2020/10/08 10:00

【フリースクールへの支援のお願い】

小6の長男と小2の次男は現在、フリースクールネモというフリースクールに行っています。今日は長男の話を。

 長男が不登校になったのは小学校4年の時です。2年ほど前のちょうど今頃でした。家庭学習がことさらに重視される郊外の学区、宿題の量は多く提出状況が一覧表に示され、期日までに提出できなければ先生の隣の「特別席」に移され業間休みなしと居残り、それでも終わらなければお楽しみ会に出られないと冗談ながらも脅される日々。

 名札はなぜ必要か分からないからしない、同じ漢字を一列書くことが苦痛で30分かかるといった特性を持つ長男には「適応」がことのほか難しく、みるみるうちに闊達さが消え失せ、青白い顔で「おなかが痛いから今日は休む」と言い出すことが増えていきました。


 不登校が始まる前に印象的だったことがありました。夏休みの読書感想文が終わらず手伝っていたとき、『冒険者たち』(ガンバの本です)を選んだのですが、子どもが「自分はガンバみたいなリーダーにはなりたくない、なれない、なれる気がしない」と執拗に書いていました。

 どちらかというとポジティブでなんでも挑戦するタイプだと思っていたので、なんでこんなに自信のないことを書くのかなと驚いたことを覚えています。


 不登校が始まり、正直、厄介だなと思いました(当時はそんなことは思ってはいけないと必死で打ち消していましたが)。なんで黙って学校に行ってくれないんだろう、私だって学校は嫌な時期はあった。それでも我慢して頑張って行ったのだから彼も乗り越えて行くべきだと思いました。それ以外にも実にいろいろな声が聞こえました。

 彼に対しては「こんなことも我慢できなくて社会でやっていけるのか?」「このまま自立できなくなったらどうする?」など、そして私自身に対しては「子どものわがままを許したら際限なくどんどんわがままのし放題だ。しつけがなっていない、母親失格だ」「母親が仕事ばかりしているからこういうことになるのではないか?」など。恥ずかしい話ですが、自分が否定されている気がして、「普通」のレールから子どもも自分も落とされてはなるものか、ととにかく学校に通わせなければ、と思いました。


 ですが、子どもがみるみるうちにさらに弱っていき、昼過ぎまで起き上がれなくなる姿を見て、これは私が間違っている、何よりも大切なのは彼の笑顔と健康だと思い知らされました。「学校に行かなくても良いよ」と告げ、どこか他の居場所を、と思い必死で探したところ、幸運なことに勤め先の近くにネモを見つけました。見学に行ってみるとくつろげるあたたかな雰囲気で、子どももすぐに気に入りました。


 ネモに通って2年、長男はぐんぐん回復しました。あんなに身体の不調を訴えていたのにこの間まったく風邪も引かず、「見たくもない」といっていた小学校を見てもなんともなくなり、先日は元気に卒業遠足行事に参加していました。

 安心してくつろげる場所であるネモで、彼は長い時間をかけて心の健康を取り戻していったのだろうと思います。気がつけばネモでの話し合いの司会を引き受けたり、自ら鉄道めぐりの企画を打ち出したり、段ボールハウス作りを主導したりと自信も出てきました。


 このご時世、学校は大変だと思います。そのような中尽力くださる先生方には頭が下がります。ただ、学校が心の安まる居場所でないという子どもにとっては、学校に代わる場も必要だと実体験から強く思います。

 長男は「お母さんが学校に行かなくても良いと言ってくれたことが一番嬉しかった、ありがとう」と言ってくれましたが、私も長男にレールから外れることの苛酷さとともに、いつしかレール自体も気にならなくなるほどのとてつもない豊かさを教えてもらえたことに心から感謝したいです。

 それは、世間体を気にするビビりな私が決して自分では経験できないことでした。私自身の世界も大きく広がりました。


 この2年間、心から安らげてくつろげる場所では人は自然と回復して自信が出てくることを、長男を間近に見ていて実感しました。そのような場所、子どもが自分らしくいられる場所、そのままでいいと肯定される場所がもっと増えて欲しいと思います。それを増やすことが、社会の中で一人ひとりが尊重されることにつながるとも思います。

 ネモが明日10/8(木)、市川に新しいフリースクールをオープンします。物品や備品の購入のためにクラウドファンディングを実施しています。支援をいただけましたらとても嬉しいです。