2022/11/03 17:00

「みらいチャレンジプログラム」を応援していただいている皆さん、こんにちは。企画者の李澍です。

すっかりお久しぶりになってしまいましたが、みなさんいかがお過ごしでしたか?わたしは紅葉が美しくなり、空気も凛とし始めて冬をすぐそこに感じる北海道から報告を書いています。例年よりも冬日が早く来ているそうですが、8月末にありました浦幌合宿の報告をもって、みなさんに「みらいチャレンジプログラム」の熱い夏を少しおそそ分けしたいと思います。

夏合宿1日目

町歩き
参加者3人と大人1人の4人グループで駅周辺を歩きながら浦幌町を観察。周りをよく見つめていろんな仕事の存在に気付いたり、普段住んでいる町との違いをもいだしながらその原因について考えたり。3ルートにはそれぞれ浦幌町の「目玉施設」が入っている。道の駅にセイコマート、そして、乳業メーカー!


ここで大発見!今すぐ書き留めておかなきゃ。まちあるきで集めてきた情報をもとに、そこからどんなことが分かったのかをグループでもう少し深掘り。




3グループそれぞれ違った発見を共有してくれて、「へ~知らなかった!」「すごい!そんなことを発見できたの??」とほかのグループからのびっくりした感想が発表中に飛び交っていました。


仕事体験の予習ワークショップ

仕事体験で聞いてみたいことを、参加者の自由な発想でとにかくいろいろ出してもらいました。同じグループの人になぜその質問がしたいかを説明したり、一人のアイデアからまたほかの質問が生まれたりとクリエイティブシンキングな時間でした。アイデアがつまってしまった時は、大人からすこしヒントを出しました。






それぞれのチームで、仕事内容や仕事環境、仕事体験を案内してくれる方のすべてに具体的な質問が出てとても面白かったです。高校生は、大人が思っているよりも、「仕事」に関するいろいろな面に興味を持っていました。

2つのチームから出てきた質問アイデア


1日目、たった4時間での出来事とは思えないほど充実した内容でみんないい笑顔で締めることができました


夏合宿2日目

元木農場の畑で野菜収穫とごはんづくり
せっかくの北海道なのでみんなで歩いて農場まで。農場の裏にある山を通る砂利道は、緑に囲まれていて空気がおいしい!




はじめてみる畑。はじめて知る野菜。「収穫」は、リスペクトをもって!








事前学習では、「文化祭で演劇を出す際に自分がやりたい/できると思う役割」をテーマに、参加者たちと一緒に自分の「好きなこと」「できること」を見つめることをやりました。元木農場でのごはんづくりは、リアルな役割体験のような時間になりました!

それも、誰かが指示することなく、薪割りや窯づくり、野菜の準備と調理、食器の用意など、それぞれが好きな部分を頑張ったり、人が足りないところに自ら手を挙げて行ったりと、予想以上にスムーズに進めることができました。はやくも参加者同士で打ち解けて、みんなで一つとなってプログラムに取り組んでいることがわかって、午後の仕事体験への期待がさらに高くなっていきます。

      薪割り               窯づくり

   料理上手なこが野菜切り           みんなでつくった肉じゃがはおいしい!







元木農場の元木さんの粋な計らいにより、みんなで緑肥のひまわりをもって写真!いい笑顔。

 

仕事体験
北村工業さん

浦幌町の中心地から車で約一時間かけてやっとたどり着いた山の奥の奥は、普段絶対入れない超レアな林業の現場。車を降りると自然と、山への敬意が体の奥底から上がってきます。静かにたたずむ木々が、とにかく尊い!伐採された木はきれいに積み上げされていて、空気中は木のいい匂いが充満しています。見るからにして強そうな作業機の横に、作業着を着た従業員のみなさんも、見るからに強そうです。




現場を回りながら、木の伐採の瞬間を見て、異なる木材を触って、切り倒した木の枝の匂いを嗅いで、北村林業の社長北村さんからの説明を聞いてと、五感をフル稼働させる体験となりました。

第一次産業というとどうしても遅れている、泥臭い、活気ないイメージを持つ人が多いですが、実際に見る現場は世界最先端の機械と従業員の腕の両方の技術をうまく組み合わせ、自然との共生共栄を図ることへの誇りを大事にしていることがわかりました。さらに、次世代とその次世代のまた次世代までに林業そして自然のバトンを渡していきたいと願い一生懸命取り組むランナーたちの姿がそこにありました。

用意していた質問用紙では聞き足りないほどに、参加者たちは北村さんの仕事に対する信念に魅了されていました。北村さんの話を聞いた後に、奥の山に落ちていく陽を見て考えに耽る参加者の姿がなんとも印象的でした。

山をバックに素敵な一枚。北村さん、 本当ににありがとうございました!

