2016/05/29 17:09

そうこうしているうちに、

インドの野生動物局(政府組織)が、ユキヒョウ情報を聞きつけ、この家へやってきました。

一向に街から離れようとしないユキヒョウを見かねて、

野生動物局の方は、このユキヒョウを別のところへ移すための作戦を実行。

食べかけの犬の死骸と、前の晩ユキヒョウに襲われた傷で死んでしまった家畜の牛を

おとりにして落とし穴をつくり、そこにユキヒョウが落ちたら麻酔をかけて、

眠っている間に遠くへ逃すという方法です。

 

その様子を崖の上からじっと見ているユキヒョウ。時々、あくびをしながら見ていました。

それからしばらく時間が経ち、日が暮れ始めると、

ひと気がなくなったのを確認したユキヒョウは、少しずつおとりに近づいて降りてきました。

ここからはユキヒョウと人の心理戦です。


(↑写真をクリックすると映像がみられます)


(↑写真をクリックすると映像がみられます)

慎重に慎重に様子を伺いながら降りてくるユキヒョウ。

眠たいのか、伸びをしたり、あくびをしたりしながらゆっくり降りてきます。

その可愛らしさに、ふと野生なことを忘れてしまいそうでした(笑)


(↑写真をクリックすると映像がみられます)

どこまで近づいてくるのか、おとりにそのまま入るのか、

私たちは固唾を呑みながらレンズを構え、ユキヒョウの動きを見守り続けます。

 

そうは言っても、やはり野生。

私たちの気配を敏感に察知し異変を感じたユキヒョウは、これ以上近づいてきませんでした。

名残惜しそうに何度も振り返りながら、この場を離れていくユキヒョウ。


(↑写真をクリックすると映像がみられます)

それからしばらく日が完全に落ちるまで、私たちは見張りつづけました。

でも、ユキヒョウは姿を見せることはありませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・ところが、夜。

 

!!!!!!!!

 

夕食時に事件は起こりました。

部屋のすぐそばにある犬小屋から叫び声が。 パニックになる私たち。

ユキヒョウは、人間がつくった罠ではなく、生きている別の番犬を襲ったのです。

 

先頭を切って走って行った菊地氏は、たった2メートルの近さでユキヒョウに遭遇!

まだユキヒョウは犬小屋にいました。白く光った牙を見せて威嚇するユキヒョウ。

菊地氏がライトを照らした瞬間、逃げて行きました。

急いで犬を確認!

頭と腕に大きな傷を負っていましたが、幸い、命には至りませんでした・・・

 
その直後の犬の写真。

 

この出来事に、ただただ動揺する私たち。

正直、この展開は全く想像していませんでした。

 

犬小屋は、私たちがいた部屋のすぐ横にあり、人がそこを出入りしていたことから、

まさかここを狙うとは思ってもいなかったのです。

身の危険を犯してまでも、生きた獲物を狙いに来たユキヒョウ。

野生の恐ろしさを目の当たりにした瞬間でした。

 

つづく。