2020/04/05 06:35
      • 応援コメントの15人目は畠山 茂陽(はたけやま・しげあき)さんです。

      • NPO法人ファイブブリッジ理事長/一般社団法人SDGsとうほくアドバイザー/河北新報社勤務です。

        私とは、友達以上家族未満の新しい概念の親戚「ネオ親戚」(畠山さんの造語です)。
        ■略歴
        1969年宮城県仙台市生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業後、1993年河北新報社入社。
        現在は、営業部で新聞力を活かし、企業のプロモーション支援を行っている。2006年から五橋地区に大人の交流部室「ファイブブリッジ」をオープンし、情報交流の場を運営。2018年よりSDGsとうほくのアドバイザーを務め、多様なセクターの人と人をつなぎ、新しい価値を生み出すニュースの創造を応援し続けている。


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      • 応援コメント ★どうしてこの地で暮らし続けるのだろう★

    • 『水害で10回以上も苦しめられている八島さん。どうしてこの場所に暮らし続けるのだろう?』

      大変失礼ながら、台風19号による被害を受けた「やしまや」を訪れる際の最大の私の問いだった。

      丸森・耕野地区に私がはじめて訪れたのは東日本大震災前。「藁の家を作っている一家がいるので手伝いにいきませんか?」との知人からの誘いからだった。一家は福島第一原子力発電所事故の数日後、放射線量を懸念し旦那さんの実家のあるイギリスに転居したと聞いた。完成寸前だった藁の家が未だに放置されている姿がとても寂しく目に映る。

      その耕野地区に生まれ住む八島哲郎さんとは、私が理事長を務めるNPO法人ファイブブリッジのビジネスセミナーのひとつ「宮城のこせがれネットワーク」のゲスト講師としてお招きしたことからはじまる。八島さんから水害と共に生きる「やしまや」の存在について丁寧に話をしていただいた。

      手塩にかけた特産物の筍を震災後は放射線量が高く出荷停止となるも、それでも育つ筍を廃棄処分していたとの話。「かぐや姫育て隊」との活動は、「せっかく育ったタコノコを収穫し捨てる」というものだ。生産性を感じることができないとてもせつないその活動を「かぐや姫育て隊」と名付けた八島さんのひたむきな姿、そして「この地に生きるんだ」との強いメッセージにグッときたのだった。

      全国各地で毎月11日に東北を想う酒場「きっかけ食堂」を仙台でも2019年3月にスタートしてすぐの4月、メインメニューを旬のタケノコと決めたこともあり、久しぶりに八島さんにフェイスブックでメッセージを送ったのは訪問する前日。直前の依頼にも関わらず、学生メンバーの2名と共に伺った。「かぐや姫」が出てくるのではないかと見紛うばかりに綺麗に整備された「タケノコ畑」を丁寧に解説。忙しいにもかかわらず、タコノコ堀も体験も時間を割いて案内いただいた。

      ★役に立つことができるのだろうか…★

      そして2019年10月12日、「やしまや」をあの台風19号が襲う。

      私の職業柄、情報を広くキャッチし少しでも多くの人に伝えることが自分の役割だと認識している。ひとつの地域に深く入るのことを震災後も意識してあまりしてこなかった。きっかけ食堂の集いで東京を訪問しメンバーと帰仙する途中、災害後真っ先に「やしまや」の状況を発信した宮城県庁の漆山さんが復旧に向けたボランティアに行かないかと問いかけてきた。

      「1ヶ所に深く入っていく意義はあるのか」「何ができるのだろう」など逡巡した。深夜、仙台に戻り一夜明け、急遽仕事は休みに。現状をこの目で見たくなり、ハンドルを握り締め車を丸森に向かわせた。

      「やしまや」に辿り着き、ちょうどお店にいた八島さんと言葉を交わすことができた。

      「よろしければ、また来てくださいね」「無理ない範囲で、もし時間があれば」と今回もとてつもなく大きな被害を受けながら、「他の人の方が大変でしょうから・・・」と気遣いをみせる八島さんなのだった。

      10月13日日曜日 午前5時38分 阿武隈川の対岸より撮影
      最高位より30cmほど水が引いています。

      ★水に悩まされ、水に助けられる★

      漆山さんの熱量に押されながらも、問いの解はやはり現場にあるはずだと「やしまや」のボランティアに向かった。11月4日だった。

      水は既に引いていたものの、お店の商品や什器や備品が水没し泥まみれ。それを洗浄してもらいたいとのこと。泥を除去し洗うにもまずは水が必要だった。「水に悩まされながらも、やはり水が必要」とはなんとも皮肉なもの。その水も私有の水道は寸断され届かない。山の上の集会所に通じる水道から汲み上げた水を軽トラックに載せた大型タンクで運ぶことから始まる。