ロサルゴサさん
もう一つのチームは、浦幌町の中心地にある「まちなか農園」にあるハマナス畑を訪問しました。ハマナスは浦幌町の町の花。ロサルゴサは、町の花をつかったコスメティックブランドです。社長の森さんに畑を案内していただきました。事前学習と予習でその知識のあった高校生たちですが、実際にハマナスを見るのははじめてです。匂いを嗅いだり触ったり。少し畑の中に入ったりして、ハマナス畑をおもいっきり体感しました。

ハマナス畑のあとは、蒸留所のある町のはずれのTOKOMURO LABへ。旧校舎にカフェや子どもの遊び場があったりと、高校生は興味しんしん。そのTOKOMORO LABに、ロサルゴサの蒸留所があります。ここから、高校生たちが事前に考えてきた質問をまじえて、森さんの創業ストーリーを聞くタイムです。ハマナスをコスメにするまでの製造プロセス、本州出身にもかかわらず、浦幌町でビジネスを起こしたこと、お金だけじゃない町の人たちの想いをビジネスにしたこと。高校生たちの好奇心を刺激するお話しばかりでした。私たちの嬉しい驚きは、森さんのお話を聞くだけではなく、高校生から次から次へと質問がでたこと。森さんのお話しがすすむにつれ、みんなあきらかに表情が変わり真剣にメモをとっていたのが印象的でした。

最後は蒸留の機械の前で記念写真

仕事体験のまとめ

朝から休みのまもなく、畑でのごはんづくりと仕事体験を行って、途中疲れている様子も見られましたが(北村林業の参加者は行き帰りの車で爆睡!)、帰ってきてすぐ質問の紙を出して、聞いてきたことを早く書き残さないと!という参加者が何名もいました。成果発表のワークショップも、眠たい顔一つもせずによく頑張ってくれました。これだけでもほめてあげたいくらいなのに、前日の夜にやった質問を考えるワークショップのときにと比べて、発表の仕方が抜群にうまくなっていました!聞いてきたことの中でも自分たちが特に伝えたいポイントを押さえてしっかり伝えられているのはもちろんですが、両チームともに途中からチームとして発表することを意識して、メンバー一人ひとりに担当パートを決めて発表してくれました。メンバーそれぞれ日本語力と発表力に差はありましたが、チームとしての発表はとてもよかったです。この合宿でわたしが一番皆さんに自慢したい瞬間のひとつです!

大人たちとの交流の時間
イベントたくさんの2日目は特に雨に影響されるので、合宿の2週間前からもうヤフー天気の浦幌ページを何回も何回もチェックしていました。そんなことを見抜かれたかのようにお天気さんもいたずらで、雨マークと晴れマークが反復横跳び並みに変わっていました。朝霧雨の中でのスタートでしたが、畑ご飯は何とか降られずに終わり、昼過ぎから雨足強くなりましたが、仕事体験の時間には見事にやみ外での見学も叶いました。夕方には雨上がりの柔らかい色の夕焼けに包まれながらBBQもできました!BBQでは4つに分かれて座って、それぞれの小グループにスタッフの大人と浦幌の大人を仕込みました。2日間一緒に過ごしているとは言え、プログラムに取り組む時間がほとんどなので、ここでご飯を一緒にたべてフランクな会話をしつつ、参加者たちが安心して将来への考えを話してもらうのが狙いです。夜が深まっていくのと同時に各グループでの話し声も小さくなっていっきました。照れながら将来の夢を語ったり、進路について大人に質問したり。合宿最終日に向かう準備は、ばっちり!

