2021/02/23 11:22

難民を犯罪者として取り締まることができる改正入管法反対オンライン署名にご協力ください!

https://www.change.org/refugeesrights


 出入国在留管理庁では以前より、在留資格を持たない外国人への無期限長期収容が横行しており、国連や人権団体から繰り返し批判されてきました。しかし現在、このような外国人への人権侵害をさらに加速させる「入管法改定案」が準備され、この春にも可決されようとしています。
 この法案が通れば、強制送還に応じない外国人を「犯罪者」として罰することが可能になるほか、送還に応じない外国人を支援しただけで、支援者までもが「共犯者」として処罰の対象になってしまいます。
 外国人の人権侵害に拍車をかけるこの法案の通過を止めるため、署名にご協力ください!

深刻化する長期収容
 出入国在留管理庁は、在留資格がなく国外への強制退去が決まった外国人に対し「送還に応じるまで施設に収容する」という措置をとっています。近年、収容期間の長期化が進んでおり、多くの人が明確な理由・期間が示されないまま数年にわたり収容されています。2019年6月には、これに抗議しハンガーストライキをしていた大村入管に収容中の男性が餓死するという事件が起き、深刻化する長期収容が社会的な批判を受けていました。2020年10月には、国連が長期収容を明確に「国際法違反」であると指摘し、必要な措置をとるよう求めています。

事態をさらに悪化させる「入管法改定案」
 これを受け法務省は長期収容解消に向け「入管法改定案」を作成しました。しかしその内容は、現在の入管制度の歪みを改善することなく、外国人の徹底的な管理・排除を進めることで制度の矛盾を覆い隠そうとするものでした。
その改定案の主な内容は、
①送還忌避者に刑事罰を科すこと
②難民申請の回数を制限し、3回目以降の難民申請を行なった者の強制送還を可能にする
③在留資格のない外国人に対し「監理人」の指導・監督下のもとで生活させる「監理措置」という制度を新設すること
以上の3点です。
本来であれば、事前の司法審査なく無期限に収容できてしまう制度こそを改め、収容の適正化を図るべきです。しかし入管は、批判の対象である「無期限収容を可能とする制度の是正」には一切手を付けず、逆に外国人への締め付けを強化しようとしています。

難民を命の危険にさらす「強制送還」
 そもそも日本は難民をほとんど受け入れておらず、難民認定率はわずか0.5%です。難民認定の手続きが適正に機能していない現在の状況下で「難民申請が2回認められなかった者は強制送還の対象とする」という法案を可決してしまえば、多くの難民が強制送還の対象となり、命の危険にさらされます。
国連のノン・ルフールマン原則では「難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされる国へ強制的に追放したり、帰還させてはいけない」と定められています。今回の改正案はこの国連の原則に反するものです。この案の実現は、国連加盟国としての責任を放棄し「難民が死んでも構わない」と国際社会に向けて宣言するのと等しい行為です。

非正規滞在者を追い詰める「送還忌避罪」とは
 また、今回の改正案でとりわけ重要なのが「送還忌避罪」の導入です。入管は、出身国で迫害を受けている・在留資格のない親のもとに生まれた・生活基盤が日本にしかないなどといった様々な事情により帰国を拒否している人を「送還忌避者」として処罰の対象にしようとしているのです。ただでさえ仮放免者は、就労が許されず、健康保険にも入れず、入管の許可なしに居住する市区町村からも出られないという「無権利状態」に置かれています。改正案では、このような状況にある人たちにさらに刑事罰を課し「送還忌避者」として「犯罪者」に仕立て上げようとしているのです。
 また、これらの外国人に対し支援者が食料を支援したり励ましたりすることは「送還忌避罪」の共犯として処罰の対象となります。在留資格のない親のもとに生まれ退去命令を受けている子どもに対し「帰国しなくてもいいよ」と言って励ましたり、困窮して路頭に迷う人に住む場所を提供することは、刑事罰の対象となり得るのです。
メディアが非正規滞在者について報道することも困難になると考えられます。非正規滞在者は市民社会から隔絶され、入管による人権侵害の実態はますます覆い隠されるようになるようになるでしょう。

外国人の管理・排除を加速させる「入管法改定案」を廃案にしよう!
この法案が通れば、すでに「無権利状態」に置かれ過酷な生活を強いられている仮放免者への支援の手は今まで以上に遠のき、社会からの排除が進みます。日本に逃れてきた難民の強制送還が進むことで、多くの命が失われることにも繋がります。
必要なのは、外国人を徹底的に管理し、排除する入管法改悪ではありません。在留許可の適正化と、在留資格にかかわらず「生きる権利」が認められる社会の実現です。
この法案の通過を許してはいけません。私たちの力で、入管法改定案を廃案に追い込みましょう。

オンライン署名サイトへは以下のリンクをご利用ください。

https://www.change.org/refugeesrights
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POSSEとは


NPO法人POSSE(www.npoposse.jp)は、労働問題や貧困問題に取り組むNPO法人です。大学生や大学院生のボランティアが中心となって相談対応やアウトリーチ活動、社会発信などを行っています。


クルド難民支援活動


POSSEでは現在、埼玉県に住むクルド難民の「生きる権利」を実現するための活動に取り組んでいます。
埼玉県にはトルコ政府からの弾圧を逃れたクルド人難民が2000〜3000人ほど生活しています。多くの人が命の危険から逃れて日本に来たにも関わらず、日本政府は過去1件もクルド人の難民申請を認めていません。仮放免状態で暮らすクルド難民は、就労も許されず、国民健康保険にも入れず、あらゆる福祉から排除された状態で命を繋いでいます。
POSSEは他団体と協力し、昨年11月には川口駅前で大規模な労働・医療・生活相談会を行い、約300人の来場者に対し相談や食料配布を実施しました。その後は在留資格のないクルド人に対する福祉の適用を求めて市に申し入れを行うことなどを通し、在留資格に関わらず外国人への生存権を認めるよう求めています。


学習支援活動


 POSSEはこれから、学生ボランティアによるクルドの子どもや若者に対する学習支援活動を開始します。
クルド人コミュニティーの中には、日本で生まれ育ちトルコには行ったことすらない子どももいます。しかし日本では外国籍の子どもへの教育権は認められておらず、彼ら・彼女らの多くは金銭的事情から中学や高校への進学を諦めざるを得ない状況にあります。また仮放免者の受け入れを許可している大学はほとんどないため、ほとんどの人が高校で進路を断たれてしまいます。日本にしか生活基盤のないクルドの子ども・若者の将来が閉ざされてしまうこの状況を変えるため、学習会などを開催して子どもたちの学習を支えながら、外国籍の子どもにも普遍的に教育権が認められる社会にするための活動に取り組んでいく予定です。

NPO法人POSSE外国人労働サポートセンター
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