2022/03/12 06:00

今、世界では、あらゆるビジネスが脱炭素社会(地球温暖化対策として、温室効果ガスの排出量「実質ゼロ」を目指す社会)の方向へ進んでいます。

化石燃料企業への投資の引き揚げが行われ、車は電気自動車にシフトしていったり、食事はプラントベースになっていったり。

日本以上に問題が身近な欧米では特に、多くの人や企業の意識はこちらに向かっています。

そんな中、からあげや養鶏は時代に逆行していないのか?

そう思われる方も、もしかしたらいるかもしれません。


これに対してぼくの考えをお話しさせてください!


エネルギー効率

まず、食肉を辞めるor減らす方々によく議論されているエネルギー効率(生体1kgあたりどれくらいの餌が必要か。その餌を作るのには大量のエネルギーが使われている。)についてですが、鶏は、牛や豚など他の家畜と比べ、エネルギー効率は良い方です。可食部1kgあたりの餌量は、牛が25kg、豚が9.1kg、鶏が4.5kg。(ちなみにコオロギは2.1kg。)

また、農園の廃棄食材など飼料を有効活用していければ、さらにエネルギー効率を上げることはできます。


温暖化の被害者

また主に先進国が原因で引き起こされている地球温暖化によって、現在最も被害を被っているのは、原因にほとんど加担していない途上国の人々です。特に小規模農家さんというのは、温暖化による影響が、家計に甚大なるダメージを与えます。異常気象、干ばつ。これまでも発生はしていたけれど、ここ最近は頻度がどんどん高くなっており、これまでなんとか乗り越えてきた家庭ももう耐えられないという状況が発生しています。

そんな状況において、所得を増やし、リスクの分散を図るために養鶏などを始めるのはいたって経済合理的なことだと思いますし、不可逆な流れだと思っています。


また、「小規模農家さん」というのは、当たり前のことですが、一人一人が今この瞬間を生きている人たちです。何年、何十年もかかるプロジェクトでは、今教育を十分に受けられていない子供のことは救えないかもしれません。

だからこそ、世界中には様々な問題解決に向けて動く人たちがいる中で、ぼくは「今、小規模農家さんの暮らしをより良くできるもの」に取り組んでいきたいと思ったんです。同じように、環境問題に取り組んでいる方々のおかげで、これから先、多くの小規模農家さんの暮らしをより良くできると思うので、それぞれが自分の役割を担っていけたら嬉しいです。


またそれと同時に、養鶏に必要なエネルギーをグリーンなものに変えていくことも、今後すごく大事になってくると思っています。もちろんこれは僕1人で出来ることではないですが、世界中の優秀な人たちがグリーンエネルギーの値段を石油と同等以下にしてくれるのに期待しつつ、出来ることから少しずつ導入していけたらなと思っています。

農園には、食料廃棄物が転がっていたり、皮や種など活かせる素材があったりします。これらを使ってバイオガスをつくったりなんかは、将来的に小さく始めることを検討しています。

ガーナのドライフルーツ工場。皮や種を用いたバイオガスを一部使用。


フードマイレージ

また、今、アフリカ各国では鶏肉需要がどんどん伸びています。そんな中で、フードマイレージ(食品の輸送にかかるエネルギー)を減らしていくという価値が、僕らにはあるのかなと思っています。

というのも、現状ガーナにおける鶏肉の多くは、ブラジルやオランダからの輸入に頼っています。輸送にかかる燃料や二酸化炭素の排出量を考えると、輸入チキンを使うより、国産チキンを使う方が環境負荷は低いです。

そんな部分でも、国内での養鶏に力を入れていく意義があるのかなと思っています。


最後に

そして何より、環境問題のことを意識したい気持ちはありつつも、ぼくはお肉を食べることが大好きです。からあげはもちろん、すき焼きだってステーキだって大好きです。何が正解などはないですが、ぼく個人としては、「おいしい」の選択肢は減らさずに、できる部分はしっかり取り入れながら、大事だと思う部分に力を入れていきたいと思っています。