はじめに

みなさまこんにちは。「アフターケア相談所ゆずりは」のスタッフをしております、矢嶋桃子と申します。

私たちの仕事は「社会的養護のアフターケア」と言われるものです。社会的養護を巣立った方たちの相談を受け、一緒に解決策を考えたり、病院や役所に同行したりサポートをしています。

支援スタッフ兼ライターの矢嶋桃子。今回の本の企画・編集を担当しています。女性のグループ写真

自動的に生成された説明ゆずりはスタッフ。右端がえんじゅ代表でもある所長の高橋です。


社会的養護と、その後のケアの課題

親や保護者と暮らせない子どもたちを、児童養護施設や里親家庭など公的な制度のもとで育てるのが「社会的養護」ですが、基本的には18歳で、高校卒業と同時に施設や里親のもとを出ることになります。または高校進学しなかったり中退したりすると、中卒でも「自立」という名のもとに出されてしまいます。

そこから出た後のケアということでのアフターケアですが、頼れる家族という後ろ盾のない人たちが社会に出て遭遇する困難に、誰の力も借りずにひとりで対処することはとても大変なことです。


全国ネットワーク「えんじゅ」の立ち上げ

床の上に立つ人々

中程度の精度で自動的に生成された説明えんじゅ設立総会の様子。理事・監事です。

現在、社会的養護のアフターケアを事業として行っている団体は各地に増えてはきているものの、まだ数は少なく、財政基盤が脆弱なところも少なくありません。

そこで、まずは全国の仲間たちと手をつなぎたいと、2018年に「アフターケア事業全国ネットワーク えんじゅ」というネットワークを作りました。

ホームページ: https://enjunet.org/

規模の大小だけでなく、年齢や社会的養護の有無で相談対象を区切っていたり、逆に社会的養護関係なく幅広く対応しているところ、提供する支援の内容も、得意分野、こだわりも、事業所によって様々です。お互いに、どんな相談があり、みんなどう対応しているのか、正直よくわからない部分も多いです。

それでも少なくとも、誰かの「困った」「苦しい」の声に接した時には、どうにかしようと奔走していることと、思っています。


この本を作りたいと思った理由

文字の書かれた紙

中程度の精度で自動的に生成された説明

この本は、そんな全国の仲間たちの日々の支援や活動をなんとか見えるものにできないか、知恵を分け合い、思いを分かち合うことで、困っている人たちの援助や支援に関わる人たちがエンパワメントされるものはできないか、という思いから始まりました。

「社会的養護のアフターケア」と言っても、その相談内容も、相談してくれる人の背景も様々で、「アフターケア」という名の支援メニューがあるわけではありません。

家がない、追い出されそう……となれば住まい探しから手伝います。不動産屋や大家さんとの交渉の間に入ることもあります。
虐待のトラウマでのフラッシュバックがひどく、安定した生活が送れないと相談があれば、精神科医や専門治療ができる機関につないで同行したり。
予期せぬ妊娠でどうしよう、とあれば、本人の気持ちに寄り添いながら、各方面の支援につなげるか探ります。
借金がかさんで返せない、働けない、困窮している、高卒の資格を取りたい、親から逃げたい……本当に様々な相談があります。

社会的養護という児童福祉の制度の枠組みではおさまらない、医療、司法、教育、警察、地域……様々な分野の垣根を越えて、その人に必要な支援の手を取っていくことが求められます。

正直、正解がない世界です。

これでいいのだろうかと、私自身、自信がなく、迷い、戸惑い、しんどくなることもあります。そんな時の「お守り」になるような本がほしいと、切実な願いもありました。

どのような本にしていくかを考え、仲間たちと何度も議論を重ねました。
そもそも「社会的養護のアフターケア」とは何か、その問いもありました。
このコロナ禍で、各地の団体もとても忙しく業務を行っている中、全国のえんじゅの団体にもたくさんご協力をいただきました。

いったん助成金でブックレットの形にまとめましたが、さらに内容を厚く、充実させた改訂版として、私たちアフターケア事業所の日々の営みを、『えんじゅ アフターケアから、出会いへ』という書籍にまとめ、全国の支援機関や、支援に関わる方たちに届けたいと思っています。


「困っている人を支援する人たち」にこそ、この本を届けたい


私たちには、この本を届けたい人たちがいます。

まずは、子どもたちが暮らし、その成長を見守る大切な場である、児童養護施設などの社会的養護に関わる方たち。

実は、児童養護施設には、「退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行う」として、子どもたちが退所した後のアフターケアを担うことが義務付けられています。

しかし実際は、職員が忙しく、アフターケアまで十分に手が回らなかったり、退所した人たちから相談があっても知識や経験不足からうまく対応できない、関係不良で関わりを拒否するなど、施設と退所者、両方から相談が寄せられることもあります。

地域や施設によっても、自立支援、退所者支援に差が見られたり、一生懸命支援する職員がバーンアウトして辞めてしまうこともあります。ここには個人の技量や思いだけではどうにもならない、構造的な問題もあります。

しかしながら、本来は、生まれた場所も施設も自分で選べない子どもたちが、措置された環境で不利益を被ることがあってはならないことです。

地域間、施設間の格差を埋める。そして、職員ひとりひとりの思いや気持ちが大切にされながら、支援者自身がエンパワメントされていくことで、その先にいる、困難な状況を生き抜いている子どもや若者が温かな支援を受けられるように。

