2022/03/19 09:00

認定特定非営利活動法人スチューデント・サポート・フェイス 代表理事 谷口仁史さんよりメッセージをいただきました。ありがとうございます!

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不登校、ひきこもり、非行、ニート等、学校や社会との「つながり」を失い、孤立する子ども・若者の増加…。安全地帯であるはずの家庭においても、居場所を失う子ども・若者も少なくありません。

児童虐待相談対応件数は、過去最高を更新し続けており、貧困、DV、保護者の精神疾患等、複合化した課題を抱える家庭も少なくないのが現状です。

日本財団の調査によると、日本に暮らす18〜22歳の若者のうち、4人に1人が自殺を本気で考えたことがあり、10人に1人が自殺未遂を経験したことがあると回答しています。「助けて」と声を上げること自体が容易ではない日本社会において、「社会的孤立」に係る問題の裾野は、着実に広がりを見せています。

こういった中、専門領域において実践されている「課題解決型」支援の限界を補う考え方として、「伴走型支援」が注目を集めています。深刻化する「社会的孤立」に対応するために“つながり続けること”を目的とした支援として生まれました。「無縁社会」、「分断社会」と称されるように、子ども・若者にとってまさに受難の時代、様々な困難を抱えながら生きていく子ども・若者を支えるためには、“つながる=ひとりにしない”という支援は、欠くことの出来ない重要な取組と言えます。  

まさにこの伴走型支援を先駆的に実践してきたのが、社会的擁護、特にアフターケア事業ではないかと思います。様々な傷つきの中で誰かを信じることすら難しい状態に追い込まれた子ども・若者も少なくない社会的擁護の領域において、声なきSOSに耳を傾け、出会い、寄り添い、伴走することは、決して容易な事ではありません。

今回のクラウドファンディングによって、最も心理的な負担が重い支援領域の一つと言われる、この「社会的養護のアフターケア」において、具体的な相談内容や対応策に加えて、そこで日々奮闘する全国の支援者たちの営みや思いが共にまとめられることとなっています。

このハンドブックは、同じ分野で働く支援者はもとより、社会的孤立に向き合うあらゆる支援者にとって、多くの示唆や勇気を与えてくれものになると確信しています。「えんじゅ」に所属される団体、そして日々、現場で献身的に「伴走」してくれている皆さんへ、心からの敬意とエールを込めて、私も寄付という形でプロジェクトを支援したいと思います。

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谷口仁史

佐賀大学文化教育学部卒業。在学中からボランティアで不登校、ニート等の状態にある子ども・若者へのアウトリーチ(訪問支援)に取り組む。卒業後、大学教授ら有志を募り「NPOスチューデント・サポート・フェイス(略称S.S.F.)」を設立。令和3年3月末日現在、委託事業を含む約50万1千件の相談活動、約4万6千件のアウトリーチに携わった他、市民活動団体を含む幅広い支援機関とのネットワークの構築や「職親制度」等社会的受け皿の創出、執筆や講演活動など多彩な活動を通じて、社会的孤立・排除を生まない支援体制の確立を目指している。

近年はその実績が認められ公的委員を歴任。アウトリーチに関しては、「若年者向けキャリア・コンサルティング研究会」、「高校中退者等アウトリーチワーキンググループ」で委員を務めた他、生活困窮者自立支援法に係る「社会保障審議会特別部会」、子ども・若者育成支援推進法に係る「子ども・若者育成支援推進点検・評価会議」等政府系委員も務め、全国的な取組の推進に貢献している。