2022/07/15 10:48

ご支援くださいました皆さまが寄せてくださるメッセージ、一つ残さず拝読しています。ひとつひとつのお言葉に励まされ、勇気をいただいています。
今朝8時で、公開からちょうど1週間。200名もの皆さまからのご支援をいただくことができました!

さて、本日は、2002年にアフガニスタン教育支援を開始し、70名もの修士号・博士号取得者を輩出している東京農工大学の取り組みを紹介します。
どのようにしてアフガニスタン教育支援が始まったのか、そして同窓生が本国でいかに活躍されてきたのか・・・。ぜひ、ご一読ください!

『東京農工大学のアフガニスタン同窓生を救った「命のビザ」』

東京農工大学農学部元指導教員有志

第二次世界大戦中の 1940 年、リトアニア・カウナス日本領事館の杉原千畝領事代理によって、ナチス・ドイツの迫害から逃れるユダヤ人難民に発給された日本通過ビザ「命のビザ」。杉原は、人間としての良心に従い、本国の命令に反して独断で大量のビザを発給して、6000 人のユダヤ人の命を救った話は有名です。この様な人道的な出来事が現在本学で起こっています。
2022 年 1 月 6 日、3 名のアフガニスタン・カブール大学教員と家族が様々な困難を乗り越えて来日しました。2021 年 8 月、アフガニスタンで、タリバンが政権を奪い、これを恐れた多くの国民が国外脱出を希望して、カブール空港に押し寄せる様子が世界的なニュースとなりました。本学は 2002 年からアフガニスタンの教育支援を続け、アフガニスタンの元留学生が祖国の復興に向けて頑張ってきました。
しかしながら、昨年のタリバンによる暫定政権樹立以降、様々な困難からアフガニスタンでの従来の様な大学教育の継続が難しくなり、本学の元指導教員に早期の救出を求める緊迫した連絡が多く届きました。本学では、船田良・農学部長がリーダーシップを取り、本学元指導教員有志とともに日本政府に交渉を続け、3 名の元留学生と家族の救出に成功し、その後2022年6月までに3名の元留学生と家族が入国しています。
2021 年9月には、大川泰一郎・教授など本学元指導教員有志により「アフガニスタンの元留学生の早期救出を実現したい」のオンライン署名を立ちあげ、最終的に 4 万人を超える方々からの署名が集まりました。「アフガニスタン元留学生の早期救出を求める要望書」と共に内閣総理大臣・外務大臣・文部科学大臣に提出して早期救出を依頼した結果、今回の救出に大きく貢献しました。

外務省にて、要望書とオンライン署名を提出(2021年11月12日)

本学のアフガニスタン教育支援を振り返りますと、20 年前に遡ります。
2001 年 9 月 11 日 に発生した米国同時多発テロ事件の後、アフガニスタンが米国軍によりタリバン支配から解放されました。その後、日本で復興支援会議が開催され、日本は5億ドルの支援を行うことを公表し、その支援金の大半は教育支援に使用されることが決まりました。しかしながら、当時のアフガニスタンの高等教育の現状が把握されていませんでしたので、早急に調査する必要が有りました。そこで、2002年 5 月に岸田文雄・文部科学副大臣(現内閣総理大臣)や井上審議官がアフガニスタンを訪問する視察団に、本学から4 名の教授(田谷一善 獣医学・平沢 正 作物学・島田清 農業土木・望月貞成 機械システム工学)が随行してアフガニスタンの高等教育の現状を調査してきました。
本学は、この機会に日本の大学として初めてカブール大学と姉妹校提携を結び教育支援が始まりました。本学の支援は、カブール大学の若手教員を日本政府奨学生として招聘して、本学の修士課程・博士課程で学ばせ、学位取得後に再びカブール大学の教員に復帰させ、彼らが自らの手でアフガニスタンの高等教育を復興することを目的としました。これまで、本学で修士号・博士号を受けたアフガニスタン留学生は 70 名に及びます。獣医学科でも、12 名のカブール大学の若手教員が博士課程で学びました。その内 3 名が女性で、2008 年に修了した女性博士第一号は、アフガニスタン女性として 3 番目の博士号取得者になりました。本学大学院を修了したカブール大学出身者は、教育による祖国の復興を目指して活躍してきました。
しかしながら、2021 年 8 月以降、教育活動は大きく制限を受けています。

 アフガニスタンには、未だ救出を求める多くの本学同窓生がいます。
同窓生らは、日本で高等教育を受けたこと、前政権や大学の要職に就いていたことなどの理由から、生命の危険に晒されています。彼らは、ご自身と家族の生命を守るため、一時的に母国を逃れ、国政が安定した時には再び帰国して祖国の復興に尽したいと希望しています。本学の特任教授などとして入国するアフガニスタン元留学生と家族は、生活費、住居の確保、子供の就学支援などを必要としています。
今回のクラウドファンディングに皆様の暖かいご支援をよろしくお願いいたします。

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本クラウドファンディングへの挑戦では、このような社会課題がまさに私たちの目の前でおきているということを広く伝えていくことも、大切な目的の一つとしています。
皆さまのご友人やお知り合いへ、SNS等での拡散にご協力をお願い致します!