2017/06/26 00:47

  こんにちは。皆さん、プロジェクトへのご支援、ありがとうございます。おかげさまで80%を達成致しました。クラウドファンディングも残るところ後4日です。6月29日23:59分までに100%達成できるように引き続きご支援よろしくお願い致します。

 私たちの団体の名前は「ソコニイルカ」。少し変わった名前ですが、これはベナンで話されているフォン語の挨拶言葉に由来しています。アフリカの多くの国で、挨拶はとても大切です。朝、人と会うと「起きた?」「起きたよ」「夫はどう?」「両親は?」「子どもは?」「家は?」「仕事は?」・・・などと、長々と続くのが普通です。働いている人を見れば、「よく働いているね」、座っている人を見たら、「よく座っているね」と声をかけます。そして、何もせず一緒にいるときも、時々「そこにいるか?」と声をかけるのです。

  ここにいるのは、相手にだってわかっているのです。だって、さっきからずっと横に座っているのだから。けれど、それでも声をかけます。それは、相手が自分と一緒にここにいることを確認し、それが大切であることを告げているのだと思います。相手が何をするではなくても、存在していること自体が大事だと考えているといえるかもしれません。

 ベナンで設立したNGOの名前は「ミドフィ」。「私たちはここにいるよ」、という意味です。これは「そこにいるか」と言う挨拶に応える言葉です。生活の空間は違っても、お互いの存在を起点に声をかけあえるような関係を作っていきたいという思いで、私たちはこの名前を団体名に選びました。

 

↑建築予定地のアラダ市の駅

 ベナンでNGO活動を始めるのは、簡単にはいきませんでした。まず、土地を購入する時に問題になったのは、「外国人が土地を買えるか」という問題でした。

  土地の購入の際には、まだベナンの現地NGOミドフィの設立手続きが終わっていなかったので、メンバーの個人名で登記する必要がありました。市役所を訪ねると市長に確認して欲しいといわれたので、市長宅に行きました。私たちが訪ねると、市長は裁判官に電話し、外国人であっても問題ないと答えました。そこで、無事土地を購入することができました。しかし、その後、売買取引の証明証書に市長にサインをしてもらう必要があるので再び会いにいくと、市長が対応を変え、「サインはできない」と言うのです。「法律上問題がある」と。

↑NGOミドフィ職員ロジェ。元小学校職員。NGOの活動を軌道に乗せるため現在奮闘中。

 そのとき、日本人メンバーは帰国していたので、ベナンのスタッフのロジェは、驚いて市役所に行きました。そこで市役所の法律担当の職員と一緒に問題がない旨を再度説明し、さらに、市長が自らサインすると言ったことを伝えました。しかし、市長は渋るばかり・・。市長自身が裁判官に確認をとったというのに、一体どういうことなのか・・・。

 いろいろ事情を聞いていると、どうも、市長と副市長が政治的に対立し、「市長降ろし」の動きがあったようです。NGOの書類を見た副市長が、「外国人が土地は買えない」と主張しはじめ、市長がサインするなら法律違反で訴えるようなことを仄めかしたらしいのです。

 それで、市長が保守的になり、法律的な問題とは関係なく、とにかくトラブルを避けるためにサインはしないということにしたようです。契約書がサインされないままであると、リスクを抱えることになります。何とかサインをしてもらおうと、NGOミドフィの職員ロジェが、市役所に毎日訪れ、なぜ地域のためにこの土地が必要なのか説得したり、副市長と仲の良い知人をたてて話をしてもらったりもしましたが、政治問題に巻き込まれてしまった当時、なかなかコトは進みませんでした・・・。

 膠着した状態のまま、半年経った頃、事態が急展開しました。「市長降ろし」が実現されたのです。選挙を経て、以前の副市長が市長になりました。しかし、新市長は、サインをすることを阻んでいた当本人です・・・。だから私たちは「どうせサインはもらえないだろう」とがっかりしました。

 しかし、職員が法律的に問題ない旨を書いた資料と一緒にサインを依頼すると、なんとあっさりサインがもらえました。要は自分が市長になった今、何の問題もないということなのでした・・・。

↑ちゃんと登記まで辿りつきました!

 少し呆れる事態ですが、現地でNGOの活動をするということは、このようなアフリカの現実に対応していくことでもあります。今回のように、その時々の状況に左右されるし、政治の道具として巻き込まれる可能性もあります。「現地の人のために」と思って活動しても、阻まれることもあります。

 国際協力というと、「人に喜んでもらえる」、「ありがとうといってもらえる」イメージがあります。しかし実際は、人の私利私欲が見えたり、争いの種になったり、がっかりするようなことがいっぱいあります。人々のそういう面が見えると、気落ちして、投げ出したくなることも度々です。

 そのような現実と関わってがっかりもしながら、それでもちょっとは人の役に立てるように、しぶとく諦めずに取り組むことが国際協力にとって必要だと思っています。とにかく市長のサインも無事に得たので、改めてメンバーが挨拶しに行くと、「活動が素晴らしいから応援している」と、何とも現金な市長に励まされたのは一歩前進です。最初に書いたように挨拶が重要な文化ですから、今後のNGO活動がスムーズに進むように、市長だけではなく、警察署長や裁判所にも、既にこの活動についての挨拶に行っています。

 一筋縄にいかないベナンの現実に揉まれながらも、今後もしぶとく諦めず、活動していきたいと思っています。

 残り少ない日数ですが、達成に向けてご支援&シェアいただけると嬉しいです。