2019/05/29 20:16

世界啓発デーに先駆けて、5月10日(金)に青森県立中央病院において、CFS支援ネットワーク主催の第一回ME/CFS症例検討会を開催いたしました。


ME/CFSの診断・治療や臨床研究に関する情報交換は、木谷照夫先生(旧厚生省CFS研究班代表、大阪大学名誉教授)が発起人となられて設立されましたCFS研究会(大阪)におきまして、1993年より毎年行われていましたが、2003 年に疲労全般に関する研究発表、知識の交換の場としての「日本疲労学会(Japanese Society of Fatigue Science)」 が発足しましたので、その後はME/CFSに関する発表も日本疲労学会の中で行われることとなり、 ME/CFS という病気に特化したCFS研究会としての活動はなくなり、実に16年ぶりの復活です。

CFS支援ネットワーク主催の症例検討会では、医師(臨床医)、研究者のほかにも、看護師、保健師、社会福祉士、行政職員、学生など対象を広くして、ME/CFSの診断や治療に関する症例発表、診療や研究面における知見の紹介、診療面における問題点や患者の社会復帰に向けての支援、相談対応の仕方について検討していきたいと企画しました。

会長の石川より、ME/CFS患者における訪問看護のニーズについてのアンケート調査結果を紹介し、患者が支援になかなか結びついていない現状や、専門外来とかかりつけ医との連携、緊急時の対応に不安を抱えていること、訪問看護の制度についてよく知らない人が約9割で、医師の意見書があれば利用できる制度が活用されていないこと、利用を希望して申し込んでも「ME/CFSをよく知らないから対応できない」などと断れた事例などを紹介しました。

とにかく、ME/CFSの特性を理解していない不適切な対応されることが頻繁で、相談できるところがなく、社会的に孤立している方の多さが目立ちます。

日頃、地域住民の健康相談を受けてる立場の保健師(青森市保健所)が6名、青森県庁や青森市の健康福祉担当部署の職員もご参加いただきました。

青森県立中央病院総合診療部の葛西智徳先生からは、ME/CFSの疑いで受診を希望した患者の診療科別の割合や、症例について発表がありました。

日本で一人目のME/CFS患者の報告をして以来、約30年の間、国内のME/CFS研究と診療の第一人者として牽引してきた倉恒弘彦先生からは、最新の国内外の研究データや現在行われている治験についての報告をしました。

国立米沢病院と東北大学病院で、ME/CFS診療にあたっている沼田健裕先生からは、漢方を用いた治療の症例発表では、通学が困難だった小児や学生患者の改善例を中心に紹介され、小児科医でもある青森市保健所の野村所長からの質問や活発な意見交換がありました。

国立米沢病院 医療連携室のソーシャルワーカー女鹿大輔さんの発表では、音や光の過敏の特性をもつME/CFS患者の入院には個室対応が必要であることや、社会保障制度の申請サポート状況について報告がありました。

ME/CFS患者が安心して療養できる環境づくりのために、非常に有意義な症例検討会になったと思います。今後も継続していけたらな、と思っています。

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