2020/10/09 12:19

なぜ今フリースクールを作るのか?


 新型コロナウイルス感染症の影響で、フリースクールネモ習志野を開室できなくなり2か月間の会費もいただかない決定をしました。「この状態がどこまで続いていくのか?」収入もなければ活動も出来ない時期が2月中旬から5月下旬まで続きました。資金はガンガン減る一方でした。そして何より辛かったのが、今まで積み上げてきたフリースクールの活動が出来なくなってしまった事でした。当時「もう潰れるだろうな…」と私としては珍しくかなり悲観的でした。

 それでも「潰しては絶対にダメだ」と助けを求めこの状況を発信し続けたら、みんなも苦しい中でもこの活動の意義を感じてくださり継続できるだけの寄付が集まりました。また国から出ている支援策も活用していまも何とか運営を続けています。

 2月中旬から5月下旬の活動が止まってしまった期間は、2019年から始めていたオンラインの活動(お家deネモ)を週1回から急遽週5回にして、閉室していても出来ること必死に模索しながら活動を続けていました。しかし慣れないことはとても大変で、1回ごとのスタッフとしての負担感はとても大きく毎日ヘトヘトになりながらオンライン対応を続けていたのが実状でした。毎日同じことだと子どもたちも飽きてしまうので、新しいプログラムを考えたり、明日話すことを用意したりいつもとは違う日常が続いていました。なぜならば普段のフリースクールの活動では、子どもが主体で子どもたちがしたいことをスタッフは応援するという立ち位置なので、やることを考えるとか、話すことを考えるとかはあまりせずに、子どもたちの興味関心に対応しています。よってフリースクールネモのスタッフは受動的な振る舞いをしています。ここが学びのオーダーメイドという所だと思います。スタッフはあくまで黒子であるというのが大事なポイントだと思っています。

 しかし、急に始まったオンラインのプログラムでは、子ども達もどうやって楽しめばいいか分からないので「こんな楽しみ方あるよ?」「これをしてみる?」というようなことが多かったです。思い出してみるとフリースクールネモがまだフリースペースネモだったころ、船橋の自治会館を間借りして会員が1人だった最初期の感覚と近しいをもの感じました。仕事量からすれば今のペースを考えると5分の1とかの仕事量だったわけですが毎日ヘトヘトでした。そんなの遅くまで仕事してるわけでもないのに家に帰っても何にも出来ないそして次の日みたいな感覚でした。

 結局1人目の会員は、フリースクールネモに行く前になんだかお腹痛くなるとか頭が痛くなる等を訴えてやめてしまいました。居場所になれなくて本当に申し訳なかったです。そりゃスタッフが仕事してヘトヘトになっているわけで…。いい場所ではないですよね。やめたくなるのも当然だと思います。

 私は「誰もが居場所は必要」と考えています。しかし、私が指している居場所とは物質的な事ではなく、関係性の事と考えています。話が少し飛びますがフリースクールネモが最初期に使っていた船橋の自治会館は2年後くらいに急に使えなくなってしまいました。その頃には10名程度の小さなフリースクールが出来ていたのですが明日使う場所がなくなりました。活動は続けなければいけないので色んな場所へ出かけていきました。ナンジャタウンへ行ったり、房総の村に行ったりお出かけ企画でつないでいたのですが、今考えてみても自分たちの場所は追い出されたけど、あの時のお出かけも確実に居場所だったと思います。場所がなくなって辞める子はいませんでした。

 自分なりに結構頑張った約2年間だったけど、約2年間あれば誰かと誰かの小さな居場所が自分たちには作れることが分かりました。

 ここでようやく本題です。フリースクールを作ってもそれは居場所じゃないです。居場所のチカラが醸しだしてくるまで、居場所が居場所として本当の作用するまで約2年かかります。

 フリースクール閉室明け6月から会員も増え、相談も増えています。直接コロナの影響もあれば、そうでない相談もあります。それでも確実に不登校の子どもが増えている様子を現場では感じます。ですが11月ごろ出てくる文科省の不登校の調査は今を捉えているわけではなく、2019年度の不登校の子どもの数が出てきます。コロナ禍で大きく影響を受けている2020年度の不登校の子どもの調査は2021年に出てきます。大変な結果が出たあと「わー大変だー」「何か支援をしなければー」となっても遅いのです。そして居場所が成熟するまで私たちの力では2年かかります。経営的にはコロナ禍で明日の事もどうなるか分からないけど、リーマンショックの時も東日本大震災の時も数年後に子どもたちに影響が出ることをフリースクールの実践から経験しているので、今回も同じように数年後に大きな影響が出ると思っています。

 だからこそコロナ禍で経営的にリスクが高くても今やる必要があるのです。正直言えば経営的に考えれば、出来るだけ出支を減らし現金を残し第2波、第3波に備える方がいい方法だと思います。けれども私たちはNPO法人です。社会課題を解決することがNPO法人の目的です。


 私たちは難しい道へチャレンジすることを選択しました。


今だからこそフリースクールを作るのです。ですが私たちの経済基盤は脆弱です。フリースクールの活動を経済的に後押ししてほしいです。現在50%まで到達しました。クラウドファンディングは大変苦戦している状況です。新しいフリースクールを市川市に立ち上げました。8日から子どもの受け入れも始まっています。どうぞご支援ください。