2020/12/26 13:00

どーもー。ゆか先生です。え?誰?(笑)
NPO法人Reジョブ大阪の理事、松嶋有香です。
NPO法人Reジョブ大阪では、雑用をしています。これを雑用と呼んでいいのか分かりませんが、主にSNS発信、メルマガ執筆&発行、クラファン手続き、書籍の編集と入稿、オンラインイベントの司会、動画の編集、マスコットキャラクターのグッズ作りなどが主な仕事です。雑用ですね(笑)
チーム脳コワさんでも、主に雑用をしています(笑)

で、本業は国語の先生。作文で子どもの思考言語、表現言語を鍛えるトレーニングをしてます。
ま、仕事なんて、人それぞれなんで、どうでも良いのです。
大事なのは、障害者でもない、その家族でもない、普通に仕事しているただのおばさんが、なぜこの障害の支援をしているNPOで理事なんてしているのかいうこと。

皆さん気になりませんか?多分気になると思うんです。だって、本当によく聞かれるから。


こんなほったらかしになっている障害があるなんて!

私がこの障害のことを知ったのは、ひょんなきっかけで、言語聴覚士であるNPO法人Reジョブ大阪の代表理事西村さんの患者さんの手記を読んだこと。

原稿用紙のマス目を無視して、すべての行で文字が列が左に曲がっていました。

なんなん?なんでこの人、こんな曲がるの?
てか、文章もめちゃくちゃなんだけど。どうなってるの?
え?仕事なくしたの?なんで?

今思うとかなり失礼なことを質問したと思います。
でも、西村はこう答えました。

「ひどいやろ? あんまりやろ? この障害、実は支援までたどり着けていない人がおるねん。私はなんとかそういう世の中を変えて行きたいねん」

私は「全くもってその通りだ!」と頭が沸騰するくらい思ったので、西村のNPO法人設立のお手伝いをしました。主に文章を書く仕事です。

誤解のないように先に言っておきますが、いちおう、高次脳機能障害を支援する仕組みはあります。ただ、この障害があまりに知られていないこと、そして、診断も付いていない人がいること、脳の障害であるゆえ、自分自身で手続きできないっちゅーのに、めっちゃめんどくさい手続きを経ないと支援にたどり着けないこと。支援が十分かどうかの問題もあるかと思うんですが、その支援にたどり着けない人がいるのは、もっと問題だと思いませんか?

西村の言う通り、この社会を変えていかないと!
そもそも、この状態を世の中に伝えていかなければ!
西村の周りでそれが文章化できるのは私だけやろ!(←時々登場するエセ関西弁はご容赦ください)
とその当時、思った次第です。何でも手伝うよ!
ところが、いざNPOを登録しようという時に理事が1名足りないという事態になってしまったのです。

「これはもう私がなるしかないのでは?」……と一瞬思ったのですが当時私は、すでに多忙でした(笑)

自分の仕事でも大勢の生徒を抱えての自営業。他に、講演をしたり、セミナーを開いたり。その上、青少年健全育成委員会、子ども会、また当時は勝間塾(何のことか分からない人はググって)でも遠足などのイベントを担当していましたし、マンションの理事長もしていましたし、その上なんと、ロックバンドも組んでいました。
もう、睡眠は会議に向かうエレベーター内で立って取るしかないほど忙しい生活をしていました。

友達がこんなことで困ってるんだよね

と、家族に相談したところ「ぷ。どうせ、それも、やりたいんでしょう?(笑)」という返事が。

困っている人がいると放っておけない私の性格をよく分かってくれている、家族に感謝です。


明日あなたがなるかもしれない高次脳機能障害

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血といったいわゆる「脳卒中」、または交通事故や転倒などによる頭部外傷などにより、記憶や行動に障害が残ります。症状により、日常生活または社会生活に制約がある状態が高次脳機能障害です。

こう聞くと「わ、難しい病名が並んでいるな。私には関係ないな。」って思いませんか?
私もそう思っていました。この障害を知るまでは!

