はじめに ~私の想いとストーリー~

はじめまして。日本に住む外国ルーツの若者が社会において自分たちが持つ可能性を大きく発揮できるように、将来について考えるきっかけの場を提供する「みらいチャレンジプログラム」の企画者の、李澍(りしゅ)と言います。

私は両親ともに中国人で、12歳の時に両親が働く東京に来ました。ひらがなも読めないまま公立中学校に編入し、親には相談できず、学校の先生には理解してもらえずで高校入試、大学入試を経て、今大学院の修士1年生です。

そう、私自身もみらいチャレンジプログラムが対象としている外国ルーツの若者のひとりでした

12歳の夏休み、はじめての日本、はじめて住んだ東京で、「日本の学校に行かない?」という父の質問に、「うん」という選択を出しました。その一つの「うん」から、たくさんの壁にぶつかりながら、いくつもの大きな選択を自分でしてきました。

日本語の壁、進路選択の壁、メンタルの壁、、、それでもいつも、周りの人に助けられていました。日本歴が長い母の知人のHさん、NPOの日本人ボランティアのKさん、高校の進路指導のA先生、課外コミュニティの社会人。まだ日本社会において外国ルーツ青少年の存在が注目されない12年前から、ほんとに恵まれた状況の中で、たくさんの善意を受けました。

一方で日本に住み始めて12年経って、訪日外国人・在日外国人共に増え続けているこの間も、外国ルーツの若者に向けた支援はそれほど増えませんでした

このように外国ルーツ青少年の社会課題について考えるようになったのは、大学に入ってからでした。色々な人に会って自己紹介をすることが増えて、そのたびに外国ルーツであることを説明する必要があったからです。たくさんの外国ルーツの若者が日本を第二の故郷として育っていること、そしてこれからも日本で生きて行くことが、どれだけ知られていないかがわかりました。でもそれと同時に、やさしい応援をたくさんいただきました。

まだ壁を乗り越えなければいけない、日本でこれからも生きて行く外国ルーツ青少年の後輩たちにとって、もっと生きやすい社会になって行ってほしいなと思います。

社会を変えるのがまだむずかしいなら、せめて彼/彼女らが日本社会に生きて行くことをよりポジティブに捉えられるように、その上自信を持って進路を選択できるようにサポートしたいです。

私自身、まだ自立もできていない大学院生ですが、ただ、経験者として、外国ルーツを持ちながらこれからも日本社会の中で生きて行く一人として、後輩たちに「なんとかなりそう。私も出来そう。」と、少しでもポジティブな気持ちを伝えられればと思います。


glolabとの出合い

そんなことを思い始めた大学4年生の冬に、glolab(グロラボ)のことを知りました。私が来日したばかりの時に日本語勉強でお世話になったNPOの職員が立ち上げた、特に高校生以降の外国ルーツ青少年を支援するための団体です。「私にも何かできませんか?」と声をかけて、「なにか企画してみたら?」と言ってもらったのがみらいチャレンジプログラムのはじまりでした。


glolabは、外国にルーツを持つ若者が社会的、経済的に自立できることを目指し、キャリア教育とコミュニティ創出事業を行っている特定非営利法人です。glolabという名前は、“global” + “lab”(グローバルな人になるための実験室)からきています。逆境を成長機会にして、自発的にチャレンジし学んでいくことで成長(grow)してほしい、という想いが込められています。外国ルーツ青少年の支援経験から関わるようになった人もいれば、私みたいな「元」外国ルーツ青少年のスタッフもいます。進路選択をサポートする!という目標からアイデアがうまれ、支援者と当事者両方の視点を合わせてできたのが、このプログラムの特徴でもあります。


このプログラムで伝えたいこと

人生における、「いい選択」って何でしょうか。私は今までいい選択をしてきたといえるのでしょうか。そしてこれからも、いい選択をしていけるのでしょうか。それはわかりません。でも、大事なのはいい選択をすることよりも、“しっかり悩んで選択する”ことだと私は思います。

多くの外国ルーツの子どもたちは、親世代の選択で「日本」という環境に暮らしています。そして、言語、教育システムや社会環境などの様々な壁によって選択肢が狭められたり、見えなくなっていたりしています。人生の大きな分岐点である高校以降の進路選択もそうです。

