2020/04/26 22:52

新型コロナウイルス:国境なき記者団、日本の緊急事態宣言で報道の自由に関する懸念を表明

原文

国境なき記者団(RSF)は、緊急事態宣言により政府からの要請を受ける可能性がある企業や団体から、報道機関を除外するよう日本政府に要請する。また、いかなる場合も報道の自由が担保されるよう、法律の改正を求める。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受け、日本政府は4月7日、緊急事態宣言を一部の都府県で発令した。特別措置法に基づき、政府は企業や団体に対し「要請」を行うことが可能になり、企業リストにはNHKも含まれる。特別措置法には曖昧な点があるため、メディアの編集権の独立性が侵害される可能性があると懸念されている。

国境なき記者団(RSF)は、安倍晋三首相に対し、NHKを対象から除き、今後その他のメディアを対象に加えないよう求める。また、報道の自由を担保する日本国憲法と放送法に従い、特別措置法を速やかに改正するよう求める。

RSF東アジア支局長・セドリック・アルビアニは「公衆衛生上の危機に直面した際、当局による対策や、感染拡大防止のための推奨事項に関する独立した情報は不可欠だ」と述べ、日本政府に対し「編集の独立性と透明性を担保」するよう求めた。

厚生労働省は3月15日、ツイッターに不適切なコンテンツを投稿したとして謝罪した。また、3月5日には、新型コロナウイルス に関するテレビ朝の報道を攻撃するようなツイートが投稿された。 

2012年に、保守派の安倍晋三氏が首相に就任して以降、多くのジャーナリストが、メディアに対する政権の圧力が高まっていると懸念している。安倍政権は、NHKを含む報道機関の編集の独立性に対する介入を何度か試みている。

2017年、言論と表現の自由に関する国連のデービッド・ケイ特別報告者は、日本における報道の自由に対して重大な懸念を表明した。2019年には、さらに報道の自由が侵されていると述べている。日本は、2019年の報道の自由度ランキングで180ヶ国中67位だった。

(翻訳:丹原美穂)