      とてもシンプルな作業ながら、私にできることで八島さんに喜んでいただける重要なミッションだと感じることができた。水の勢いできれいになっていく什器を眺めながら、「なんだかいい汗を流せて、心地いい時間だなぁ」と悦に浸っていた。




    • 水道施設が壊れたため、洗浄用水運搬をお願いしました。
      マニュアル車を運転できる人が減っています。


    • 高圧洗浄機用に使う水タンクに移し、また水汲みを依頼しました。
      畠山さん、漆山さんのコンビネーションは最強です干し柿用のコンテナ(箱)の洗浄を、きっかけ食堂の
      チームに依頼。おかげさまで、綺麗になりました。
      ★季節を感じる日々の作業★
      次の週、「やしまやボランティア」に繰り出す。引き続き洗浄物が多い。そこに相当な鉢数のパンジーを今野高さんがトラックいっぱいに運んできた。パンジーで「やしまや」を演出する任務が増えた。翌週は柿の収穫作業。オレンジ色にデザインされた木々がみるみるうちに実をはがされ、その代わりカゴがいろんな大きさの柿で山積みとなっていく。こうした季節ごとの作業の連続が八島家の糧となり、地域の糧となっていくことを想像するとなんだかドキドキするシーンに覚えた。
      そして、2019年11月30日。八島さんが開店日を宣言した通りの日に「やしまや」が再オープン。
      八島さんとの会話を楽しみに来店するお客さんとの触れ合いを少しでも長く、と私は黒子作業に徹した。この頃になると耕野の空気がとてもおいしく感じ、ワクワクしながらお手伝いにお邪魔するようになっていた。

    • 今野高さん、トラックにパンジーを満載して到着。
      店の再オープンに花を添えて下さいました。その気持ちに感謝です。

    • 厄介者の土砂が、キレイな花壇に変身。今野さんのアイディアです。
      谷さん、お手伝いありがとうございます。
      畠山さん、パンジーを植える準備、スコップ姿が似合います!?


    • 干し柿用の柿の収穫もお手伝いいただきました。
      収穫方法、柿の実の枝処理など、その道その道のやり方が。

      ★仕事の中でネオ親戚を応援★

      河北新報社の仕事の中で八島さん一家の応援はできないかと、私がプロデュースする「河北新報生活」に登場いただくことを画策した。これなら東北・宮城に住む42万世帯の人々に、災害に苦しめながらも丸森・耕野で豊かに生きる八島家の存在を伝えることができる。

      八島さんが河北新報にどのように関わっているかがメイン取材となるが、どうしたら「やしまや」のさらなる応援につながるかと考えた。「そうだ、メイン写真に八島さんをはじめ、奥さま・お嬢さん・おばあちゃんが一緒に登場し、やしまや商品を手に取ってもらえたら…。それがひとつの応援写真になるな」と。

      「友達以上家族未満の関係性」を「ネオ親戚」と私が表現してから15年。まさに新しい概念の関係を今回の災害をきっかけに「やしまや」に集う皆さんとの絆と共に築けたのだろう。

      家族一同の笑顔の写真、カメラマンの腕前に脱帽です。2019年12月、筆甫の吉澤さんとともにご紹介いただきました。

      ★ウッドデッキが不可欠な理由★

      「やしまや」の皆さんを「ネオ親戚」と慕うようにになってようやく、八島さんに冒頭のとても不躾な質問を雑談の中でしてみた。

      「そうだねぇ。やっぱり、ここにみんな集まってくるからねぇ…」

      「なぜここに住み続けるのか」。そうなのだ、たとえ何度も何度もさまざまな災害に遭ったとしても『「やしまや」がここにあるから、人が集まってくる』のだと。

      アットホームかつハートフルな人と人の交流があるからこその「やしまや」。人が集い、魅力的な人同士が対話することこそが、耕野地域の大きな価値にもつながっているのだろう。

      流されたウッドデッキを「やしまや」に復活させることは、まずはゆるやかに人が集う場として必ずや必要な一歩なのだ。

      「八島さんはどうしてこの場所で暮らし続けるのだろう?」

      この問いかけの解は、丸森・耕野の風景と空気を存分に味わいながら「やしまやのウッドデッキ」で小1時間、いや半日は微睡んでみることで、きっとわかるに違いない。

    • 12月31日、ネオファミリー大集合。

    • 再オープンの日、畠山さんはじめ、きっかけ食堂チームの
      皆さんにお手伝いをいただきました。
      みなさん笑顔満開!

    • ネオ親戚、ネオファミリーならではの光景です



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  • 畠山さん、ありがとうございました。こせがれネットワーク、そしてきっかけ食堂の皆様と繋がれたこと、私のその後の人生に大きな力となりました。ご紹介いただいた畠山さんには何度お礼を言っても足りないほどです。私の人生のみならず、皆さんの人生にも影響を与えてしまったようです。
それこそ「ネオ親戚」、「ネオファミリー」ですね。