2021/02/23 10:00

『先祖になる』
この映画の魅力は、なんと言っても、直志さんと剛さんの生き様を身近に感じられることです。

東日本大震災から1年半で、自宅を再建した直志さん。
映画は直志さんの奮闘を中心に、剛さんや、町の人たちの姿がフィルムに残されています。

そして、彼らの「その後」を時折おり、知ることが出来る・・・というのが
映画にならない、続いている『ドキュメンタリー』なのです。

震災から1年半。自宅を再建した直志さんの映画のラストシーン。
あの日、直志さんは・・・
時を経て、今の町は、直志さんの目にはどう映っているのでしょう?

私は、完成試写会のあとも、何度もスクリーンで観る機会がありました。
幸運なことに、監督と一緒に観る機会も多く、観た後に、その都度浮かぶ疑問を
監督に問うては、震災当時の陸前高田の様子に思いを馳せていました。

また、直志さんや剛さんとお会いする機会も何回かあり、
町の復興のことや、それぞれの暮らしぶりのことなどを伺い・・・

町の将来への期待と不安それぞれの視点からのたくさんの言葉を聞いてきました。

それが、10年たった今、時のパズルが解答をもって、私の前に現れた・・・
そんな感覚を、先週、久しぶりに会った二人の言葉から感じました。

私は、宮城県北部で被災地支援の活動を10年間してきています。
いっぽう、直志さんと剛さんは、早くから被災した人たちは自立しなければならない。
自分の力で生活を再建しなければ、ならない、と、説いてきました。
ふたりに会った後は・・・私がしていることは、被災した人たちにとって役に立っているのか?
もしかしたら余計なおせっかいになってはいないか?と、振り返り、内省する機会となります。

なにが正解か、それは分からない。
私たちが先祖になった後、次の世代の人たちにその答えは託すとして、
命あるかぎり、正直に、まっすぐに、生きていきたい。
そう思える映画です。

今回、震災から10年という節目に、直志さんと剛さんのお話しを伺えること、
とても嬉しいことです。
ぜひ、全国の多くのみなさまにも、聞いていただきたいと、思っております。