2021/04/28 10:26

こんにちは。一般社団法人Fora ファシリテーション事業部の工藤です。

教材を実際に作成しているメンバーにインタビューをしました。今日は第一弾、「探究学習教材」について。

ぜひご覧ください!

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■自己紹介をお願いします。

澤海渡といいます。基本的に、Foraで実施している探究学習のコンテンツのディレクション、制作、教員研修の導入などを全般的に担当しています。最近は学校教員向けのYoutubeチャンネル作成などにも関わっています。Foraの探究学習の制作から発信までを担当させてもらっています。


■教材について教えてください。

単に、探究学習で言われている方法論をまとめているわけではなく、Fora独自の理論も開発してまとめています。特に問いづくりには、力を入れています。

というのも、世の中の探究学習は、問いを持った上での方法論が中心なのですが、自分自身の問いをどう作ればよいのかについては書いていません。だからこそ、ワークシート化したりプログラム化したり、教材化をして、自分自身で問いづくりを進めている教材開発で関わっています。

問いにこだわったというだけあって、問いを作りに1年間かけて作りこむのはポイントです。世の中の探究学習の問いづくりは1ヵ月で終わったりします。ですが、その期間だけで自分が知りたいことや問いを考えるのは難しいので、1年間かけてしっかりと向き合い、やり方、経験則を学び、素養や土台を身に着け盤石なものになるような教材作成を行っています。


■教材の特徴やおすすめポイントはありますか?

世の中の教材は、検索方法こそ書いていますが、どれをどのタイミングでどのように活用したらよいかが見えてこないものが少なくありません。言い換えれば、カスタマージャーニーにあたるような、ラーニングジャーニーが描けていないと思います。

そのため、それぞれの生徒がどんなプロセスで探究を深めていき、どのタイミングでなにをインプットしたらよいのかを段階的に緻密に設計しようとしています。

例えば、一言で情報収集の方法だと言っても、テーマを決めるための検索方法や検証方法での調べ方などは異なります。そこに、論文の探し方やキーワードの出し方、そこも含めた理解を伝えていきたいです。これらがないと、使える教材とは言えないので、生徒から見てちゃんと使える教材を作りたいと考えています。

そして、教材を読み込まないと理解できないようなものではなく、教材やワークシート単体を進めていくことで、自分の問いづくりが行えるように設計しています。

もちろん、教材を読み込み、体得していく学び方も1つの考え方ではありますが、教材やワークシートなどを使うことで、自分の問いが生成できることを目指しています。

大事なのは探究方法それ自体ではなくて、自分の問いを持ち、それを探究できることでもあるので、探究方法自体で躓くことは避けるように努めています。


■教材が世の中にどんな意味を与えると思いますか?

僕の価値観でもありますが、探究学習は世の中に対しての問題提起をするための方法論を学んでいるのだと思います。周りが言う常識や正しさに対して、違和感を持つことがあったとしても「それは常識だろう」という同調圧力もあると思います。

いま日本でも、グローバルリーダーとかイノベーターが大事だと言われますが、そのためにも、実は足もとの問題提起をちゃんと行えることが大事だと思います。

世の中を変えるとか変わるという際には、一定のハレーションを引き起こす側面があります。それを一人で孤独に頑張れと言われてもなかなか難しいと考えています。

そんな環境も周辺になければ方法論も確立していない。このままでは、違和感などの声がかき消されて潰れてしまうこともあるでしょう。

私個人としての想いとしては、環境に関わらずとも、教材を通して学習を進めていくことで、自分の感じる違和感などを適切に表現できるようなサポートをしたいと思っています。

私の周りにも、そんな探究に取り組んでも仕方がないと思っている人もいますが、探究を通すことでこの世界の見方を自分の軸で見ることができるようになるのだと思います。

周りの声だけに耳を傾けるのではなく、本当は自分がなにを大切にして、本当に届けたいものがなんなのかに向き合うことが、自分が自分として生きることに繋がり、そこに探究の意義があるのだと思います。

この言葉自体も言葉にして伝えることに意味はありませんが、それを教材を通して実感値として持ってもらえるようにできればと思っています。


■最後に一言!

僕自身が感じているのは、人が違和感を自由に表現できる社会になればよいと思っています。いわゆるSDGs的なことも言われますが、そのもっと手前に、自分の疑問に思ったこと、親からこういわれたとか、周りの大人などへの違和感などもが実は眠っていたりします。

これらの身近な課題はもっとドロドロしていて、日常的ですが、実はそのもののなかにこそ生きづらさなどが生じていたりします。

 目に見える社会課題や目立ったものばかりではなく、仮にまだそれが社会的な評価がなくても、目の前の具体的な自分自身の違和感など起点に、自分や社会とのつながりを考え、社会への発展等に視座を広げていくこともまた大切なことだと思っています。

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澤さん、ありがとうございました!

次回は「キャリア教育教材」についてお届けします!