このプログラムを通して進路選択を控える外国ルーツの高校生たちに、壁の向こうにある多様な選択肢の可能性と、壁にぶつかりながらも自分で選択肢を作りだしてきた人たちの姿を伝えたいです。そして一人で抱え込まずに、自分と似た境遇や悩みを持った仲間がいること、たくさんの人が外国ルーツの若者の課題を知っていて、応援してくれていることを実際に感じてもらいたいです。彼/彼女らが自分たちに立ちはだかる壁としっかり向き合い、自分なりの選択ができるように応援したい、そんな想いでみらいチャレンジプログラムをつくりました。


みらいチャレンジプログラムとは

それらを実現するために、みらいチャレンジプログラムでは、こんなことを大切にしています。

1.地域社会を知ること

都会より分業化が進んでいない地域社会を観察し社会を構成している仕事を探求します。また、地域社会に住む人々と日常的な交流を通して、日本とのつながりを強め、日本での将来をより想像しやすくできる事が期待できます。

2.多様な大人や仲間と出会うこと

地域の大人や高校生、プログラムに関わるスタッフと社会人ボランティアの出会いを創出することにより、社会に対する視野を広げ、さまざまな可能性を知ることができます。また、似たようなバックグラウンドを持った仲間とともに将来について考え、外国ルーツの先輩たちや支援経験のある大人に話を聞いたり相談できたりする場を提供します。

3.実践から自主性を高めること

実際に「体験」と「交流」を通して得た情報をもとに、参加者が自主性を持って取り組めるようなグループワークを設計し、自分の考えをまとめ発表する機会を提供します。期間をあけて複数回の事後学習の場を設けることによって、確実な一歩につなげます。


開催地、浦幌町について

開催地を決める時、いや、プログラムを考える時から私の中で、「浦幌町でやるべき」という想いが大きく、具体的にイメージできていました。


浦幌町は北海道十勝の右下、釧路に近いまちです。うらほろスタイルと呼ばれる、未来を担う子どもたちを対象にした取り組みを中心にしたまちづくりが知られていて、私が学部時代に研究活動でたくさんお世話になった町です。

そのうらほろスタイルの事業のひとつに若者のしごと創造事業があります。浦幌町の子どもたちから出た「まちの花はまなすを使ってこの町を活性化したい」というアイディアが元になって生まれたスキンケアブランドrosa rugosaや、浦幌町の中と旅人の間を取り持つ場所としてオープンしたハハハホステル…新しい「仕事の場」がどんどん作られていきます。また、うらほろスタイルのユニークさや町全体の前向きな流れに惹かれて、町外から様々な形で浦幌町に関わる大人たちが増え続けています。それを支え、広げるような形で一般社団法人十勝うらほろ樂舎もできました。

この二つの点から、浦幌町は仕事の成り立ちや働き方の多様性を理解するのに最適したフィールドであると言えます。

そして浦幌町には、10年以上続くうらほろスタイルの様々な活動を通して、地域の未来を担う子どもたちを見守ってきた「地域のお父さん、お母さん」がたくさんいます。都会の子どもに比べての情報格差や機会へのアクセスがしにくいなどの課題にもフォーカスして取り組まれたうらほろスタイルを経験している大人たちは、外国ルーツ青少年の課題に理解を示したり、共感してくれると思いました。

浦幌町でなら、みらいチャレンジプログラムが大事にしていることが実現できそう!そう思ってすぐに樂舎の方に連絡を取り、プログラムづくりに取り掛かりました。


浦幌町の方々のアドバイスを取り入れながら、浦幌町現地での体験学習や交流をおこなう夏合宿に加え、事前学習と事後学習を丁寧に行うことに決めました。

事業初年度となる2021年は、準備含め募集期間も短い中、中学2年生から高校3年生までの9人の参加者を迎えることができました。コロナの状況に翻弄され、夏合宿はフルオンライン、事前学習と事後学習も多くの参加者と対面で参加出来ずの開催となる中、参加者が一生懸命ついていこうとするその姿を、ほんとに誇らしく思いました。

(※2021年6月事前合宿)