夏合宿3日目

3日目は、社会人と先輩の体験談の話を聞きました。

最初の登壇者は、高室印刷の高室さん。浦幌町で印刷会社を経営しながら、剣道の指導に祭りでのハンバーガー屋出店にフェスの開催。気になる「なぜ?」がたくさんで、話をしている横から質問の手が次々上がる!


次は十勝うらほろ樂舎の宮寺さん。20年以上勤めていた前職での経験とその心境変化は、もちろん、そこから新しい世界に飛び込む勇気や新しいチャレンジを恐れない姿に、参加者たちは終始引き込まれていました。


そして、最後は私、李澍が先輩の話をしました。年やルーツが近い分、リアルな悩みとその乗り越え方を伝えるのが一番私として話すべきことだと思って高校~大学の話を。参加者たちからの「元気もらいました」が聞けてほんとによかったです。



社会人経験談と先輩経験談のあとは時間を取って、参加者のみんなにそれぞれ3日間を振り返って、感想を発表してもらいました。高室さんと宮寺さんもその場に残っていただき、2日目にお世話になった元木農場元木さんも会場に来てくれました。浦幌の大人たちやスタッフの大人たちに見守られながら、一人ひとりワークシートに向かって、真剣に3日間の振り返りを書き出していました。

最後に 

1,2日目でも発表する場がいくつもありましたが、具体的なひとつの質問に対する回答であったり、グループで話し合ったことをまとめたり、グループとしての発表の一部を担当するようなものでした。合宿の感想を発表してもらうことは自由度が高いもので、ただ参加者たちがどれくらい合宿の内容を理解できたかについて知りたいからではなく、人前で話をする練習をしてほしいからではなく、自分たちの伝えたいことと伝え方を自分で考えて組み立ててほしい狙いがあります。

日本語力もまだすこし心配な参加者がいる中で、どうなるかとちょっと心配でしたが結果は、狙い以上にうまく行きました。企画側として特にうれしかったのは、発言が少なくついて来られているか心配だった参加者からも、プログラム内容ひとつひとつにとてもしっかりした感想が聞けたことです。参加者たちからは、プログラム内容を通しての学びとその先への好奇心が伝わる感想はもちろん、「〇〇さんみたいになりたい。」「〇〇さんの△△のところを見習いたい。」などと、関わってくれた大人たちの名前と具体的な内容を自分の課題と結び付けて紹介してくれたことも多くありました。

また、周りによく気を遣っていて外交的に見えた参加者から、「実は日本語がうまくないことが恥ずかしくて自分から声かけることも苦手だったけど、みらいチャレンジでは自分から声かけることを頑張れた」という話が聞けました。ほかの参加者からも学校以外で外国にルーツを持つ同年代と交流できることを喜んでくれた声が上がって、そういう場を提供できたことが何よりよかったです。

参加者からの感想を聞きながら、「なるほど。同じ合宿内容でも、ひとりひとりが違う受け取り方をしてくれて、それぞれ違った収穫を得てくれたんだな。」と思いました。これも、浦幌のバラエティ豊かな登壇者がいて、事前学習から見守ってくれた伴走者のおかげだと思います。

去年のみらいチャレンジでも感じましたが、ほんとにいろんなところで参加者たちがプログラム内容を超える感性を見せてくれました。上記以外にも、大人たちがおっと驚く場面がたくさんありました。そういう場面に会うと、すごく誇らしい気分になると同時に、もっとその子の個性を伸ばせるのにどうしたらいいかうれしい悩みが起きます。

そんなことを考えるためにも、みらいチャレンジプログラムは夏合宿がピークではなく、ここからが本番です。10月12月と2回の事後学習を実施し、みらいチャレンジが終わった後にも、参加者たちが自分の力で日々の経験から学び、考え、行動できるようになっていくための大事なステップを作っていきたいと思います。10月末に実施した1回目では、夏合宿から少し時間が経って今、参加者たちは夏合宿から得た視点と考え方をそれぞれ実践できているか、もしくは実践するためにさらに必要なものが何かを、参加者たちと一緒に振り返りしながら、近況共有をしながらじっくり考える時間にできました。

皆さんには2回目の事後学習が終わるころにまた、参加者たちの様子をお伝えできればと思います。報告までまたしばらく空いてしまいますが、ぜひお楽しみに!