2017/01/14 10:02

株式会社文化財マネージメントの宮本です。

 

木造地蔵菩薩像の修復作業が行われています。
修復を担当していただいている「吉備文化財修復所」代表の牧野隆夫さんから、修復作業の解説と画像をいただきましたので、掲載します。
今回は、仏像の印象がだいぶ変わってくる工程があります。

 

6.不要表面除去
お像の身体は金色をしていますが、これは過去の修理時に塗り直されたものです。
実はこの塗膜の下に元の塗膜が残っています。
今回の修復ではこの金色塗膜を取り除きます。
塗膜を除去すると、黒い漆の塗膜があらわれました。

 
(胸の部分の塗膜を除去している)

 

頭部は塗膜の下に過去に彫りなおされた痕跡があり、当初は今と異なるお顔であったことが分かりました。

 
(頭部向かって左半分が塗膜除去後)

 

7.剥落止め
台座の塗膜が浮きあがり、端がめくれて触れると落ちてしまう状態でした。
ここで天然の接着剤である「膠(にかわ)」の登場です。
浮き上がった塗膜の下に膠を入れて、貼り戻しました。

 
(台座の塗膜に筆で膠を入れている)