6月の事前学習から夏の合宿を経て、事後学習の時の参加者たちの成長は、目に見えるほどおおきかったです。本来なら12月の事後学習で今年度のプログラムは終了しますが、一年間一緒に頑張ってきた仲間と一度も対面で交流することが出来ず、浦幌町をフィールドに行われている取り組みや頑張っているユニークな大人たちを断片断片でしか知れずのままでは、わたしたちがプログラムを通して提供したかったモノが達成できないともやもやしました。

参加者同士やglolabとの継続的なつながりを築き、彼/彼女らにとって安心できるコミュニティを作るためには、リアルな関係作りが必要です。「コロナが落ち着く春休み頃に、浦幌町に連れて行きたい!」そう思って、春休みの3月に、今年度だけの特別合宿を企画しました。 

この3月合宿はつながりを深める上で、参加者に①地域社会の温かさを感じてもらうこと、②実際に見て、体験して、考えるを実践してもらうことを目的にして設定しました。

特に②の部分は、実際に事後学習で参加者がグループワークを通して、自分たちがやりたいことを具体的な内容に加え背景と目的をも考えてもらって、提案したモノがベースになっています。

外国にルーツを持つ子どもの支援は、社会的にも注目されてきたとはいえ、まだまだ高校受験までの支援がほとんどで、特に高校生以降の外国にルーツを持つ若者のキャリア・進路に関しての活動はあまりおこなわれてきませんでした。今回のクラウドファンディングは、今年のプログラム参加者のためだけでなく、この課題を多くの人に知っていただく機会になると思っています。そして、課題だけではなく、外国にルーツを持つ若者が持つ可能性についても理解を広め、外国にルーツを持つ子ども・若者の未来を応援するサポーターを増やしたいと考えています。

みなさんからいただいたご支援は、3月の浦幌町合宿のために、以下のように大切につかわせていただきます。

(*万が一中止となった場合、予定通り2022年3月に東京で開催し、オンラインで浦幌町との交流を実施した上で、資金については、次期2022年度のプログラム(8月実施予定の浦幌町合宿)に使用致します。)

※glolabは非営利法人ですが、このクラウドファンディングを支援することで、支援者が税制優遇を受けることはありません。

実施スケジュール

2022年 1月末 クラウドファンディング 終了
2022年 3月末 浦幌合宿実施
2022年 4月末 リターン発送開始 (お礼メッセージ、報告書、動画送付)
2022年   5月末 報告会、交流会実施

最後に

みらいチャレンジプログラムの実施をきっかけに、色々な方に外国にルーツを持つ若者の課題について理解を得ることができました。そして、参加者たちの成長を一番近くで見守ることができました。だからこそ、私はこのプログラムが持っている力を信じています

もっともっと、たくさんの方に外国にルーツを持つ若者の課題を伝えたい

もっともっと、たくさんの外国にルーツを持つ若者にエールを送りたい

みらいチャレンジプログラムは、来年度以降も継続したいと思います。そしてみらいチャレンジプログラムを卒業する、外国にルーツを持つ若者たちには、当事者として課題意識を持って周りに発信したり、後輩たちの力になったりしてもらえたらなと思います。

第一期生になる2021年度の参加者たちのラストラン、そして企画者の私たちが踏み出した、「みらいチャレンジプログラム」という第一歩の着地を、ぜひ一緒に見守っていただきませんか?どうぞ、よろしくお願いいたします!


応援メッセージ(住友商事サポートチームより) 

住友商事の尾寅と申します。当社は、社会貢献活動「100SEED」で外国ルーツ青少年の教育課題に着目し、glolabとご一緒する機会を得ました。私自身プロボノメンバーの一人として、みらいチャレンジプログラムに関わらせて頂いています。夏合宿及び事後学習に参加する中で、日頃あまり接点のない外国ルーツの子供たちに触れ、回を得る毎に子供たちが自分の将来についてしっかりと考え、言葉にすることができるようになる姿を目の当たりにし、驚くとともにこのプログラムの素晴らしさを実感しています。来年3月に予定している浦幌町での合宿では、従前のWebベースでの活動に加え、実際に現地に赴き五感を通して感じることで、子供たちが更に大きく成長してくれることを期待してやみません。


このプロジェクトの問題報告やご取材はこちらよりお問い合わせください