと恐怖心を持つようになっていったさきちゃん。

母親は、父親のさきちゃんへの関わり方を問題だとは認識しておらず、周りに助けを求めても助けてもらえない、そんな状況が続いていたのです。

さきちゃんが恐怖を感じる決定的な出来事があり、ついに家を出ることを決心し、ダイバーシティ工房を探しあて電話をかけてくれました。
さきちゃんが助けを求めてきた時、電話の声は恐怖と緊張で震えていました。

(家以外に行ける場所を探して「プラット」を見つけてくれました。)

プラットでの一時保護を経てさきちゃんがシェアハウスに来てから、私と彼女の生活は約半年ほど続きました。

そんなさきちゃんとの生活で一番印象的だったのは、夜中にわーっと泣き出した日が1日だけあったことです。

個別の部屋には基本的に立ち入らないようにしているのですが、その日は夜の1時すぎに、泣き声が聞こえてきました。驚いて周りの自宅かと耳をすますと、やはり隣の部屋から聞こえてきます。

気になって様子を見にいくと、目を真っ赤にして泣いているさきちゃんがいました。
理由をぽつぽつと話しながら、自分の過去のことを話してくれました。
30分もないくらいの時間でしたが、彼女の背中をさすりながら、話を聞き、気持ちを落ち着かせておやすみをしました。

次の日からは、いつも通りの明るいさきちゃんが起きてきて、美味しいものを前にしてニコニコと過ごしていました。

その日の出来事以外は、なんてことない日常生活です。
金曜日の夜にはスナック菓子を食べながらテレビで映画を見たり、一緒に鍋をしたり、クリスマスパーティをしたこともありました。

美味しそうなおやつを見つけたら人数分を買って帰ったり、誰かが体調を崩したらおかゆを作ってメモを置いていったり。
私が実家で子どものときに母にしてもらったことや、自分が同じ立場だったらどうしてほしいか、そんなことをぼんやり考えながら、彼女と過ごしてきました。

(お菓子を食べながら、ポロッと本音が出たときもありました。)

他愛もない会話の流れで、お互いの経験や過去の出来事を話すこともありましたが、淡々と話を聞き、私なりにさきちゃんの言葉を理解しながら、私だったら…と想像しながら丁寧に言葉を返していきました。

仕事を見つけ、一人暮らしの目処が立ったさきちゃんが家を出るときに、こんな手紙をくれました。

・・・・・・
「一緒に暮らして、いろんなことができて、よかったです!」
「最初の方に、妹みたいって言われてとても嬉しかったです。」
・・・・・・

さきちゃんにとってここでの暮らしが、家庭のような居心地のいい時間になっていたのかなと思うと、嬉しくもあり、少し寂しくもあり、また彼女の新たな一歩を誇らしくも感じました。

10代の女の子は、特に福祉の支援が届きにくい状況下で日々、懸命に過ごしています。
過去の経験が浄化されていくにはとてつもなく長い時間が必要で、彼女たちがたった一人で乗り越えるのは、とても大変なことです。

さきちゃんのように、突然フラッシュバックが起きて眠れない夜を過ごす子も少なくありません。彼女との生活から、それをふと話せる人がいる安全地帯があることが、本当に重要だと知りました。

自立援助ホームに繋がる子どもたちの多くは、さきちゃんよりもさらに複雑な家庭環境で育ってきています。

彼女たちが自信を持って社会へ巣立っていくお手伝いを、よりよい基盤を整えしっかりとした援助のある中で、実施していきたいと考えています。

今回のクラウドファンディングの資金は、ホームに入居する子どもたちの生活援助金ともなります。
彼女たちがふと辛くなったとき、みなさんのご支援が、今日、明日、そして未来の彼女たちを支える力になります。
ぜひ引き続きご支援をよろしくお願いいたします!

(「プラット」立ち上げクラウドファンディングが成功した時。みんなで万歳!)