2023/01/07 23:09

 私は、事務局を担当しています守田と申します。このページに目をとめていただき、どうもありがとうございます。私は、昨年3月までよこはまユースで事業企画課課長をしており、この企画について小林実行委員から相談を受けた“大人”の一人です。


 実行委員長の言葉にありますように、私は一昨年の11月、大学生たちのお世話役として釜石を訪れました。そこで、石井光太さんのご紹介で初めてお会いしたご住職から開口一番いただいたのは「悪いけど釜石の人間は神奈川県の人のこと、あまり良く思っていないよ」というお言葉でした。それはすなわち「震災後大量に生じた“被災物”を神奈川県の人は『放射能汚染の危険性がある』ということでいっさい処分のための“ひきとり”を受け入れてくれなかった。当時岩手県の新聞では、一面に取り上げられたが、神奈川県ではほとんど報道されなかったと聞いている。」「わたしはもう忘れちゃったけど、あの時散々苦労した人の中にはまだ覚えている人はたくさんいるよ。」と仰るのです。

 また、釜石の「遺体安置所」で想像を絶するご苦労をされた歯科医師の方からは、当時釜石の被災状況は地元からはなかなか入って来ず、東京のメディアが発した情報が東京に住む人たちから一歩遅れて入ってきた。誰が当事者なんだ!今でも不信感は消えないと仰っていました。

 遅ればせながら、私は釜石で購入した何冊かの本の中からこんな言葉を目にしました。


 凄惨な現場を目にして「壊滅」を語るのはたやすい。「壊滅」する前に、そこになにがあったのかを知らなければ、軽々に「壊滅」などということばは使えないのではないか。「復」や「再」や「新」もそうだろう。「復する」にしても「再び」にしても「新たに」にしても、<3・11>以前にそこになにがあったのかに思いを致してはいただけまいか。

   まずは、東北を知って欲しい、学んで欲しい。このような緊急事態に迂遠と思われるかもしれない。そうではあっても、東北とはどのような地であったのかを知らずして「壊」も「滅」も「復」も「再」も「新」もあり得ない。話はそれからだ。そうでなければ東北は浮かばれない。二万人もの死者・行方不明者は浮かばれない。(『瓦礫から本を生む』土方正志)


  いずれの言葉も私の胸を重くするものでした。

  その後の勉強の中で、釜石市の面積は横浜市のそれとほとんど同じ。一方、釜石市の人口は約4万人に対し、横浜市のそれは約370万人ということを始めて知りました。またさらに深めると、縄文時代の晩期、日本の人口は7万5800人。うち東北には実に52%が暮らしていた。ということも知りました。

  このような<歴史>や<地理>を広く、長いスパンで学んだ時に思ったことは、私たちは「高齢者」とか「若者」、「釜石」とか「横浜」というような小さな区分にもう拘っていてはいけないのではないか。目に見える事象にだけ一喜一憂し競い合うのではなく、もっと想像力を働かせて、大きなスパンで一緒に日本の将来のことを考えなければいけないのではないかということです。そのためにはもっとお互いを良く知らなければ始まらない、それもメディアやSNSだけを通じてだけではなく、もっと直接に。相手の気持ちが少しでも伝わるように、もっと近づいてです。  

 きっと“さんつな”の伊藤さんがわざわざ、横浜まで出向いてキックオフミーティングで話してくださったように「千年先を見据えて活動する」必要があるのではないかということです。


  このような将来の展望を見据えた活動として、スウェーデンの環境活動家・グレタ・トゥンベリさんの実践があります。彼女は2018年11月24日ストックホルムで開かれた「TED」会議でつぎのようなことを発言しています。

 「もし私が100歳まで生きるとしたら、その時は2103年になっています。いま、あなたたち(大人)が未来を考える時、2050年より先のことは考えないでしょう。でもその時私は運が良ければ、まだ人生の半分も生きていないことになります。

 たった今、あなたたちのしていること、あるいはしていないことが、私の全生涯と私の子どもや孫たちの人生に影響するのです。

 たった今、あなたたちのしていること、あるいはしていないことの結果を、私たちの世代が将来、帳消しにすることはできないのです。」

 と語り、大人たちは逃げきれると思っているが、私たち若者には逃げ切れない“事実”として確実にある。というようなことを言っています。


 きっと、いつか必ずやって来る「大地震」や「大津波」「自然災害」についても同じことが言えるのではないでしょうか。大人たちはもっと若者たちの言葉に耳を傾け、謙虚に一緒に<防災>に取り組む必要があるのではないでしょうか?


 大自然の仕組みを軽視して作り上げてしまった、東京一極集中主義、エネルギー政策、利益至上主義、環境破壊、若者施策の貧困、タイパ社会、想像力の貧困・・・。

 このような社会を作ってきた“大人”の責任として、私は今回の活動を応援しています。


          風化を憂うだけでなく、「自分ごと」として。


  若者たちのこの<真っ直ぐな意志>を理解し、一緒に応援してくださる“大人”の方のご協力 をどうかよろしくお願いいたします。