2023/05/25 09:08

いま政府は孤独孤立担当相や子ども家庭庁を設置して、「孤独孤立」や「少子化」というテーマに取り組もうとしている。この2つは現代日本社会の象徴的な2大テーマと言って良い。近代合理主義と資本主義経済がもたらす恩恵と副作用。資本主義の是非はここでは論じないが、この2つの社会課題がこの社会構造の副作用であることは間違いなさそうだ。いま「新しい資本主義」や「共助資本主義」などの模索も始まっている。

この2つの社会課題・社会的テーマに対する解決策は「コミュニティ」だと思う。表に出てくる問題や事件や統計的データに目を奪われて、どうしても対処療法的で個別対応的になりやすい「孤独孤立対策」と「少子化対策」。もし「孤独孤立」と「少子化」に根本的で抜本的な対策が必要だと思うならば、その大きな柱の一つは間違いなく「コミュニティ政策」だと思う。


「孤独孤立対策」で言えば・・・

●いろいろな団体・活動が地域やテーマであふれていて、多様な(たくさん&さまざまな)コミュニティや居場所があちらこちら至るところにあること(社会環境づくり)

●それらのコミュニティや居場所が良い感じに運営されていて、活気があって、包摂的で、安定的であること(つまり「強くあたたかいコミュニティ」であること)

●そのような良いコミュニティがあふれている社会環境の中で、一人ひとりが自分に合ったコミュニティを探し見つけ参加して、マイコミュニティを獲得していること(コミュニティ活動力・社会参加)

そうやって、すべての人が居場所と仲間を持って心豊かに生きる社会(環境・構造)になれば、孤独孤立は予防と解決の両輪が駆動して、誰一人取り残されないWell-beingな社会になっていく。この「社会構造」を時間をかけてでもつくっていくことが中長期的な未来の戦略だと思う。孤独孤立対策の大きな柱(中心地)はコミュニティ政策だと思う。


「少子化対策」で言えば・・・

●良いコミュニティには恋愛が生まれる

●ほっとできて自分らしく居られる仲間とコミュニティに出逢い、そこでたくさんの共通体験を積んでいくと、相互理解が進んで関係性が育まれていく。豊かな土壌の中で良い草木や花が育つように、良いコミュニティでは恋愛に限らず良い関係性が生まれては育つ

●この土壌(コミュニティ)を豊かにすることを通して、「こんな人たちと一緒に生きていけるこんな素敵な世界なら、もっと生きていきたいかもしれないな」という気持ちを育んでいくことが鍵になる。それは「生きる意欲」や「未来への希望」にもつながり、友情や恋愛や結婚にもつながる

そんなコミュニティが増えていって、そんなコミュニティに所属する人が増えていけば、良い関係性が生まれ、ときには恋愛も生まれ、結果的に結婚や出産にもつながるのではないだろうか。(くれぐれも恋愛や結婚や出産が是ではない。孤独が非ということではないという前提の上で)

また、子育てにおいても「コミュニティと一緒に育てていける」とイメージできることが大切だと思う。核家族で自分たちだけで育てようと思うと、経済的にも精神的にも制約の方が目の前をちらつき、前向きにはなかなかなれない。やっぱり少子化対策も大きな柱(中心地)はコミュニティ政策だと思う。


「中長期的」な視点で「社会構造」へのアプローチに着目すると、これからの日本社会は「コミュニティ」をどう現代的・未来的につくっていくかということに帰結するような気がする。市民活動やコミュニティ活動をやるということは、そんな大きな流れにつながる行為なのでますますがんばろうと思う。

by CRファクトリー 呉 哲煥


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