でも例えばこのケース見て。

・自転車で転んだだけ。
・網棚から荷物が落ちてきて頭に当たっただけ。
・無事退院はした。病名は脳梗塞。

こんな人たちが、病院を退院したあと、どうも今までの自分と違う感じになってしまうんですよ。んー、まだピンときませんかね。

・会社を経営していた社長さんが、足し算ができなくなる。
・本を書いていたくらいのライターさんが、折り紙が折れなくなる。
・進学を望み勉強を頑張っていた生徒が、授業についていけなくなる。

この人たちは、私が実際に目の当たりにした人たちです。

そして、脳の障害であるがゆえ、自分の障害を自分で説明するのが難しい、分かってほしいと思って話しだしても、急に具体的であれなんですが、相手の薄毛が気になって気になって、話に注意が向けられなくなる。それどころか、「禿げ」と言ってしまう。自分が障害者だと思えず、入院させようとする家族に罵詈雑言を投げつける。

ふぅ。書いててしんどくなってきました。

そして、一番大事なことをお伝えします。「本人がそれをとても苦しいと思っている」んです。

でも想像できないでしょう?

例えば道でばったり会ったおじさんに「デブ」って言われたら、いや確かに私太っているけど、なんて失礼な人だ!と思うでしょう?
でもそのおじさんが「私は今、何ということを言ってしまったのだ!大変だ!なぜ言ってしまったんだ!」ってモーレツに悩んでいたらどうですか?

そういう障害が存在するんです。
そういう人たちって、もう、どう考えても支援の手続きとか自力でできなさそうじゃないですか。一人暮らしの人なんて、いったいどうするんでしょう?


家族だってびっくり

例えば、私の旦那はとても穏やかな人で、結婚して25年、一度も声を荒らげたことがないんですが、もし、彼がこの障害を負って、毎日私の悪口しか言わなくなったら、私は結婚生活を続けられるかどうか、自信がありません。対人の仕事なので、傷ついた心のまま仕事をするのは無理ですし、何よりショック大きいです。

まあ、彼も歳も歳です(65歳)し、障害じゃなくて、認知症かな?とか思うでしょう? 普通。でも、ここも重要なんですが、認知症である場合と、高次脳機能障害である場合は、リハの方法や支援の仕方が全然違うんです。これもこの仕事をするようになって分かったこと。

また旦那の例で悪いんですが(笑) もし、彼が認知症になったら、私は彼の分も稼がないといけないので、施設でみてもらうと思うんです。多分。で、彼が楽なように、過ごさせてくださいといいますね。ボーっとしているようなら声をかけないでくださいとか。

でももし、彼が脳損傷による高次脳機能障害なら、私はめちゃくちゃリハビリをして、彼に少しでも元に戻ってもらおうとするでしょう。ゆっくりですが脳は回復するんです。

でね、どれもこれも、事故にあってから、病気になってから、知ることなんです。本人が自力で調べることなんです。

は???

そういうのって、お医者さんが懇切丁寧に教えてくれるんじゃないの?

出産の退院時に色々な企業さんから育児グッズもらうみたいに、退院したあと、どんなサービスが受けられるかてんこ盛りに教えてもらえるんじゃないの?
って思いません?
私もそう思っていました。この障害を知るまでは。
そもそもこの障害があるということを、本人も病院も気づかないことがあるなんて、信じられないでしょう?
もちろん、めちゃくちゃ重度でそれどころじゃない人も、逆にうんと軽く済んで、日常生活に支障がほとんどない人もいるんですけど、その中間、困っている人はあなたが想像する以上にいるんです。

私はこんな性分なので、勢いあまってNPOまで立ち上げてしまいましたが、もっと普通の人は、例えばクラウドファンディングの形にすることで、支援しやすくなるって事実もあると思うんです。
日本人は「頑張って!」と現金を渡すのが恥ずかしい民族でもあります。
でも、例えば、読書会に参加できるとか、サイン本がもらえるとか、そんなことで困っている人たちを救う仕組み作りが出来上がっていくって、すごく素敵じゃないですか?

ぜひ、皆さん、自分にできる範囲で良いので、この事業に関わってください!
一緒に、こんな社会を変えていきましょう!
あなたが今、世の中を少し良くできたら、あなたの大切な人に何かがあった時に「日本で良かった」と思うような、そんな社会にできるんです。
大きな変革も、一人一人の心から。

高次脳機能障のことをもっと知りたい!

そういえば、うちの母ちゃん、退院してから物忘れが急激にひどくなったわ!
うちのお父ちゃん、自転車でコケてから怒りっぽくなったわ。
そんな人がいたら、この本を読んでください。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08R2G2NM8

西村が高次脳機能障害について、当事者にインタビューして書いた本です。
この本、もうすぐ紙でも出版します。年明けになってしまいますが、リターンに追加する予定なので、少々お待ちくださいね。

ではみなさん、年の瀬、まずは飲み過ぎ食べすぎ、転倒にくれぐれも気を付けてくださいね。全部リスクが高いです。