そのために、この本を活用してもらえたら。

今回のクラウドファンディングでは、そんな思いから、全国の支援機関に本を届けることを大きな目的のひとつにしています。

そしてもうひとつ。

この本は、社会的養護に関わる人たちだけでなく、分野の垣根を越えて、女性や困窮者、障害者などの支援を行う方、学校や医療、司法の現場の方など、困っている人たちから相談を受ける機会のある方たちにも、広く読まれてほしいと願っています。

このクラウドファンディングを通して、本の存在を、多くの方に知ってもらいたい。
できることなら手に取ってもらいたい。

その機会としたいと考えています。

応援してくださるみなさまにも、ご支援をいただくだけでなく、ぜひ、本を広めるお手伝いをしていただけたら、とてもうれしいです。



本の内容について

本の内容を知っていただくために、目次から少しご紹介します。

レストランのキッチンで作業をしている人たち

中程度の精度で自動的に生成された説明北九州でホームレス等の支援を行う、
抱樸の奥田さんとの座談会。
屋内, 人, テーブル, 立つ が含まれている画像

自動的に生成された説明名古屋でアウトリーチを行う、全国こども福祉
センターの街頭活動。

Ⅰ「出会う」についての考察

・出会う (文筆家・エンパワメントセンター 森田ゆり)
・座談会「出会った責任」という言葉から始まる対話(NPO法人抱樸 奥田知志/他)
・私たちを縛るものはなにかーー社会的養護から自由になる(全国こども福祉センター 荒井和樹)
・「支援する/される」の概念を問い直す 全国こども福祉センターのアウトリーチ
・出会いのなかで生きてる (ゆずりは 高橋亜美)
・風景と共に在る(九州大学 田北雅裕)

Ⅱアフターケア 現状と課題 (安孫子健輔) 

・ 厚労省に聞く これからのアフターケアはどうなる?

Ⅲ 寄せられる相談内容と、活用できる制度・仕組み

 1. 住まい
 2. 心理・精神的課題
 3. 性の課題
 4. 家族・子育て支援
 5. 進学
 6. 就職・就労
 7. 経済的課題
 8. 生活支援
 9. 学習支援・学び直し
 10. 病気
 11. 戸籍
 12. 保証人問題
 13. 障害者福祉との連携
 14. その他

*制度や仕組み解説
*奨学金情報

Ⅳ えんじゅ団体紹介、コラム


自費出版
印刷部数:5,000部
体裁:四六判 約150ページ(前後する可能性があります)

※本は非売品です。


支援金の使途

本の制作費と、全国の支援機関や支援者に届けるための発送費用を、いただいた支援金で賄いたいと思っています。

いただいた支援金の使い道は、以下のように考えています。

・印刷費
・編集・デザイン費
・発送費用
・グッドモーニング手数料


送付予定先(施設種類)

できあがった本は、以下の施設や機関に寄贈したいと思っています。

・児童養護施設 
・乳児院
・自立援助ホーム
・児童自立支援施設
・児童心理治療施設
・母子生活支援施設
・児童相談所
・児童家庭支援センター(子ども家庭支援センター)
合計 約1,650箇所

完成・発送スケジュール

・3月27日 クラウドファンディング終了
・4月下旬『えんじゅ アフターケアから、出会いへ』完成予定
・5月 リターンおよび支援機関へ順次発送


メンバー紹介

編集制作メンバー
矢嶋桃子(編集長/アフターケア相談所ゆずりは)
高橋亜美(アフターケア相談所ゆずりは所長/えんじゅ代表理事)
矢野茂生(おおいた子ども支援ネット/えんじゅ理事)
中野誠司(おおいた子ども支援ネット/えんじゅ理事)
田北雅裕(九州大学/えんじゅ理事)
安孫子健輔(そだちの樹/えんじゅ理事)
原田祐馬(UMA/design farm代表)
高橋めぐみ(UMA/design farm)
舟之川聖子
大橋由佳

寄稿・制作協力
森田ゆり(文筆家・エンパワメントセンター主宰)
奥田知志(抱樸 理事長)
荒井和樹(全国こども福祉センター 理事長)
棚原喜美枝(アフターケア相談室にじのしずく)
福本啓介(あすなろサポートステーション)
安井飛鳥(社会福祉士/弁護士/えんじゅ監事)

装画
堀川理万子(画家/絵本作家)


リターン内容

プランを組み合わせることが可能です。例えば本1冊(自分も読んで応援!4,000円)に、他プランを上乗せ(全力応援プラン10,000円を1口)で、合計14,000円の支援とすることもできます。

本のリターン「あり」プラン

・自分も読んで応援! 4,000円 /本1冊
・誰かにおすすめして応援! 8,000円 /本2冊
・アフターケアの営みを周りに広めて応援! 35,000円 /本10冊
・読んで語ろうプラン 10,000円 /本1冊+読書会参加
・刊行記念トークイベント参加プラン 10,000円 /本1冊+刊行記念トークイベント参加
・講演招致プラン 100,000円 /本1冊+講演招致

本のリターン「なし」プラン

・全力応援プラン 10,000円 /本なし

※すべてにお礼のメッセージをお送りします。


アフターケア事業全国ネットワーク えんじゅ2018年設立。社会的養護自立支援事業、アフターケア事業などを行う事業所32箇所が参加している(2022年1月現在)。メーリングリストでの情報交換や、各地の相談者をつなぐ連携も増えている。アフターケアや自立支援に関連する研修を行う他、調査研究、広報啓発、政策提言なども行う。

twitter:    https://twitter.com/enju_aftercare
facebook:   https://www.facebook.com/enju2018
ホームページ:https://enjunet.org/

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