2021/04/21 10:30

私たちの現地事務所は小さな図書館を併設しています。その図書館にやってきた子どもの話を紹介します。
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イーアンちゃんは、兄弟と一緒にストリートチルドレンをしていた女の子。おそらく6歳ぐらい(本人に聞いてもよくわからないとのこと)だが、学校には通っていない。

いつも図書館の近くをウロウロしていて、扉の外から覗きこんでいたので、スタッフが呼び寄せて、水浴びをさせたりご飯を分けてあげたりした。しばらくすると、兄弟には内緒でたびたびやって来るようになったイーアンちゃんは、本に興味を持ち、スタッフに読み聞かせをせがむようになった。

ある日、図書館でお絵かきをしていた小さな子が、文字を書きたいというので、スタッフが見本の文字を書いた。近くにいたイーアンちゃんも誘い、紙と鉛筆を渡してみると、一緒に書きはじめた。二人とも文字を習ったことがない。だから文字というよりは、見よう見まねで線を書いていく。何度も何度も同じ線を書くうちに、突然イーアンちゃんが叫んだ「ぐりのぐだ!」
<イラスト:やべみつのり> 

最初は何を言っているのかわからなかったが、ひとりのスタッフが気づいた。イーアンちゃんが好きな絵本『ぐりとぐら』の「ぐ」の文字が、その時彼女が書いていた文字だった。

(『ぐりとぐら』(福音館書店)は、日本語絵本にラオス語の翻訳を貼り付けて、図書館に置いていたもの。イーアンちゃんはこの本を気に入って、何度も読み聞かせをしてもらっていた。)

絵本で出会った単語(名前)と文字が結びついたのだ。その後イーアンちゃんは、「ぐりぐらぐりぐら・・・」と唱えながら「ぐ」の文字を書き続けた。
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図書館での本との出会いが、子どもの未来への扉をひらきます。ひとりでも多くのラオスの子ども達が本と出会えるように、ご支援をよろしくお願いします。